本記事は、伊藤亮太氏の著書『株取引の要点 買いのタイミングはココだ』(技術評論社)の中から一部を抜粋・編集しています。
チャートパターン通りに動かないときの対処法
POINT > 買うときは待ち、損切りは手早く行う
ダマシは頻繁に発生する
ここまで代表的なチャートパターンを解説しましたが、中には「ダマシ」と呼ばれる、売買のサインと反対の値動きをすることがあります。
たとえば、ネックラインをブレイクしてダブルボトムが完成するはずだったのに、株価が下落する、または思うように上がらないというケースです。
こうしたダマシは頻繁に発生します。
ダマシへの対処法は、大きく3つあります。
1つ目が、時間をおいて行動すること。チャートパターンが現れても一度静観し、ダマシであるか見極めます。実際にダマシだとしても、値動きが停滞してから上昇トレンドに入る可能性もあります。買いのタイミングが少し遅れることになりますが、トレンドが大きければ十分利益を狙えます。
2つ目が、早く損切りすること。「ネックラインより200円安い価格まで下がったら損切りしよう」「多少損をする覚悟で、底値まで待ってみよう」などと損切りするポイントを定め、そのルール通りに売買を実行することが大切です。1回の取引で上限・下限を決めておくと、損失額を最小限に抑えられるうえ、精神的にもよい取引が期待できます。
3つ目が、あらかじめダマシの可能性を想定すること。実際にダマシに合うと精神的なショックが大きく、判断を惑わせます。買いを入れる時点でダマシの可能性を想定しておくと、損切りの判断も早くなり、収益が目減りせずにすむ可能性が高まります。
- ブレイク
- 株価が高値を突き抜けて値上がりする、または安値を突き抜けて値下がりすること
- 利益確定
- 保有している株式などが値上がりし、利益が出ている状態で売却することで、確実に収益を上げること。「利食い」ともいう
【Column】
チャートパターンがいびつで買いを判断しづらいときの対処法
チャートパターンは、いつでも綺麗な形で現れるとは限りません。いびつな形で現れることもあるため、買いを判断しづらいこともあります。
その際、下記のポイント(1)(2)をもとに判断してください。
ポイント(1)は、ネックラインがしっかり形成されていることです。下図のOK例では、高値を結んだ綺麗なネックラインができており、多くの投資家は崩れにくいチャートパターンと判断できます。一方NG例では、高値がまばらでネックラインを引けません。売買の基準がわかりづらく、多くの投資家は売買を控えてしまいます。ポイント(2)は出来高です。通常、買いサイン(株価がネックラインを上抜けた前後)では出来高が増えます。
このように、チャートパターンの形に迷ったら、ネックラインが綺麗に引けるか、出来高が増えているかを確認し、ダマシなどを避けましょう。