ロングリスト作成時のポイントや注意点
ここからは、ロングリスト作成時のポイントや注意点を解説する。作成に失敗すると余計な手間やコストがかかってしまうため、ひとつずつ丁寧に確認していこう。
全体的なM&A戦略を明確にしておく
ロングリストに記載する企業は、M&Aの目的や方向性によって変わってくる。そのため、遅くても希望条件を設定する前には、全体的なM&A戦略を明確にしておかなければならない。
M&A戦略に曖昧な部分があると、交渉に移ってから相手企業の見直しが必要になったり、希望する契約を結べなかったりなどの弊害が生じる。M&Aは時間との戦いでもあるため、目的や方向性がブレないようにしっかりと戦略を考えておこう。
シナジー効果を考慮する
シナジー効果とは、複数の企業・事業の組み合わせによって生じる相乗効果のことだ。特に規模や販路の拡大を目指す買い手側にとって、シナジー効果は何よりも重視すべき要素になる。
M&Aのシナジー効果を発揮させるには、ロングリストの作成段階で以下のポイントを意識することが必要だ。
売り手側の立場からしても、シナジー効果が表れる相手を選ぶとスムーズに交渉を進めやすくなる。シナジー効果が最優先されるケースは非常に多いため、事業や経営資源の相性は必ず確認しておこう。
必要に応じて記載項目を調整する
ロングリストは外部に公開する資料ではないため、記載項目に関する特別なルールはない。前述では主な記載項目を紹介したが、必要に応じて内容を調整することにより、充実したロングリストを作成しやすくなる。
例えば、M&Aを通して海外進出を目指している場合は、海外支店の数や進出地域もまとめておくことが望ましい。ただし、情報が多くなり過ぎると複雑な資料になってしまうため、不要な情報を削ることも忘れないようにしよう。
経験豊富な専門家を頼る
自社だけでロングリストを作成すると、重要な企業が漏れてしまったり、不要な企業が含まれたりなどのミスが生じる。また、数十社のロングリストを作成する場合は、情報収集だけで膨大な手間がかかってしまうため、経験豊富な専門家を頼ることも検討したい。
M&Aアドバイザーや仲介会社などの専門家は、M&Aのあらゆる工程をサポートしてくれる。資料作成はもちろん、相談先によっては交渉や統合作業もサポートしてもらえるため、依頼をするだけで以下のようなメリットを得られる。
ただし、相談先によって得意分野や料金体系が異なる点には注意が必要だ。例えば、大規模案件の経験が少ない仲介会社や、相談をするだけで着手金がかかるケースなども存在するため、サービス詳細はしっかりと確認しておく必要がある。