企業買収が頻繁に行われる現代では、買収防衛策の必要性が高まっている。敵対的買収はいつ実施されるか分からないため、企業は常に備えておくことが重要だ。本記事では代表的な防衛策である「ゴールデンパラシュート」の特徴やほかの方法との違いを解説する。

目次

  1. ゴールデンパラシュートとは?
    1. そもそも敵対的買収とは?
  2. ゴールデンパラシュートのメリット
    1. 退職金が高額であるほど高い効果を発揮する
    2. 解任されても利益が発生する
    3. 資金を使わずに敵対的買収を防げる
  3. ゴールデンパラシュートのデメリット
    1. 株主や従業員から反発されやすい
    2. 敵対的買収を許すと、個人の信用が低下してしまう
    3. 利益相反の義務違反にあたることも
  4. ゴールデンパラシュート以外の買収防衛策
  5. ゴールデンパラシュートは中小企業にも必要?
    1. 国内で敵対的買収が増える可能性も
    2. 上場を目指す場合は、買収防衛策への意識が必須
    3. 実は非上場企業を買収する方法も存在する
  6. ゴールデンパラシュートが実施された事例
    1. 役員退職金の上限金額を設定/フランス
    2. ゴールデンパラシュートの実質的な禁止/スイス
    3. 経営陣によるゴールデンパラシュートの悪用/アメリカ
  7. デメリットやリスクを踏まえて慎重に実施判断を
  8. ゴールデンパラシュートに関するQ&A
    1. Q1.ゴールデンパラシュートの由来とは?
    2. Q2.ゴールデンパラシュートで注意したいデメリットは?
    3. Q3.敵対的買収はなぜ行われる?
    4. Q4.敵対的買収の防衛策を知りたい
    5. Q5.ゴールデンパラシュートとティンパラシュートの違いは?
    6. Q6.ポイズンピルの事例は?
    7. Q7.ホワイトナイトとはどういう意味?
    8. Q8.買収防衛策のデメリットとは?
    9. Q9.買収防衛策に問題点はある?
悪用して多額の退職金をせしめた事例も 買収防衛策「ゴールデンパラシュート」とは?
(画像=rogistok/stock.adobe.com)

ゴールデンパラシュートとは?

ゴールデンパラシュートとは、あらかじめ経営陣の退職金を高額にすることで、敵対的買収から自社を守る戦略である。国内での発動例は少ないが、効果的な買収防衛策として知られている。

ゴールデンパラシュートの実施企業に買収を仕掛けると、経営陣の退職時(または権限の変更時)に多額の退職金が発生する。この退職金は、その時点のオーナーである買収元が負担する形になるため、ゴールデンパラシュートには買収意欲を削ぐ効果がある。

前経営陣が受け取った退職金については、もちろん個人資産として自由に使うことが可能だ。つまり、ゴールデンパラシュートを実施しておけば、どちらの結果に転がっても一定のメリットが発生する(会社を守れるor退職金を受け取れる)。

そもそも敵対的買収とは?

敵対的買収とは、相手企業の合意を得ていない状態で、強引に株式を買い集める戦略である。広義ではM&Aの一種に含まれており、国内でも事例がいくつか存在する。

敵対的買収のスキームとしては、事前に買付期間や価格、株式数を公開するTOB(株式公開買付)が多く用いられている。銘柄によっては市場からも買い集められるが、この方法では集約できる株式数に限りがあるためだ。

日本での発動例は少ないものの、最近では企業買収によるM&Aが活発化しているため、買収対象になりそうな企業は注意を払っておきたい。