本記事は、石川和男氏の著書『人生をマネジメントする 1日を27時間にする思考法』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

午前中は、重要もしくは緊急のメールしか開かない

メール
(画像=Song_about_summer/stock.adobe.com)

ここでもうひとつ重要なことがあります。

それは、もっとも集中できる時間帯の午前中に、無駄なメールの対応に時間を奪われないことです。

メールは「主」ではなく「従」なのです。

朝一やスキマ時間に、重要でも緊急でもないメールの対応に追われていたら、本業に集中することができなくなります。

人は起きてから、時間の経過とともに集中力が切れていきます。集中力があり、判断能力が高く、ミスが少ない時間帯の午前中に優先順位の高い仕事をしたい。

そこで、午前中には、重要か緊急のメールしか開かないと決めてください。

メールチェックには「見る」と「開く」があります。

「見る」はメールの件名を確認すること。件名を見て、重要か緊急のメールなら開いてください。

そして、開いたメールには、原則返信をする。

このように、「見る」と「開く」を区別して対応することで、メールに振り回されなくなります。

また、多くのビジネス書には、「仕事ができる人ほど、メールの返信が速い説」が載っています。

たしかに、取引先からの連絡メールが頻繁に入ってくる営業担当で、パソコンに張りついている人なら返信は速いでしょう。しかし、「メールの返信が速い=仕事ができる人」という説を信じないでください。

私も、よく人から「メールの返信が速いですね」と言われます。

しかし、サスペンスドラマで容疑者が住むアパートの前に車を止め、パンを食べ、牛乳を飲みながら張り込みをしている刑事のように、パソコンの画面を見張って、にらめっこしているわけではありません。

メールが来るたびに反応し、返信していたら、本業に集中することができません。

本業である仕事のリズムが崩れるなら、メールへの対応は本末転倒なのです。

仕事はリズムです。

私は、そのリズムを崩さないために、通知はオフにしています。

決まった時間にメールをチェックし、重要か緊急のメールは「スキマ時間」を使って返信する。そうやって、本業のリズムを崩さないことが重要です。

POINT
ゴールデンタイムの午前中には、重要か緊急のメールしか開かない。

開いたメールは、「すぐ返信」か「返信する日時を決める」

ビジネスメールは、いずれは必ず返さなければなりません。

しかし、読むのがたいへんな長文メールや、返信する内容が面倒なメールは、つい、返信を先延ばしにしてしまうものです。

その結果、簡単なメールばかり先に返信して、面倒なメールばかりが残ってしまう。

面倒なメールが大量にあると、もう最悪。返信を先送りにして他の仕事に逃げてしまう。

返信の期限ギリギリになって、ようやく返信メールに手をつける。

そんな方も、いるかもしれません。

そんなメールの返信について、私は、決めていることがあります。

それは、メールを開いたら、すぐ返信するか、返信する日時を決める。

つまり、メールを開いたら、対応はこの2択だけ!

大原則は、メールを開いた瞬間に返信することです。

ただし、急な会議で返信の時間がない、返信している間に新幹線に乗り遅れてしまう、といった場合もあります。

そのように、すぐに返信できない正当な理由がある場合のみ、返信する日時を決める。

つまり、メールの返信から逃げないことを厳守するのです。

私の友人に、明治大学教授の堀田秀吾先生がいます。法律の世界におけるコミュニケーションを分析する「法言語学」を研究する学者であり、警察や法律家から依頼を受けて、調査や裁判で用いる証拠分析を担当することもあります。

その堀田先生と、東京メディカルクリニック平和台駅前医院の院長である木島豪先生の共著書『セルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に、たいへん興味深い話が書かれています。木島先生は、医師という立場から、心身に関する医学的な知見はもちろんのこと、実際に患者さんの体に日々深く接し、現場でしか得られない豊富な知見を持った方です。

この本には、「朝、起きられない」「料理をする気になれない」「企画書を作る気になれない」など、つい先延ばしにしてしまう人間の心理と、その対処法が書かれています。

私が驚いたのは、すでに医学界では定説になっている次の事実です。

「人間が行動を起こすときは、体の動きが先で、脳への指令が後である」。

多くの方が、人間は、まず脳が体に指令を出し、その指令によって体が動くというイメージを持っているのではないでしょうか。

ところが、脳科学の進歩によって、実際には、体が先に動き、その動きに合わせて脳が考える順番だということが解明されているのです。

つまり、ジャンケンで「パーを出そうと意識する」より先に「体がパーを出す動きを始めている」のです。

脳が先じゃなく体が先! 信じられないことですが、数々の実証実験で証明されています。

言われてみれば、何かにぶつかりそうになったとき、「よけろ」と脳が命令する前に、とっさに体が動いていますよね。

カルフォルニア大学のリベット氏らの研究では、「〇〇しよう」と思う脳の意識の信号よりも、その動作をするために脳が出す信号が、平均で0.35秒速いという結果が出ているそうです。

脳より体が先に動く!

そうだとすると、面倒でたいへんなメールの処理方法は、頭で考える前に、まず返信ボタンを押して、「○○様へ」と返信を書きはじめてしまうことです。

前述したとおり、ビジネスメールは無視できません。

いずれは返信しなければならないなら、開いたその瞬間に返す!

面倒なメールを先延ばしにしないクセをつけておくと、返信が必要なメールが溜まらなくなるので、気分も楽になります。

POINT
メールを開いたら、対応は「すぐ返信」か「返信する日時を決める」の2択。

人生をマネジメントする 1日を27時間にする思考法
石川和男(いしかわ・かずお)
1968年北海道生まれ。埼玉県在住。建設会社役員・税理士・大学講師・時間管理コンサルタント・セミナー講師と5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。深夜残業ばかりしていた生産性の上がらない日々に嫌気がさし、一念発起。ビジネス書やセミナー受講により、タイムマネジメントのノウハウを習得、実践することで生産性を下げず残業を減らす仕事術を確立した。自ら習得した「時間管理術」をベースに累計22冊の書籍を執筆。誰もが働きやすくなるノウハウをわかりやすい言葉で伝える著書は、全国のビジネスパーソンに好評で発売数日で重版となっている。能力主義・AI時代・コロナ禍と、先行き不透明な現在においては、時間管理術のほか、未来への不安を拭い去り、満たされた気持ちを保ち続ける「心の在り方」(マインドセット)についても、日々、研究を続けている。

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