本記事は、石川和男氏の著書『人生をマネジメントする 1日を27時間にする思考法』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

朝、「やってはいけない」たったひとつのこと

朝,テレビ
(画像=terovesalainen/stock.adobe.com)

朝時間を有効かつ有意義に過ごし、よき1日のスタートを切る。

そのために、出社前にやってはいけないことがあります。

それは、朝の情報番組を見ること。

朝の情報番組は、殺人、傷害、いじめ、自殺、虐待、災害、事故、戦争、そしてコロナ関連の話題など、ネガティブな情報で溢れ返っています。

ネガティブな情報を浴び続けるとどうなるか?

その影響を受けて、こちらまでネガティブになります。

考え方や物事の見方の「癖」に影響を与えてしまい、理想的なマインドセットからは、遠ざかってしまいます。朝っぱらから、ネガティブ情報のシャワーを浴びても、いいことは1ミリもありません。

以前に読んだネット記事で腑に落ちた話があります。

うろ覚えですが、趣旨は次のような話です。

男性が知人からこう言われます。

「たいへんです! あなたのお子さん、トラに襲われましたよ!」

もちろん、そんな突飛な話を信じるわけもなく、男性は答えます。

「まさか! そんなこと起こるワケないじゃないですか、はははっ!」

その後、今度は別の人が、男性に言います。

「たいへんです! あなたのお子さん、トラに襲われましたよ!」

「そんなこと、あるわけないですよ」と答える男性。

そうこうするうちに、3人目の人がやってきて、こう言います。

「あなたのお子さんが、トラに襲われましたよ!」

最初は笑っていた男性も、3人に続けて同じことを言われると、「もしかして、本当に?」と、少しずつ信じてしまい、不安になる……。

そんな例え話。

つまり、どんなに信じられないような情報でも、3度も聞くと信じてしまうという話です。

これが、3度どころか、毎日毎日ネガティブな情報を浴び続けていたら、いつしか、そんなネガティブな情報を鵜呑みにするマインドセットができあがってしまいます。

そして、物事をネガティブに捉える癖がついてしまうのです。

マインドセットがネガティブなものに変化しないように工夫が必要です。

朝の情報番組など、見なくて済むなら、絶対に見ない。

避けられるものなら避ける。

ネガティブ情報で溢れているテレビは、リビングに置かない。

私の知人の女性は、一人暮らしを始めた学生時代からずっと、テレビを持たない生活をしていました。

その後コンサルタントとして起業し、結婚した今も、テレビ番組はパソコンで、自分が見たいものだけを見るようにしているそうです。

家族がいて、リビングにテレビを置かないなんて無理……という方は、「朝だけはテレビを見ない」と家族で決め、ネガティブ情報番組との腐れ縁を切るようにしましょう。

そこまでしてでも、朝はネガティブ情報を遮断することが重要です。

さらに、もうワンランク上を目指すなら、毎朝の時間を、テレビの代わりに、「自分の現在と未来に影響を及ぼすものに触れる時間」に変えてしまうのがよいでしょう。

あなたが英語やフランス語など語学の勉強をしているなら、語学のCDを聴く。

経営学や会計、資格の勉強をしているなら、DVDを見る。

その他、マインドセットにつながりそうな、YouTubeやオーディオブック、Clubhouseを視聴して勉強するなど。

テレビ番組を見る時間を捨てれば、いくらでも学びのチャンスはあります。

せっかく早起きして、「朝時間」という誰の邪魔も入らないゴールデンタイムを手に入れたのです。

朝の情報番組に邪魔されるなんて、もったいない!

繰り返しますが、朝の情報番組は、事件、事故、災害など、ネガティブ情報の宝庫。

本当に必要なニュースは、ネットでヘッドラインを見るだけで十分です。

仮に重大なニュースがあれば、同僚や家族から伝わってくるものです。

朝、「やってはいけない」たったひとつのことは、ネガティブ情報番組を見ること!

ぜひ、実行してみてください。

急に、朝時間が長く感じられます。

3日も経てば習慣になり、ネガティブな朝から解放されます。

その時間を、自分の現在と未来に影響を及ぼすことを毎日やり続ける時間にしてください。

POINT
朝は情報番組を見ないことで、ネガティブ情報を遮断する。

決断を減らすと、朝時間が増える!

ここでいきなりクイズです。

オバマ元大統領、スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグ、アインシュタイン。これらの人たちに共通する習慣はなんでしょう?

これは時間術のセミナーで、私が参加者によく聞く質問です。

あなたは答えがわかりますか?

ヒントは、全員がとても忙しい人たちで1秒でも無駄なことに時間を割きたくないと考えているということ。

そういう人たちが、共通して選択していた「ある習慣」が答えです。

この人たちに共通の習慣、それは……

「服装を選ばないこと」。

もちろん、お金がなくて同じ服を着ているわけではありません。

いつも同じ服を着続ける理由について、Facebook(現Meta)の創業者であるザッカーバーグはこう言っています。

「仕事以外の決断の数を減らすため」。

オバマ元大統領も就任時のインタビューで言っています。

「決断の数を減らしたい。食事や着る物については決断したくない。なぜなら、決断すべきことが山積みだから」。

たしかに、日々重要な決断ばかりの一流の人にとって、「ネクタイを選ぶ」「靴下の柄を選ぶ」「食事を選ぶ」など、重要でない決断をするのはエネルギーの無駄遣いです。

余談ですが、毎日、黒いタートルネックとジーンズでプレゼンをしているように見えた故スティーブ・ジョブズのあの服。実は、あのタートルネックはジョブズ自身が自分のユニフォーム的なものとして、「ISSEY MIYAKE」に特別注文したものだったそうです。

細かい採寸や調整を経て完成した完全オーダー品で、こだわりの強いジョブズは、寸法から素材に至るまで、違うものは決して許さなかったとのこと。

一見、服装にはこだわりがないかのように思えたジョブズですが、実は、強いこだわりがあったのですね!

さて、話を戻します。日々の「小さな決断」を減らして、無駄なエネルギーを省くことは、同時に「どうしよう」と悩む時間を減らすことにもつながります。つまり決断を減らすことは時間短縮にもなっているのです。

朝の貴重な時間に、今日はコレを着よう、これを履こう、このネクタイを締めようって、実にもったいない時間です。

とは言え、「ジョブズじゃないんだから、タートルネックで会社に行けないし、いつも同じネクタイというわけにもいかないよ」という方もいるでしょう。

スーツが定番の男性と違い、女性はオシャレに気を遣わざるを得ないこともあります。

そんな方は、選ぶことに使う時間をずらす。

朝のゴールデンタイムではなく、前の晩に、翌日の服やネクタイを選んでしまうのです。

そうすれば、大して重要でもない選択に、朝の貴重な時間を奪われなくて済みます。

毎日の食事の献立に、いつも頭を悩ませていたある主婦の方。

あるときから、カレーライス、スパゲッティ、ハンバーグ、煮魚、刺身、しゃぶしゃぶと、今あるレパートリーで、ローテーションを組むことにしました。

すると、毎日の献立に悩む時間がなくなって「ストレスが1つ減った」と。

もちろん、子どもから「今日は、トンカツが食べたい!」とリクエストがあった日はそうすればいいし、家族の誕生日など、特別な日には奮発したメニューにすればいいだけのこと。ローテーションを組むのは、メリットしかありませんでした。

この考え方は、日々の服装にも使えます。

平日のスーツやネクタイは、例えば、月曜日は紺のスーツに青いネクタイ、火曜日はグレーのスーツに赤いネクタイなどと、ある程度のローテーションを決めておけば、前の晩に迷う時間さえも短縮できます。

某人気YouTuberの動画を見ていたら、私と同じ方法で靴下を買っていました。

その方法は、「同じメーカーの黒い靴下を12セットまとめて買う」というもの。

いろいろな柄の靴下を持っていると、洗濯したときに、同じ柄をそろえるのが結構面倒ですよね。あくまで男性向けの話ですが、フォーマルの場では黒い無地の靴下が一般的なので、いっそのこと、靴下は全部黒の同じもので統一してしまうのです。

そうすれば、洗濯の後、いちいち同じ柄をそろえる手間がなくなりますし、柄を選ぶ時間も不要になります。1枚がなくなっても、なんの問題もありません。

もし決心がついたら、今、持っている靴下を全部捨てて、ユニクロで黒い靴下を12セットまとめ買いしてみてください。明日から靴下に関するストレスから解放されます。

ちなみに、買うときは、まったく同じ柄を12足一気に買うことが重要。時間をおいて購入すると、同じ黒色でも微妙に柄が違ってしまうことがあるので要注意です。

POINT
重要でない決断の時間をずらす・減らすことで、朝時間を確保する。

人生をマネジメントする 1日を27時間にする思考法
石川和男(いしかわ・かずお)
1968年北海道生まれ。埼玉県在住。建設会社役員・税理士・大学講師・時間管理コンサルタント・セミナー講師と5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。深夜残業ばかりしていた生産性の上がらない日々に嫌気がさし、一念発起。ビジネス書やセミナー受講により、タイムマネジメントのノウハウを習得、実践することで生産性を下げず残業を減らす仕事術を確立した。自ら習得した「時間管理術」をベースに累計22冊の書籍を執筆。誰もが働きやすくなるノウハウをわかりやすい言葉で伝える著書は、全国のビジネスパーソンに好評で発売数日で重版となっている。能力主義・AI時代・コロナ禍と、先行き不透明な現在においては、時間管理術のほか、未来への不安を拭い去り、満たされた気持ちを保ち続ける「心の在り方」(マインドセット)についても、日々、研究を続けている。

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