本記事は、石川和男氏の著書『人生をマネジメントする 1日を27時間にする思考法』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

即時速攻か、優先順位をつけるべきか?

優先順位
(画像=leledaniele/stock.adobe.com)

仕事には、優先順位をつけるべきか、否か?

順位をつけずに即時速攻とは、目についたもの、手に触れたものから、片っ端からやって終わらせる方法。絶えず仕事をこなしている状態で、ストレスもなく気持ちいい。

ネットビジネス界で有名な某氏の著書にも、「自分は仕事に優先順位をつけない。どうせすべての仕事を終わらせるので、順番をつける時間がもったいない」と書いてありました。

この方法、たしかによい面もあります。しかし、この方法を行うには、前提となる条件があります。

それは、1日で行う仕事の絶対量が少ないことです。

例えば、数日中に完成させなければならない企画書を書いているときに、チャット対応、打ち合わせ、ファイル整理、メール返信、部下からの相談対応……と中断していると、集中力がなくなり、いつの間にか夕方になり、「また明日にするか」となってしまう。これでは重要な企画書の作成ができません。

私はよく、集中して本の原稿を書くことがあります。そのときに、メール、チャット、LINE、Facebook、Twitterなど、着信のたびに返信していたら、いつまでも筆が進まないでしょう。

次の図をご覧ください。有名なマトリックスなので、あなたはご覧になったことがあるかもしれません。

3-1
(画像=『人生をマネジメントする 1日を27時間にする思考法』より)

マトリックスは、(1)緊急かつ重要なこと、(2)緊急ではないが重要なこと、(3)緊急だが重要ではないもの、(4)緊急でも重要でもないもの、に分けられます。

これらの仕事のうち、緊急のものは、期限があるもの。重要なものは、難易度が高く面倒なものが多く、重要度が低くなるにつれて、簡単で楽に終わる仕事であるという傾向があります。

もし、優先順位を無視して、即時速攻で取り組むと、つい、好きな仕事、楽な仕事、簡単に進む仕事である(3)(4)を行いがち。そして、たいへんで面倒だけど、緊急性が高いので仕方なく(1)を行う。このような順番になるのではないでしょうか。

一方、新企画の作成や、5年計画、いつか独立するための資格試験、留学するための語学の学習など、「緊急ではないが重要なこと」である(2)は後まわし、いつまでも手つかずになってしまうことでしょう。

私の場合の「書籍の執筆」は、編集者(出版社)から締め切りを決められているので(1)の「緊急かつ重要なこと」になりますから、嫌でも(嫌ではなく楽しんでいますが)書き進めることになります。しかし、「いつか本を出したい」と思っている人なら人生を変えるうえで重要でも、期限がないので緊急性がなく、(2)の分類に入ってしまい即時速攻の仕事の進め方においては、いつまでも先送りになります。つまり、いつまで経っても、著者になる夢が実現しないのです。

また、「面倒で嫌な仕事」は、重要だとわかっていても、つい目の前の簡単な作業に逃げてしまうのが人間です。

高校生が、期末試験の直前に、なぜか部屋の掃除をはじめてしまう心境ですね。

たしかに、ゲームや漫画やYouTubeに比べて、掃除なら罪悪感が薄れますし、部屋もきれいになります。でも、試験の点数は1点も伸びません。

仕事も一緒。何もしないでいることは気が引けるので、目の前の雑多な仕事をやってしまいますが、期限がせまった企画書の作成は1ミリも進まないのです。

では、優先順位の高い仕事を行っているときに、気づいたメールの返信やファイル整理はどうするか?

いったんノートに書き出して、後から行うのです。

目についたもの、手に触れたものは、その都度ノートに書き出し、目の前にある重要な仕事に集中する。目の前の重要な仕事が終わって、集中力が切れた時間帯にノートに書き出したことをやる。仕事を多く抱えている人には、この方法をお勧めします。

ノートに書き出すことで、すぐに手をつけなくても安心できます。小さな仕事の抜け漏れも防ぐことができます。

そして、雑多なことを覚えておく必要がなくなることで、頭の中がクリアになり、新しいアイディアも浮かびやすくなります。これは私の経験でも実感しています。

結論としては、仕事の量が少ないなら、即時速攻で目の前の仕事をバッサバッサと片付けていくのは有効!

やることが多い、重要で難しいことを行うときは、優先順位を考える。思いついたことは、いったんノートに書き出し、目の前にある重要な仕事に集中することが大切なのです。

前述した、優先順位を考えない著書は、よく読むと、まずはやらないことを決め、やることは一点集中で絞りこむ。そのうえで終わらなければ真夜中までかかってもその仕事をやり切る。そのような環境で優先順位をつけないで行っているとのことでした。

裏を返せば、たくさんのやることの中から、最初の段階で優先順位の高いタスクだけを選んで、それを片っ端からやっているから、即時速攻が可能なのですね。

POINT
気になることはノートに書き出し、目の前にある重要な仕事に集中する。

やることをすべて書き出すだけ

「やることノート」の書き方は簡単です。

まず、ノートは、下記の図のように見開き2ページを利用します。

【手順1】ノートに1、2、3、と番号を振っていき、今日やるタスクを書き込む。

私は1ページに35行書けるノートを使っているので、見開きなら70項目(70行)のタスクを書くことができます。

書き込むのは前日でも、当日の朝でもオーケー。さらに思いついたら「やること」を次々と記入していく。

【手順2】書き込んだタスクが終わったら、番号に赤丸をつけて終了。

3-2
(画像=『人生をマネジメントする 1日を27時間にする思考法』より)

赤丸が増えていくと、脳が達成感で満たされて快感ホルモンが出てきます。

小学校のとき、先生が赤ペンで花丸をたくさんつけてくれたテストの答案用紙を見ていると、気持ちが晴れやかになりました。同じように今日やるタスクをすべて書いた番号が全部赤丸で染まったとき、「やればできる」という思考(マインドセット)になります。

補足ですが、ノートには自分の仕事以外のことも書きます。

つまり、結果的に誰かに振る仕事を書いてもよいのです。

例えば、「見積書の作成を普段は自分がやっていたけれど、そろそろ部下に任せよう」「銀行に行く業務があるけど、同僚が午後から行くと言っていたからついでに頼もう」とノートを見ながら気づくこともあります。

頭の中で思い浮かべるだけでなく、ノートに書く。つまりアウトプットして視覚化することで冷静な判断ができ、的確に仕事を任せたり、頼んだりすることができるのです。

見積書の作成を部下に任せて、自分の仕事が3時間短縮。銀行業務を同僚に頼むことで2時間短縮というように、「人に任せる」は言わば最強の時間短縮方法なのです。

もちろん、ノートに書いたタスクは、自分が行わなくても、終われば赤丸をつけます。なんだか得した気分になるし、人に任せる力を養うこともできます。

ノートには、仕事だけではなく、今日やることをすべて書き込みます。

会社の帰りにDVDを返却しに行く、親に電話をかけるなど、頭に浮かんだプライベートな「やること」も記入します。プライベートなことは、仕事と区別するために、前出の図のように、ノート見開きの右下に書き、帰りにスマホで写メをして帰ります。

浮かんだことをノートに記入することで頭の中がクリアになり、目の前の仕事に集中することができます。前述のとおり、頭をクリアにしているからこそ、どんどん新しいアイディアも生まれてくるのです。

頭の中をクリアにするためにも、「やることノート」を活用してください。

POINT
「やることノート」にタスクをすべて書き込み、終わったら赤丸をつける。

人生をマネジメントする 1日を27時間にする思考法
石川和男(いしかわ・かずお)
1968年北海道生まれ。埼玉県在住。建設会社役員・税理士・大学講師・時間管理コンサルタント・セミナー講師と5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。深夜残業ばかりしていた生産性の上がらない日々に嫌気がさし、一念発起。ビジネス書やセミナー受講により、タイムマネジメントのノウハウを習得、実践することで生産性を下げず残業を減らす仕事術を確立した。自ら習得した「時間管理術」をベースに累計22冊の書籍を執筆。誰もが働きやすくなるノウハウをわかりやすい言葉で伝える著書は、全国のビジネスパーソンに好評で発売数日で重版となっている。能力主義・AI時代・コロナ禍と、先行き不透明な現在においては、時間管理術のほか、未来への不安を拭い去り、満たされた気持ちを保ち続ける「心の在り方」(マインドセット)についても、日々、研究を続けている。

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