この記事は2022年8月1日に青潮出版株式会社の株主手帳で公開された「コプロ・ホールディングス【7059・プライム】建設・プラント技術者の人材派遣を展開2023年3月期は積極投資し採用強化」を一部編集し、転載したものです。
コプロ・ホールディングスは、建設技術者を大手ゼネコンなどに派遣する人材派遣業を展開している。2006年の創業以来、16期連続の増収を達成。今期(2023年3月期)は採用強化の先行投資を行うため増収減益を見込んでいる。
中期経営計画では目標値である2027年3月期売上高400億円、営業利益50億円、技術者数6,200人の達成に向け人財の育成や営業改革に取り組んでいる。
▼清川 甲介社長
主力は建設技術者派遣
売上比率約8割占める
コプロ・ホールディングスは、付加価値の高いエンジニア派遣領域に特化し、建設技術者派遣、プラント技術者派遣、機械設計・開発技術者派遣を展開している。2022年3月期の連結業績は、売上高155億8,900万円、営業利益16億2,100万円。
主力は、建築、土木、設備工事の各現場に施工管理技術者(現場監督)を派遣する建設技術者派遣であり、売上比率約8割を占める。
プラント技術者派遣では、鉄鋼・化学・食品などのメーカーに対し技術者を派遣し、プラント設備の新設や保守・改修工事の施工管理業務を行う。売上比率は約14%であり、契約の長期化や利益率が高いことを特徴とする。
2019年にグループ入りした子会社アトモスの事業である機械設計・開発技術者派遣では、自動車・航空機・家電製品など製造業の設計・開発から生産技術およびアフターサービスに至る領域において技術者を派遣している。売上比率は約5%を占める。
名古屋に本社を置き、全国に10拠点を展開。顧客企業数は600社以上にのぼる。月間2,000件以上の案件を取得し、このうちスーパーゼネコン(大林、鹿島、清水、大成、竹中)5社からの受注が約2割を占めている。
現在、無期雇用社員、有期雇用社員合わせて約2,200人の技術社員が在籍している。無期雇用と有期雇用の比率はおよそ半々であり、無期雇用社員を増やす取り組みを推進している。
キャリア形成を支援する
プラットフォーム構築に注力
同社のコア事業である建設・プラント技術者派遣の市場は2021年現在で2,823億円であり、年平均8.8%程度で拡大すると見込まれている(同社推計)。建設市場そのものは都市再開発などが活況であり、緩やかではあるが成長すると想定される。
「建設業界は人手不足が顕著なため、ゼネコン各社はアウトソーシングを進めており、派遣利用比率は継続的に高まると考えています。一方、人財サービス業界はコモディティ化(一般化)が進み、差別化が難しい。当社は主に経験値の高い技術者を採用し、即戦力として現場に派遣することで成長してきましたが、これからは新卒・未経験者の採用者を増やし、育てていかなければならないと考えています」(清川甲介社長)
中期経営計画は、2027年3月期の売上高400億円、営業利益50億円、技術者数6,200人を目標に掲げる。この目標達成に向け、「エンジニア応援プラットフォーム」の構築に注力している。
これは、技術者としての将来にわたるキャリア形成をサポートする、同社独自のプログラムだ。キャリアパス制度を一から練り上げ、研修制度を整備することで新卒者や未経験者でも安心してエンジニアの道を歩めるように基盤を構築する。
「例えば新卒者が一級建築施工管理技士などの国家資格を取得するには15年の実務経験が必要です。そのため15年間を3年ごとの5段階に分け、各段階で必要とされる研修や社内検定などを行って技術者としてのレベルアップをサポートします。若い社員には半歩先、一歩先の目標をしっかりと示し、エンジニアとしての技術や人間力をしっかりと積み上げて成長し、活躍してほしい」(同氏)
建設技術者として入社したが、自分には合わないなどの理由で早期に退職する社員もいるため、子会社と連携し、機械設計、IT技術者など他業界・他業種へのキャリアチェンジの道も用意している。
組織的な営業スタイルに転換
プロセスの見える化を推進
同社は近年、営業改革に取り組んでいる。これまではトップ営業マンを育てて売上を上げてきたが、1年程前から営業プロセスの見える化・標準化などを行っている。
「属人的な営業スタイルから組織的な営業スタイルへの転換を図っています。営業プロセスを管理し、誰もがやるべきことをやれば案件数を獲得できる仕組みを今、導入して行っている最中です。マクドナルドのハンバーガーは誰が作っても同じハンバーガーを提供していますね。スーパー営業マンは必要ない、平均的成績を上げられる営業マンをたくさん揃えていきたいと考えています」(同氏)
海外事業では、2021年にベトナム法人を設立。日本で働きたいという意思を持った人財に日本語教育などを提供した後に、日本国内の企業・現場に派遣し、日本のレベルの高い施工管理技術を学んでもらう。帰国後は現地日系企業に派遣・紹介する仕組みづくりを進めている。
2023年3月期の連結業績予想は、売上高178.5億円、営業利益10.2億円の増収減益を見込んでいる。売上については過去最高を更新する見込みだが、採用強化のための先行投資を行うため減益を計画している。
「採用に勝つために、しっかり採用費を投入していく。トップラインを上げていくことに対する一時的な減益は必ず将来につながると考えています」(同氏)
▼建設の現場では同社技術社員が現場監督として活躍している
▼名古屋の本社新オフィスではフリーアドレス制を導入
2022年3月期 連結業績
売上高 | 155億8,900万円 | 前期比 5.1%増 |
---|---|---|
営業利益 | 16億2,100万円 | 同 12.8%増 |
経常利益 | 16億1,900万円 | 同 12.5%増 |
当期純利益 | 9億6,200万円 | 同 4.6%減 |
2023年3月期 連結業績予想
売上高 | 178億5,400万円 | 前期比 14.5%増 |
---|---|---|
営業利益 | 10億2,400万円 | 同 36.8%減 |
経常利益 | 10億2,400万円 | 同 36.8%減 |
当期純利益 | 6億400万円 | 同 37.3%減 |
*株主手帳8月号発売日時点