再生可能エネルギーの特徴

ここからはメリットとデメリットに分けて、再生可能エネルギーの主な特徴を解説する。

導入のメリット

石油などの化石燃料とは違い、再生可能エネルギーは枯渇することがない。どこでもすぐに調達できる上に、有害物質や廃棄物も抑えられるため、導入するだけでさまざまな環境コストを抑えられる。

また、専用の発電設備が日本全国に設置されれば、自然災害などによる不具合の範囲も限定される。SDGsや環境問題への貢献によって、支援や投資、出資を受けやすくなる点も大きなメリットになるだろう。

導入のデメリット

再生可能エネルギーの導入時には、太陽光パネルなどの専用設備が必要になる。さらに、発電に適したスペースや環境を用意する手間もかかるため、従来のエネルギーに比べると導入コストが依然として高い。

また、天候による不安定さや小さな発電規模もデメリットと言えるだろう。技術の進歩が期待されてはいるものの、現時点では発電効率が低い傾向にある。

再生可能エネルギーとは? 世界の現状や日本が抱える課題について解説

再生可能エネルギーの実用化はさまざまな地域で進められているものの、現状では多くの課題が残されている。日本は面積が小さく、台風や地震による被害も生じやすいので、特に設置スペースの面がネックになりやすい。

上記のメリットを最大化するためにも、近年では新技術やイノベーションに期待が寄せられている。

再生可能エネルギーの現状

資源エネルギー庁の「エネルギー白書2021」によると、日本は発電量の70%以上を化石燃料に頼っている。再生可能エネルギーは10%程度であり、その内訳は太陽光が6.7%、バイオマスが2.6%程度だ。

日本は再生可能エネルギー比率が低いと言われるが、実際にはどのような立ち位置なのだろうか。ここからは海外も含めて、再生可能エネルギーの現状を紹介する。

再生可能エネルギー比率では北欧・欧州が上位を占める

以下の表は、国際エネルギー機関(IEA)が2012年に公表した再生可能エネルギー比率のランキングである。

再生可能エネルギーとは? 世界の現状や日本が抱える課題について解説

世界の再生可能エネルギー比率は2012年から上昇を続けており、中でもデンマークなどの北欧、ポルトガルやスペインなどの欧州は高い比率を記録している。

2018年の時点では、全エネルギーのうち40.6%を石油に頼っているが、世界全体として見れば化石燃料からの脱却が着実に進んでいる。ただし、再生可能エネルギー比率は地域差が大きく、日本のように世界平均を下回っている先進国も多い。

日本では土壌が整備されていない

世界的に再生可能エネルギーへの転換が重視される中、日本でも脱炭素を目指した電源構成が目指されている。2021年10月には第6次エネルギー基本計画が掲げられ、再生可能エネルギーの導入によって火力発電を抑える方向性が公表された。

しかし、日本は再生可能エネルギーの土壌が乏しく、今後の導入には多くのコストがかかる。ほかにも課題が残されているため、北欧・欧州のようなエネルギー比率を実現することは先の話になるだろう。