日本が抱える再生可能エネルギーの課題

では、再生可能エネルギーの導入にあたって、日本はどのような課題を抱えているのだろうか。

全国的に系統制約がある

系統制約とは地理的または自然的な条件によって、設備面などに制約がかかることである。

例えば、国内には電力会社による管轄エリアが存在しており、このエリア間で大量に電気を送り合うことが難しい。再生可能エネルギーによる発電量には地域差があるため、需要・供給のバランスを取る新たな電力網が必要になる。

安定したエネルギー源の確保

再生可能エネルギーによる発電は、短期的な出力を予測しづらい特徴がある。設備の大量設置によって解決できる可能性はあるが、現状ではコストやスペースの問題で難しいだろう。

このような状況では、需要・供給のバランスを取ることが難しいため、日本では安定したエネルギー源の確保も課題とされている。

大手電力会社による独占

日本の電力システム(発電や送電など)は、大手電力会社が独占している状態にある。2016年には電力の小売全面自由化が始まったが、新規の再生可能エネルギー発電業者が参入しやすい市場とは言えないだろう。

一方、再生可能エネルギー比率が高い欧州では、事業者の所有者の分離によって新システムを導入しやすい仕組みがとられている。

再生可能エネルギーに関する質問集

世界の流れを見ると、今後は日本でも再生可能エネルギー比率が高まっていくと考えられる。再生可能エネルギーはあらゆる産業に関わるため、以下の質問集に目を通しながら基礎知識を押さえていこう。

Q1.再生可能エネルギーとはどんなエネルギー?

再生可能エネルギーとは、自然界に存在する枯渇しないエネルギーである。どのような場所にも存在しており、CO2を排出しない発電等が可能であるため、SDGsやESGにつながるエネルギー源として注目されている。

Q2.再生可能エネルギーの仕組みは?

再生可能エネルギーを使った発電等では、太陽光や風力、水力、バイオマスといった永久的に使用できる資源を活用する。これらの資源は、比較的短期間で再利用できるため、化石燃料のような枯渇リスクがほとんどない。

Q3.再生可能エネルギーの例は?

再生可能エネルギーの例としては、太陽光や風力、水力、地熱、太陽熱などが挙げられる。また、生物由来の有機性資源(※化石燃料は除く)であるバイオマスも、環境にやさしい再生可能エネルギーとして注目されている。

Q4.再生可能エネルギーのデメリットは?

再生可能エネルギーのデメリットには、発電量が不安定になりやすい点や導入コストの高さ、設備の設置スペースの問題がある。また、観光業など別の用途で利用されている地域では、既存事業者との紛争やトラブルに発展するリスクもある。

Q5.化石燃料はいつ枯渇する?

一般的に石油や天然ガスは約50年後、石炭やウランは130年以上後に枯渇すると言われている。ただし、これは確実な予測ではなく、化石燃料には温室効果ガスを排出する問題もあるため、現在では世界中で再生可能エネルギーへの転換が重視されている。