お金の問題を相談できるファイナンシャルプランナーは活躍の場が多い資格として知られています。就職に有利なだけでなく、資産運用や不動産投資にも役立つ知識を得られます。

本記事では、ファイナンシャルプランナーの業務内容や検定試験の概要、資格を取得した場合のメリットを紹介します。

ファイナンシャルプランナーとは

お金のプロ、ファイナンシャルプランナーの資格を持つメリット
(画像=chinnarach/stock.adobe.com)

ファイナンシャルプランナーとは、相談者の目標を達成するために総合的な資金計画を立て、経済的に実現に導く「ファイナンシャル・プランニング」の知識を備え、目標や夢が叶うようにサポートするお金の専門家です。2002年に「ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)」が国家資格として創設されました。国家資格以外にAFP資格(民間資格)とCFP資格(国際ライセンス)があります。

試験実施機関は、NPO法人日本ファイナンシャルプランナーズ協会(日本FP協会)と一般社団法人金融財政事情研究会(金財)が指定されています。ファイナンシャルプランナーの資格は一度取得すると、有効期限がないのが特長です。

ファイナンシャルプランナーの業務内容

ファイナンシャルプランナーの業務内容は、主に個人客の資産状況を分析して、資金計画やライフプランをアドバイスすることが中心になっています。相談を受ける内容は、住宅ローンをはじめ、不動産投資、保険、税金、相続、教育資金、老後資金などお金に関するさまざまな分野が対象になります。法人が相手の場合は事業承継について相談されることもあるようです。

また、より専門性の高い相談内容の場合は、弁護士、司法書士、税理士、行政書士などの専門家と連係したり、取り次いだりするケースもあります。必ずしも自分1人で解決しなければいけないわけではないので、過度に不安を持つ必要はありません。

ファイナンシャル・プランニング技能検定の概要

ファイナンシャル・プランニング技能検定には1級から3級まであり、以下のような受験資格が必要です。1級から3級それぞれに学科試験と実技試験があります。3級はいきなり受験できますが、2級以上は一定の条件を満たさずにいきなり受験することはできません。

・3級
ファイナンシャルプランナーを目指す人であれば、だれでも受験できます。

・2級
日本FP協会認定のAFP認定研修を修了した人、3級FP技能検定に合格した人、2年以上FP業務の実務経験がある人が受験できます。

・1級
2級FP技能を取得して1年以上のFP業務実務経験がある人、FP業務5年以上の実務経験がある人。CFP認定者は学科試験が免除され、実技試験のみの受験となります。

試験日程は、日本FP協会、金財ともに年3回、1月、5月、9月に行われます。受験料は下表のとおりです。

▽日本FP協会

級・科目受験料(税込)
1級実技2万円
2級学科5,700円
2級実技6,000円
3級学科4,000円
3級実技4,000円

▽金財

級・科目受験料(税込)
1級学科8,900円
1級実技2万8,000円
2級学科5,700円
2級実技6,000円
3級学科4,000円
3級実技4,000円

AFP資格とCFP資格の概要

国家資格以外のAFP資格とCFP資格についても概要を紹介します。

AFP資格は「FPとして必要かつ十分な基礎知識を持ち、相談者に対して適切なアドバイスや提案ができるFP技能を習得した者に与えられる資格」(日本FP協会見解)です。資格を習得するには、日本FP協会が認定する教育機関が実施している「AFP認定研修」を終了する必要があります。

一方のCFP資格は「北米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアを中心に世界25カ国・地域(2022年3月現在)で導入されている、世界が認めるプロフェッショナルFPの証で、FPの頂点ともいえるもの」(日本FP協会見解)です。

4E(教育、試験、経験、倫理)を資格認定の柱とし、ファイナンシャル・プランニング・プロセスと呼ばれる6つのステップを実務プロセスの指針としています。CFPの資格を持つと、顧客からの信頼が厚くなり、セミナー講師や執筆の依頼が来るなど仕事の幅が広くなるメリットがあります。

ファイナンシャルプランナーの合格率

取得が難しいといわれるファイナンシャルプランナーですが、合格率はどの程度なのでしょうか。2021年9月実施試験の合格率は下表のようになっています。FP1級実技試験、2級、3級は日本FP協会と金財の両方で実施。1級学科試験は金財のみで実施しています。

試験内容受験者数合格者数合格率
1級学科試験7,134人930人13.04%(金財)
実技試験1,201人1,126人93.76%(FP協会)
2級学科試験26,352人13,324人50.56%(FP協会)
実技試験21,294人12,832人60.26%(FP協会)
3級学科試験36,368人30,801人84.69%(FP協会)
実技試験37,414人30,119人80.50%(FP協会)

1級学科試験は合格率が13.04%という高難度になっています。半面、実技試験は93.76%の人が合格しており、学科試験に合格すればほとんどの人が資格を取得しているようです。

2級は学科・実技とも半数を少し超える程度の合格率なので、中難易度の資格といえます。3級は学科・実技とも80%を超えていることから難易度は低いと考えられます。就職に有利になる1級の取得はハードルが高いものの、2~3級は少し頑張れば手が届く資格といってよいでしょう。

3級も国家資格なので、名刺にファイナンシャルプランナーと記載することは可能です。まずは合格率の高い3級の取得に挑戦してみるのもよいのではないでしょうか。

ファイナンシャルプランナーになると金融業界を中心に活躍の場が広がる

前述したように、ファイナンシャルプランナーの資格を取得すると、金融業界を中心として就職に有利になります。日本FP協会の調べによると、CFP・AFP認定者の就職先で最も多いのが「生保・損保」で22%となっています。

次いで「証券」(20%)、「事業会社」(13%)、「銀行・金融」(12%)と続きます。銀行よりも証券会社のほうが多いのは意外な感じもしますが、資産運用に関する性格が強い証券会社のほうがより必要としているのかもしれません。

また、金融業界以外でも、不動産会社、税理士・公認会計士事務所、JA・生協組合、一般企業の人事・総務部など活躍の場は多岐に渡ります。

さらに、近年は老後資金の不足問題もあり、ライフプランや資産運用について相談したい人が増えているといわれます。ある程度企業や団体で経験を積んだ後、独立して活動することも選択肢として有望といえるでしょう。

ファイナンシャルプランナーの知識は不動産投資や生活にも役立つ

就職や独立のために有効なファイナンシャルプランナーの資格ですが、ファイナンシャルプランナーの勉強をして知識を得ると、不動産投資にも役に立ちます。

不動産投資でローンを組む場合の融資可能額や実質利回りの計算ができるようになるほか、確定申告も自分で行えるでしょう。税理士に依頼するような業務を自分でこなせれば、コストの削減にもつながります。

また、仕事や投資以外でも家計の見直しや、自分自身の年金・相続の問題など生活に役立つことも多いと思われます。生活の要であるお金に関する知識を持っていることは、人生にとって大きなプラス効果をもたらすことが期待できます。

難関資格の1つであるファイナンシャルプランナーですが、仮に合格できなかったとしても、勉強で得た知識は資産運用や不動産投資に活かすことができるでしょう。時間に余裕があれば、ファイナンシャルプランナーの資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。

※本記事は2022年9月20日現在の情報を基に構成しています。FP技能検定試験の受験料や日程等は変更になる場合があります。受験の際は公式サイトで最新の情報をご確認ください。

(提供:Incomepress



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