世界のジェンダー平等の実情
ジェンダー平等について理解を深めるには、世界の実情も押さえておく必要がある。ここからは海外と国内に分けて、世界が抱えている課題や主な取り組みを紹介する。
ジェンダー格差は途上国で多いが、先進国にも課題が残されている
SDGsのゴール・ターゲットに含まれているように、世界にはジェンダー平等に関するさまざまな社会問題が存在する。なかでもアフリカは深刻であり、古い慣習や宗教上の教えを長年引き継いでいるケースが多い。
○アフリカにおけるジェンダー問題の例
・18歳未満の児童婚
・女子の就学率の低さ
・女性性器切除の慣習
ジェンダーによる格差は途上国で多く見られるが、「ジェンダー平等先進国」と呼ばれるアメリカでも課題が残されている。社会進出の機会は増えているものの、企業によっては子持ち女性へのサポートが不十分であったり、男性向けの条件で評価されたりといった格差があるようだ。
こういった細かい不平等感まで解消される仕組みにならないと、本当の意味でジェンダー平等が実現したとは言えない
ジェンダー平等では後進国にあたる日本
2021年に世界経済フォーラムが公表した「The Global Gender Gap Report 2021」によると、日本のジェンダー・ギャップ指数(※)は120位となっている。先進国としては最低レベルであり、タイやインドネシアなどのアセアン諸国よりランクが下回る結果となった。
(※)「経済・政治・教育・健康」の観点からジェンダー格差をスコア化したもの。
日本ではどのようなジェンダー格差があるのか、いくつか例を見てみよう。
○日本のジェンダー格差の例
・女性の国会議員や地方議員が少ない
・多くの企業では男性の幹部を採用している
・男性に比べると、女性の大学進学率がやや低い
上記のほか、日本では「家事や育児は女性がこなすもの」といった家庭面におけるジェンダー格差も存在する。男性が家事・育児をこなすケースも増えてきたが、「女性=家庭」のような固定観念をもつ人も少なくない。
日本がジェンダー平等先進国を目指すには、このような古い慣習を新しい文化で塗り替えて、女性の社会進出も積極的にサポートする必要がある。
ジェンダー平等のために企業ができることとは?
世界的な目標やSDGsのゴールと聞くと、中小企業にできることは少ないと感じるかもしれない。しかし、ジェンダー格差は身近にも多く存在するため、工夫次第ではさまざまな形で社会に貢献できる。
ここからは、ジェンダー平等のために中小企業ができることを紹介する。
ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む
ダイバーシティ&インクルージョンとは、採用活動で多様な人材を受け入れて、従業員一人ひとりを最大限に活かすことである。性別などの属性に関わらず、すべての人材を同列に扱う施策であるため、ジェンダー格差をなくす効果がある。
例としては、女性人材の雇用や昇進、結婚・出産のサポート制度などが挙げられる。ただし、女性を優遇しすぎることも新たなジェンダー格差につながるため、その点に注意しながら施策を検討したい。
育児や介護を手厚くサポートする
従業員の育児や介護をサポートすると、女性社員はワークライフバランスを実現しやすくなる。人材によっては子育てなどの負担が軽減されることで、仕事に充てる時間や労力を確保できるためだ。
つまり、育児や介護のサポートは女性の活躍推進につながる。ジェンダー格差をなくすには、プライベート面から従業員を支えることも意識したい。
意思決定プロセスに女性の意見を取り込む
上層部に男性が多い企業では、積極的に女性の意見を取り込むことも重要だ。特に意思決定プロセスに反映させると、その人材の活躍を推進できるほか、女性に寄り添った商品・サービスを展開しやすくなる。
思い切った施策かもしれないが、対外的なアピールとしても成功する可能性がある。