ダイバーシティ&インクルージョンを進める手順

ダイバーシティ&インクルージョンを導入すると、企業の採用環境や労働環境は大きく変化する。場合によっては従業員が戸惑ってしまうため、各施策は慎重に進めることを意識したい。

ここからは例として、ダイバーシティ&インクルージョンの基本的な進め方を紹介する。

【STEP1】KPIやロードマップを策定する

通常のビジネスプランと同じく、ダイバーシティ&インクルージョンにもベースとなる経営戦略が必要になる。そのため、まずは経営者や上層部が正しい方向性を見極めた上で、KPI(評価指数)やロードマップを策定する。

KPIについては重点的に取り組むべき課題を意識し、具体的な目標を設定する。シニア人材の活用を例に挙げると、シニア人材の人数や採用比率、平均年齢、変化率などのKPIが必要だ。

次にロードマップを策定するが、あまりにも期間が長いと効果が分かりづらくなってしまう。そのため、基本的には5年以内の範囲で組み立てて、実施状況を分析・改善しやすい状況も整えておきたい。

【STEP2】推進体制やチームを構築する

ダイバーシティ&インクルージョンに注力しすぎると、本業を疎かにしてしまう恐れがある。経営者が単独で進めることは難しいため、次は推進体制やチームを構築し、各メンバーの役割まで明確にしていこう。

中小企業においては、経営者がプロジェクトリーダーを務めることが望ましい。方向性を熟知した経営者が指揮を執ることで、トップダウン型のスピーディーな施策を進められるようになる。

【STEP3】推進ルールや環境の整備

このステップから、本格的にダイバーシティ&インクルージョンを導入することになる。経営者のビジョンを浸透させるために、「人事制度」「勤務環境」「提案制度」の3つを見直していこう。

○導入時に整備する3つの要素

【1】人事制度
360度評価やコンピテンシー評価など、実施する施策に適した人事制度を導入する。また、適材適所に人材を配置できるように、人事制度そのものの見直しも必要になる。新制度が成功するとは限らないため、こまめなフィードバックや改善も意識したい。

【2】勤務環境
全従業員が安心して働けるように、快適なオフィスづくりを目指していく。近年では働き方改革や新型コロナウイルスの影響で、多様な勤務形態(テレワークやフレックスタイムなど)を導入する企業が増えてきた。

【3】提案制度
部下や少数派の意見を拾い上げるために、公平性のある提案制度を整備する。声を上げやすいだけではなく、魅力的な提案が確実に採用されるような風土・文化づくりが重要になる。

なかにはダイバーシティ&インクルージョンの導入によって、デメリットや新たな問題が生じる従業員も存在する。すべての従業員にメリットがある施策は難しいため、経営者の意図をしっかりと共有することも意識したい。

【STEP4】従業員全体の意識改革

実際のビジネスシーンで指揮を執るのは、部長や課長などの管理職である。本当の意味でダイバーシティ&インクルージョンを実現するには、上司が現場を正しくマネジメントする必要があるため、管理職の意識改革も忘れないようにしたい。

管理職に経営者のビジョンが浸透したら、次は従業員ひとり一人に対して意識改革を行う。経営者や上層部、管理職との面談などを実施し、自分の働き方やキャリアについて考えるきっかけを与えよう。