ムーンショットはビジネスでも活用できる

ここまで見てきた通り、わが国が行うムーンショットは多岐にわたり、その内容も大きなものとなっている。しかしムーンショットは、国だけが行うだけのものではない。ビジネスでムーンショットを活用することで会社だけでなく個人にもさまざまなメリットをもたらすことが期待できる。ここでは、ムーンショットとビジネスの関係について見ていこう。

ムーンショットを活用することで会社が成長する

ムーンショットの活用により、会社の成長を促すことが可能だ。会社でムーンショットを活用することで例えば以下のような効果が期待できる。

・常識にとらわれない考え方による新商品・サービスの開発
ムーンショットの実現は困難だが、それにチャレンジすることで新しい技術などの実現が期待できる。そのため、ムーンショットを会社に取り入れれば今までの常識で出てこなかったアイデアが生まれたり、新製品やサービスの開発につながったりする可能性が高くなるだろう。

・チームワークの上昇(人材確保にもつながる)
ムーンショットを一人で実行するのは、無理である。数名でチームを作りアイデアを出し合いながら進めていく必要があるため、チームワークが高まり、より個人やチームの力を発揮できるようになるだろう。また皆が同じ方向へ舵を切るため、退職者を抑制することもでき、結果的に人材確保につながるだろう。

ムーンショットは人事でも活用できる

ムーンショットは、目標管理や人材育成などにも活用することが可能だ。ムーンショットでは、上述しているように実現困難なものにチャレンジをしていく必要がある。人事にムーンショットを採用することで社員に実現するための根拠のある目標や斬新な目標を立てることを促すことが可能だ。少し実現困難な目標を立てることで人材を成長させたり多様な考え方を持つ人材を育成したりすることができる。

ムーンショットの今後の展開に注目

ムーンショットは、世界各国で導入されている制度で日本でも採用されている。「日本が抱える多く問題を解決することができる」といわれているが、実はビジネスでも応用可能だ。わが国が進めるムーンショット計画は、数十年単位のものも多い。そのため成功するかどうかは、現段階で評価することは難しいだろう。日本にムーンショットが根付いていくのかは、今後の展開に注目である。

ムーンショットに関するQ&A

Q1.ムーンショットとは?

A.ムーンショット計画とは、アポロ計画のように困難ではあるが実現すれば大きなインパクトが期待される社会課題を解決するために野心的な目標を掲げて実践するための計画。ムーンショットは、国だけでなくビジネスでも採用されている。

Q2.日本が取り組む「ムーンショット型研究開発」とは?

A.ムーンショット型研究開発制度とは、日本が抱える少子高齢化の問題や大規模自然災害への備えなど多くの問題を解決するために設けられた制度だ。日本が抱える問題の解決には、破壊的イノベーションの創出や科学技術への挑戦、大規模な投資が必要である。「身体、脳、空間、時間の制約からの解放」や「疾患の超早期予測・予防」など9つのムーンショット目標を掲げているのが現状だ。

それぞれの目標を達成するための研究や開発に大きな投資を行っている。

Q3.ムーンショット型の目標とはどんなもの?

A.ムーンショット型の目標とは、企業が人事面で取り入れる目標で、実現困難だが今までにないものにチャレンジをしていくための目標である。目標を実現するため、社員に根拠のある目標や斬新な目標を立ててもらうことで多様な考え方を持つ優秀な人材を育成することが可能だ。

著:せがわ あき
会計事務所に10年勤務。その後、会計ソフトメーカーでの勤務を経て、現在は会計・税務・金融などをテーマにライティング活動を行う。会計事務所では、顧問先の会計業務や融資支援に従事。融資のための提出資料作成や融資・資金繰りのアドバイスなどを行う。会計ソフトメーカー時代には、お客様対応業務に加えてソフト開発にも携わり、お客様の声を製品に反映させる仕事に従事。
無料会員登録はこちら