カーボンニュートラルの企業による具体的な取り組み

国内での企業によるカーボンニュートラルの具体的な取り組みを大手企業と中小企業に分けて紹介する。

大手企業

・株式会社東芝
同社では、幅広い分野での事業展開の強みを活かし「つくる」から「かしこくつかう」までを対象としたカーボンニュートラルへの貢献を実施。発電分野では、排ガスからCO2を分離回収、CO2を排出しない火力発電の開発を進める。さらに風力、太陽光、水力、地熱といった再エネの事業を展開。

洋上風力発電や「VPP(バーチャルパワープラント:仮想発電所)」と呼ばれる新しい技術の実用化によって再エネにおける安定性の確保を図る。電力を水素に転換するP2G (Power to Gas)技術の開発やリチウムイオン二次電池(SCiB™)の提供、公共機関へのSCiB™搭載により電化の推進など実用的な技術を次々と社会に提供している。

・三菱重工業株式会社
2040年に三菱重工グループ全体のカーボンニュートラル宣言『MISSION NET ZERO』を発表CO2排出量を2040年までにネットゼロにする目標を設定。カーボンニュートラル社会の道筋を表す「Breeze CONCEPT」に従ったCO2回収、輸送、転換利用、貯留といったCCUSバリューチェーン全体の最適化を柱に据える。

CO2回収技術、小型CO2回収装置、LCO2船、コンプレッサーなど、CCUSに関連した製品ラインアップを拡充。さらにCO2の輸送や貯蔵、転換利用のシステムを開発している。

中小企業

・株式会社艶金
同社は、岐阜県大垣市に本社を置く洋服生地の染色加工および生地や縫製品の販売を行う企業だ。活動が認められ2021年に中小企業版SBT認定を取得した。同社の主力事業である染色加工の工程においては、長時間高温に保った大量の水に生地を浸すプロセスが必要となり多大なエネルギーを要する。

海外製品に押され経営の見直しが迫られていた時期に、持続可能性の促進が同じベクトルであることに気付いたことが、カーボンニュートラルの起点となった。はじめに温室効果ガス排出量の算定を行い、自社の現状把握に着手。データをもとに照明のLED化や高効率のコンプレッサー導入を行い、生産量を落とさずに電力消費量を減らした。

また電力会社の再エネ推進企業優遇制度を活用したことでコストの圧縮にも成功している。

・協発工業株式会社
愛知県岡崎市において自動車部品の金属プレス製品を手がける同社は、国内初の中小企業版SBT認定企業だ。自社のCO2排出量の現状把握から90%が電気使用によるものと判明。蛍光灯をすべてLED照明に変更、社用車をEV自動車やハイブリッド車に変更した。また工場設備を省エネ仕様に切り替え、太陽光パネルを工場に設置。

さらにコンプレッサーの圧力変更、電力会社のプラン比較検討など地道な行動がSBT認定取得につながっている。