本記事は、杉原杏璃氏の著書『お金に働いてもらう! ほったらかし投資』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
投資の仕組み
すでにインデックスファンドを調べて、手数料などを比べて、証券会社を決めて、つみたてNISAとiDeCoで運用を始めた人もいると思います。
ここからはより一層投資について興味を持ってほしいので、株式や債券、投資信託、AIおまかせ投資などについて基本の基から解説していきます。
17年前の私は、株も投資もほんとに何も知りませんでした。始め方だけ本で読んで、投資をスタートしたのです。まずは私が初めて投資をした株式投資について、一からお勉強しましょう。
株式投資とは〈株式は何のためにあるの? 銘柄選びと買い方&売り方〉
会社を作るときや、会社を運営していくとき、資金が必要です。コツコツ働いて貯めた自己資金で、株式会社を創業した場合はその創業者が株主となります。また、資金を共同経営者や知り合いに出資してもらった場合、その資金の代わりに渡す預り証(証券)が株式であり、その出資者が株主になります。株主は出資のお礼として、会社から配当をもらいます。この段階でのこの会社の株は、売買というより、資金を出してくれた代わりに発行するというもの。これが株式会社の原型のようなものです。
その会社をより大きく発展させるため、より多くの資金が必要になった時、多くの人に株を買ってもらうという形で出資をしてもらう。これが株式売買です。でもその会社の株は未公開で一般の人は知りません。公開して株を買ってもらうには、会社を信用してもらわなければなりません。
その信用のお墨付きを与えるのが証券取引所です。株の売買は証券取引所でしか行うことができません。
お墨付きをもらった会社は、資金集めのために自社の株を証券取引所で売買してもらうことができるようになるわけです。この株という商品が、証券取引所の商品棚に並ぶことを株式上場といいます。
上場企業というのは、その会社の株(ある意味商品みたいなもの)が証券取引所で売られている会社というわけです。
株式投資は証券取引所で売られている株を、証券会社などを通じて購入して株主になること。
株主のメリットは、株を安く買って高く売ったときの売却益のキャピタルゲインと、インカムゲインと呼ばれる配当金と株主優待です。株主総会での議決権を持てるのも、人によってはメリットかもしれません。
投資した資金が必ず戻ってくるとは限りません。業績が下がったり、倒産したりすることもあります。これが株主に課せられるリスクです。
日本には「札幌証券取引所」「東京証券取引所」「名古屋証券取引所」「福岡証券取引所」の4つの取引所があります。
中でも東京証券取引所は通称・東証と呼ばれ、世界3大証券取引所の1つとして有名です。以前あった大阪証券取引所は、東京証券取引所と合併し、現在は市場デリバティブだけを専門に扱う大阪取引所という名称になっています。ほったらかし投資にデリバティブは向いていないので、お話はここまで。
世界にはたくさんの証券取引所があり、有名所はニューヨーク、ロンドン、ナスダック、上海、ユーロネクストなどで、一度はニュースで聞いたことがあると思います。インデックスファンドの外国株、先進国株、新興国株などは、ここで売られている株を運用します。
日本の株式投資では東京証券取引所がメイン市場です。2022年4月3日までは東証一部、東証二部、マザーズ、ジャスダック(スタンダード、グロース)の区分けがありましたが、2022年に整理され、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3区分になりました。日本取引所グループ(東京証券取引所)のホームページには区分について、上の表組のような説明があります。
ちょっとちんぷんかんぷんな感じですが、旧東証一部はプライムとスタンダードに。旧東証二部と旧ジャスダックのスタンダードがスタンダードに。旧ジャスダックのグロースと旧マザーズがグロースに区分けされたようです。
銘柄を決めたら、注文するときに大事な3つのこと
個別株の買い方のポイントを説明しますね。
株を購入注文するときは証券会社のホームページで、まずその会社の「板(気配とも呼ばれます)」と呼ばれる情報を確認します。「板」には売りたい人や買いたい人がどのくらいいるか、株価の状況などがリアルタイムで掲載されています。銘柄を決めたら、注文します。そのとき入力するのは、(1)何株注文するか、(2)いくらで注文するか、(3)注文の有効期限、大事なのはこの3つです。
ポイント1 何株注文するか
株は銘柄ごとに100株、1,000株など売買単位が決められています(今はほとんどが100株単位)。この単位ごとのセット販売が基本なので、売買単位が100株の場合は、100株か200株か300株かというように100の倍数で注文します。
ポイント2 いくらで注文するか
注文画面には「成行」と「指値」の2つがあります。値段を指定する「指値」での注文が一般的です。100円で買いたい場合は、100と入力。それは「100円以下で購入希望」と注文したことになります。120と入力したら「120円以下で購入希望」というわけです(なので場合によっては入力金額より安く買えるということもあります)。
「成行」は値段を問わずとにかくすぐに買いたい(売りたい)ときの注文方法です。急な支出があり、急いで売りたいときは、「指値」よりも優先的に売買が成立するので「成行」で注文することになります。ただ、価格の設定がないので、法外な値段で買うことになったり、すっごく安い価格で売ることになったりするリスクがあります。
ポイント3 注文の有効期限
注文の有効期限を決めることができます。本日中を選択すると「注文を出した当日のみこの注文は有効です」ということです。希望の「指値」でその日に決まらなかったら、注文は失効します。今週中を選択すると注文は金曜日まで継続されます。この期間の設定は証券会社で違いがありますので確認してください。次は債券投資について説明していきましょう。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます