本記事は、杉原杏璃氏の著書『お金に働いてもらう! ほったらかし投資』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
投資信託には個別株にはない、ほったらかし投資向きの5つのメリットが
メリット1/運用はプロにお任せ
株式投資の場合、どの銘柄にどのくらいの金額を投資するのか、すべて自分で判断しなければなりません。投資の知識や手法は奥深く、まったくの初心者が一から学習・習得するにはそれなりの時間と手間がかかります。私はいきなり始めたので「習うより慣れろ」でスタートしてもいいと思います。
その点、投資信託は投資信託会社が、どの銘柄にどのくらいの金額を投資するのかその時々で最適を選んでくれるので、投資家個人が難しい知識や手法を覚える必要はありません。豊富な知識と経験を持つ投資信託会社は、個人が買えない株式や、手を出しにくい債券にも投資できるので、資産運用の幅が広がります。
メリット2/分散投資でリスクを抑える
株式は最低売買単位が100株〜と大きいため、有名な銘柄に投資しようと思うと、まとまった資金が必要になります。そのため、まとまった資金のない個人では銘柄をいくつも購入することができず、分散投資するのが難しい場合があります。また、1つの銘柄だけに投資し、運用がうまくいかなかった場合、大きく損をしてしまう可能性もあります。
一方投資信託は、運用会社が複数の投資家から集めた資金を元手に国内外の株式や債券、不動産などに分散投資してくれます。複数の銘柄に分散投資しておけば、1つの銘柄がイマイチだった場合でも、他の銘柄の利益でカバーすることも可能であるため、リスクを分散することができます。
メリット3/少額から投資可能
今では100円からでも購入できる証券会社もありますが、一般的に株式を売買するには、ある程度まとまった資金(最低でも30万円くらいは用意したい)が必要になります。投資信託は複数の投資家から資金を集めるため、1人あたりの投資額は少額で済みます。なので、初心者の方にとっても安心です。具体的な額は販売会社によって異なりますが、多くの場合は5,000円程度から投資できるため、家計への負担を抑えながら資産運用することが可能です。
メリット4/透明性が高く、安心
投資信託は、監査法人などの行政から監督・審査を受けているので、投資の透明性が高いと言われています。また、市場が開いている間は絶えず値動きする株価や外国為替とは違い、投資信託は1日に1回だけの公表です。細かい値動きはありませんから、日中はチェックできない方にとっても安心です。
メリット5/自分向きの投資信託を選べる
投資信託は商品によって、投資の対象や運用方針などがそれぞれ異なります。投資家は豊富な商品の中から、自分の好みや方針、ニーズに合ったものを選べるため、納得して資産運用を行えます。
投資信託には3つのデメリットが
投資信託にはメリットがあればデメリットもあります。ここでは私の考える投資信託のデメリットを解説します。投資信託には次の3つのデメリットがあると思います。
デメリット1/元本保証がない
投資信託は、銀行預金のように預けた金額が全て戻ってくるという元本保証はありません。市場の動向によって値段が動くため、買った時よりも価格が上がることもありますが、逆に下がってしまうリスクもあります。
商品にもよりますが、経済動向や為替レートの変動、社会情勢などにより投資信託の価格は日々変化していきます。儲かる可能性がある一方で、損をするリスクがあることを覚えておきましょう。
デメリット2/手数料がかかる
投資信託を購入・保有・売却するには、それぞれ販売手数料、信託報酬、信託財産留保額という手数料がかかります。株式の場合は買付時と売却時しか手数料がかかりませんが、投資信託では保有時にも手数料(信託報酬)がかかります。そのため、保有しているだけで手数料がかかるという点は、株式と比べるとデメリットと言えます。しかし、インデックスファンドなら手数料が無料な場合も。
デメリット3/利益に税金がかかる
投資信託を購入し、分配金や売却益を受け取った場合には、利益に対して20.315%の税金がかかってしまいます。せっかく儲かったのにもかかわらず、約20%も税金がとられてしまうのは、大きなデメリットの1つと言えるでしょう。そのためにもNISAやつみたてNISAを使って、非課税制度を活用されることをおすすめします。
投資信託を選ぶ、気をつけるべきポイント3点
メリットとデメリットがわかったところで、投資信託商品の選び方の私の考えるポイントを紹介します。初めて投資信託を購入する人は、次の3点に気をつけて選んでください。
選び方1/海外などに分散投資をしているものを選ぶ
投資信託は1つの商品だけで分散投資ができていますが、さらに分散効果を高めるために投資する国や地域のバランスをチェックしましょう。
アメリカなどの先進国(G7加盟国)へ投資する商品や、ブラジルや中国、メキシコなどの新興国へ投資する商品などが代表的です。不景気や世界の経済投危機、紛争などの際には、さまざまな国に投資をしていた方が損失を最小限に抑えることができます。
選び方2/手数料が低いものを選ぶ
投資信託を選ぶ場合は、販売手数料、信託報酬、信託財産留保額の少ないものを選ぶようにしましょう。販売手数料と信託財産留保額については、無料の商品がおすすめです。信託報酬についても、年間何%なのかを事前に確認して、少しでも手数料が低い商品を選ぶことが大切です。信託報酬の最安水準は0.1%前後ですので、商品選びの目安にしてください。
選び方3/毎月分配型は避ける
投資信託には、毎月分配金がもらえるような「毎月分配型」の商品があります。言葉だけ聞くと、毎月利益が出ていて儲かっているように思いますが、お得な商品とは言えません。例えば、毎月分配型の商品の中には、利益が出ていないときには投資元本を取り崩して、分配金を出す商品があるんです。投資元本を取り崩してしまうと、投資することができる全体のお金が減ってしまうため、将来的な利益が減ってしまう場合があります。また、本来運用で儲かった利益を分配金として投資家に配らず、再投資する方が「複利の効果」でもっと利益を増やすことができます。
投資信託の始め方
最後に投資信託の始め方を説明します。基本的にはインデックスファンドと同じで重複している部分もありますが、もう一度おさらいしてください。
始め方1/投資信託を選ぶ
証券会社によって、取り扱っている投資信託商品には違いがあります。気に入った投資信託商品の取り扱いがない証券会社で口座開設してしまうと、その商品は購入できません。まずは自分が買いたい商品を探してみましょう。
初めての投資では、たくさんの中から何がどういいのかわからず、商品を選べない事があると思います。売れ筋や人気で選んでもいいですし、なんとなく「日本は景気が悪いからいまいちかな」とか「景気のいいアメリカに投資したいな」くらいのイメージを持つだけでもいいと思います。そうしたら投資信託商品の取り扱いの多い金融機関を選ぶようにしましょう。
始め方2/口座開設する
購入したい投資信託が決まったら、金融機関で口座開設をします。もし具体的な商品が決まっていないときは、取扱商品数が豊富で手数料の安い、ネット証券で口座開設しておくのがいいと思います。
証券会社選びに悩んだら「投資信託会社がおすすめする証券会社ランキング」なども出ていますので、ネットで検索してみてください。
始め方3/投資信託を購入する
証券会社で口座を開設したら、いよいよ投資信託の購入です。元手資金となるお金を証券会社の口座に入金し、金額や口数を指定して購入します。
最初は、1万円など少額からスタートするのがおすすめです。操作や商品の選び方などに慣れてきたら、積立投資や、複数銘柄投資など、少しずつ投資の幅を広げていきましょう。
しつこいようですが、ほったらかしで投資信託を始めるならつみたてNISAはとてもお得でおすすめです。利益に対して20年間非課税という制度は利用しないと損だと断言します。
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