日本が抱えるSDGs達成に向けた課題

前述の「Sustainable Development Report 2023」によると、日本のSDGsスコアは2008年から右肩上がりで伸びている。世界的に見ても低い順位ではないが、ターゲット別に見ると達成度にばらつきがある。

【2023年】世界のSDGsランキングから見る日本の現状 上位国の取り組み事例も紹介
(※トレンドは近年の改善度合いを表したもの。○は「軌道に乗っている(維持している)」、△は「やや改善中」、▲は「停滞している」を表す。)
(参考:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT「Sustainable Development Report 2023」)

貧困や教育、産業などの課題には対応できている一方で、ジェンダー平等や環境問題に関するターゲットは総じて評価が低い。日本の取り組みがさらに評価されるには、官民一体となってこれらの問題に取り組む必要があるだろう。

4段階評価が低かったり停滞していたりするターゲットは、国内企業全体が向き合うべき課題と言える。

SDGs達成度の上位国の取り組み事例

SDGs達成度で上位につける北欧は、どのような取り組みを行っているのだろうか。日本ではあまり見られない取り組みを中心に、以下では参考にしたい事例を紹介する。

徹底した廃棄物削減やスタートアップ支援/フィンランド

フィンランドは持続可能性への国民意識が強いとされており、食品ロスやCO2の削減に国をあげて取り組んでいる。医療をはじめとした福祉制度の充実も、SDGsの面で高く評価されているポイントだろう。

主な取り組みとしては、「リデュース」と「リサイクル」を徹底した廃棄物の削減がある。また、SDGsスタートアップへの支援も手厚く、国営研究所の運営によって商品・サービスの開発環境を整えている。

そのほか、地域による独自の施策が充実している点も、フィンランドの大きな特徴だ。例えば首都のヘルシンキでは、飲食店や商業施設の持続可能性をスコア化することで、市民や観光客のサステナブルな活動をサポートしている。

SDGsについて学べる教育の場を提供/デンマーク

デンマークは教育面に力を入れており、全寮制市民学校の「フォルケホイスコーレ」でSDGsに関する学習の場を提供している。若い頃から環境問題・社会問題を意識させることで、国民が自律的にSDGsへと貢献するような仕組みだ。

さらに、デンマーク人はダイバーシティ実現にも積極的であり、社会全体がマイノリティや他人種を受け入れている。幸福度ランキングの高さ(※)からも、SDGsの関連施策を成功させていることが分かるだろう。

(※)国連による2018年のランキングで第3位。

ほかにも、余剰品のみを扱うスーパーマーケットの運営や、海洋ごみを利用したアップサイクルなど、デンマークは環境問題に対する施策も多い。気候変動から生じる海面上昇や大洪水を危惧する声があるなど、将来への不安が数々のSDGs施策へとつながっている。