減額請求のリスク

保証賃料は通常1、2年に1回見直しが行われ、保証賃料の減額を要請されるリスクがある。減額要請の理由はいろいろとあるが、近隣の賃貸物件相場や建物の老朽化などを理由に要請されるケースが多いようだ。

家賃保証なのに減額請求されるの?と思うかもしれませんが、あくまで契約期間中に継続して家賃を支払う契約であって、定額の家賃を支払う契約ではないので注意が必要だ。また、減額要請をされた時に減額を拒否した場合はどうなるのだろうか。最悪の場合は運営会社が継続不可能と判断すれば契約解除に至る。つまり、家賃保証を利用していても賃料減額リスクからは逃れることができないのだ。

家賃保証のその他のリスク

不動産の経年劣化や自然損耗による修繕コストはもちろん一括借上の物件でも発生する。上記減額請求とも関連してくるが、建物の老朽化を理由に減額請求されるケースでは空室率改善のためにリフォームを要請されることもある。特に、修繕費やリフォーム費用はオーナーと委託会社の利益が相反する問題となるので、状況に応じた適切な判断が求められる。委託会社の注文通りに行っていると、適正な収益が上げられない可能性もあるので注意が必要だ。

また、一般的に一括借上は新築物件で行われることが多いので、契約上、入居者が入るまでの一定期間は免責となり、その期間は家賃保証を受けられないこともある。通常、免責期間は2、3ヶ月が多いようですが、あまりに免責期間が長い契約は要注意だ。さらに、一括借上を委託している会社の倒産リスクもある。入居者の敷金は通常委託会社が預かるので、委託会社が倒産すると家賃を受取れないばかりか、敷金返金等もオーナーが負担しなければならない可能性があるのだ。

家賃保証利用の判断

一括借上などの家賃保証を利用するメリットはいくつかある。例えば、空室を改善する努力をしなくてもある程度の家賃収入は確保されますし、面倒な管理運営や住民対応もプロの委託会社に任せることができる。しかし、空室リスクを回避するためだけに家賃保証を利用することはあまりお勧めできない。リスクの程度は変わるが、空室リスクはどのような物件にも存在する。家賃保証により空室リスクを回避できたように見えても、空室リスクが家賃保証のリスクへと変わっているだけなのだ。一括借上契約は基本的に20年や30年といった長期間の契約となりますが、オーナーからの中途解約申し入れの際は違約金を請求される可能性もあるので、契約の際は長期を見据えた賃貸物件運営を考慮して慎重な判断を行うことをおすすめする。(提供:不動産 online)