人口動態の地価への影響

長年の研究から人口増加率や生産年齢人口比率は土地などの不動産市場に密接に影響すると考えられている。その考えによると、高齢化や人口の減少は地価に対してマイナスの影響を与える。単純に考えても高齢化や人口の減少が進むと、土地を活用したサービスの需要が低下するため、土地の需要自体も低下する。また、土地などの不動産は供給量を短期間で調整できるものではないので、供給過多となり地価の下落につながると考えられる。 高齢化や人口減少などの人口動態が、地価へ悪影響を及ぼすことは確認したが、その影響の度合いを短期間で推測することは極めて困難だ。特に、土地の取引価格は市況を反映するので、景気の良し悪しや物価水準にも大きく影響される。記憶に新しいリーマンショックの後は数年間不動産市況が低迷した。


日本の地価 今後の相場観

国土交通省が定期的に発行している主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)では主要都市の先行的な地価動向が発表されている。平成26年第2四半期の動向では、主要都市の地価は緩やかな上昇を続けており、全国的な地価も緩やかな上昇基調もしくは横ばいとなっている。

特に、住宅地区では全国的に堅調な総合評価の推移が発表されている。公示価格でも全国平均での下落率の縮小傾向が継続しており、上昇地点数の割合も全国的に大幅に増加している。

しかし、現在は景気の回復とともに低迷していた不動産市況も回復局面を迎えている。ただし、これは人口動態とかけ離れた短期間での回復に過ぎないので、長期間での地価動向を計る上では注意が必要だ。特に、土地購入の際は現在の市況が反映されるので、まず、現在の市況と比較して割高でないことを確認し、さらに長期で保有する場合は将来的なその地域の人口動態などを気にする必要がある。東京23区の土地だから将来の下落はないだろう、と安心して土地を買える時代ではなくなったのだ。住宅として何十年も居住する目的の場合は、将来の人口動態も見据えた土地選びと価格判断が必要となる。

(提供:不動産 online)

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