この記事は2022年12月13日(水)配信されたメールマガジンの記事「クレディ・アグリコル会田・大藤 アンダースロー『2023年は信用サイクルを防衛することが重要』を一部編集し、転載したものです。
シンカー
新型コロナウィルス後の景気後退が、これまでのものと大きく違う点は、政府・日銀の積極的な経済政策によって、民間の信用が拡大・縮小する信用サイクルが堅調なことだ。
2023年の大きなリスクは、政府・日銀の経済政策が徐々に弱くなり、海外経済の減速の影響も合わせて、企業の資金調達環境の悪化と事業継続の困難化で、信用サイクルが腰折れることだ。
政府・日銀が連携して信用サイクルを防衛することが重要な局面である。その連携に逆行する日銀の金融政策の引き締め方向の動きが起こるとは考えにくい。
新型コロナウィルス後の景気後退が、これまでのものと大きく違う点
新型コロナウィルス後の景気後退が、これまでのものと大きく違う点は、政府・日銀の積極的な経済政策によって、民間の信用が拡大・縮小する信用サイクルが堅調なことだ。感染抑制による経済活動の低迷でも、景気の底を抜けるのを防止している。
2023年の大きなリスクが、政府・日銀の経済政策が徐々に弱くなり、海外経済の減速の影響も合わせて、企業の資金調達環境の悪化と事業継続の困難化で、信用サイクルが腰折れることだ。中小企業金融機関貸出態度DIが信用サイクルをきれいに示す。
新型コロナウィルスの感染拡大によって下押し圧力をうけたが、政府・日銀による給付金、信用保証、無利子無担保融資、金融緩和の継続などで中小企業の資金繰りを支え、DIは大きな下落を回避し、+20程度の高原状態をなんとか続けることができている。
2023年の大きなリスク
2023年の大きなリスクは、政府・日銀の経済政策が徐々に弱くなり、海外経済の減速の影響も合わせて、企業の資金調達環境の悪化と事業継続の困難化で、信用サイクルが腰折れることだ。
無利子・無担保融資の返済も始まる。信用サイクルは、企業の事業の拡大・縮小のサイクルと連動しているため、失業率の明確な先行指標となっている。信用サイクルが腰折れると、失業率が悪化し、賃金上昇も止まるリスクとなる。
政府は、2023年度予算の骨太の方針で、企業の債務が増大している状況への対応に万全を期すとした。自民党の昨年の参議院選挙の公約にも、中小企業の資金繰りを支えるため、過剰債務の軽減を含めた支援が含まれた。
政府・日銀が連携して信用サイクルを防衛することが重要な局面である。その連携に逆行する日銀の金融政策の引き締め方向の動きが起こるとは考えにくい。
図:信用サイクルと失業率
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