本記事は、桐生稔氏の著書『話し方の正解 誰とでもうまくいく人の55のルール』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

相手の「名前」を呼ぶことの効用は?

会話,ビジネス
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

私の姓は「桐生」、名は「稔」です。

「桐生」のルーツを辿たどると、結構面白いことがわかります。

大化の改新で有名な藤原鎌足(中臣鎌足)が天智天皇より賜った藤原氏が源流だそうで、「い茂った場所」という意味があります。

日本には姓に「藤」が入っている人がたくさんいます。佐藤、伊藤、加藤、斉藤、後藤、近藤、遠藤……、この「藤」も藤原氏からきているそうです。

このように、姓には歴史があります。そして、先祖から脈々と受け継がれた姓に、親が思いを込めて名をつけてくれたもの、それが「姓名」、つまり「名前」です。

名前とは、自分だけの、まさに宝物とも言えます。

映画「東京リベンジャーズ」の主題歌にもなった、日本の4人組ロックバンド・SUPER BEAVERの『名前を呼ぶよ』という曲をご存じでしょうか。

この曲の歌詞に、次の一節があります。

〝名前を呼ぶよ あなたの意味を 僕らの意味を
 名前を呼んでよ 会いに行くよ 命の意味だ〞

***

この歌詞には、名前の意味がすべて詰まっていると感じ、私はジーンときました。

「姓名」とは、まさに「生命」だと思うのです。

だからです。

相手の名前を大切に思って、ぜひ、心から相手の名前を呼んであげてほしいのです。

「おはよう」ではなく、「佐藤さん、おはよう」。
「はい、どうぞ」ではなく、「鈴木さん、はいどうぞ」。
「ちょっといいですか?」ではなく、「高橋さん、ちょっといいですか?」。

というように。

そして、相手に何か言うときも「伊藤さんがおっしゃるように」「渡辺さんが言うことはよくわかります」「山本さんのおかげです」「中村さん、ありがとうございます」「小林さんにお会いできて、本当に光栄です」と。

私は珍しい姓の方にお会いすると、いつもルーツを聞きます。

「楠木というのは珍しいですね。もしかして楠木正成さんが先祖に?」

「山縣の縣は難しいほうの漢字なんですね。山縣有朋やまがたありともさんの流れだったりするんですか?」

案外、ビンゴだったりします。

前園、内園、外園という名字の方にお会いすると「鹿児島のご出身ですか?」と聞きます。たいがい「そうなんです!」と返ってきて、名前の話で盛り上がります。

以前「桐生って名字、カッコいいですね。私なんて佐藤で、ありきたりです」と言われる方がいましたが、私はこう言いました。

「佐藤って、日本一多いんですって。日本一ですよ! 素晴らしいじゃないですか」

そういうと、佐藤さんは、

「えー! 日本一なんですか! 実は、母方は平泉と言いまして、奥州の……」

名前の話はいつもクリティカルヒットして、会話が盛り上がります。

名前を呼ぶことは「相手の存在を証明する」ことでもあります。

大勢に向かって挨拶しても、誰に挨拶しているかわかりませんが、「加藤さん、おはようございます」と言えば、加藤さんは気づきます。名前を呼ぶということは、「あなたを認識しました」というサインです。

人が人生で一番辛いことは、自分のことを忘れられることです。

だから、名前を呼ぶことで「あなたは今、確実にここにいる」と相手を安心させてください。

相手の名前を大切に扱うことで、相手との関係性がさらに強固なものになるはずです。

話し方の正解
姓名は生命そのもの、だからこそ
相手の名前を大切に呼ぶ
話し方の正解 誰とでもうまくいく人の55のルール
桐生稔
◎13万部のベストセラー『雑談の一流、二流、三流」の著者。株式会社モチベーション&コミュニケーション代表取締役。日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー。日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー。一般社団法人日本声診断協会音声心理士。
◎1978年、新潟県十日町市生まれ。2002年、大手人材派遣会社に入社。営業成績がドベで新卒3カ月にして左遷される。そこから一念発起し、全国で売上達成率No.1を実現。その後、音楽スクールに転職し、事業部長を務める。2017年、社会人の伝わる話し方を向上すべく、株式会社モチベーション&コミュニケーションを設立。これまでに全国40都道府県で年間2,000回にわたり「伝わる話し方」のセミナーや研修を開催してきた。
◎セミナーや研修では、「1回で伝わる話し方テンプレート」「30秒で伝えるピンポイントトーク」などが大好評を博す。60分に20回以上笑いが起こるほど会場が盛り上がり、最後には衝撃的な感動が走る「心震わすメソッド」が評判を呼び、日本経済新聞、プレジデント、東洋経済オンライン、Yahoo!ニュースで紹介される。テレビ朝日とABEMAが共同製作する人気番組『マッドマックスTV論破王』では、ディベートの審査員も務めている。
◎著書に、『雑談の一流、二流、三流』『説明の一流、二流、三流』(以上、明日香出版社)、『10秒でズバっと伝わる話し方』(扶桑社)、『緊張しない「最初のひと言」大全』(Clover出版)など多数。

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