本記事は、越川慎司氏の著書『仕事ができる人のパワポはなぜ2色なのか?』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
会議で熱く語る「上司の独演会」にストップをかける成功率9割の「承認サンドイッチ」
会議の7割を自分1人でしゃべり続ける「ジャイアン上司」
『ドラえもん』に出てくるジャイアンは、聞いている人たちが耳をふさぐほどの音痴です。しかし、本人はまったくそれに気がついておらず、「みんなを喜ばせたい」という思いから、しょっちゅうリサイタルを開いては、熱唱をします。
会議で、長々と熱弁をふるってしまう上司は、まさに、このジャイアン状態。本人には悪気はいっさいなく、社員や会社のために、よかれと思って熱く語っています。
「ジャイアン上司」とでも言うべき状態です。
それだけに誰も止めることができず、放っておくと、「会議時間の7割は役職者がしゃべっていた」などということにもなりかねません。
そもそも、会議で、決定権を持つエライ人が会議の進行役をすると、自分の思うように議事を進めてしまうのでよくないのです。さらに、エライ人が進行役をやるもう1つの弊害が、この「司会役のエライ人が独演会を始めてしまいやすい」ということなのです。
では、会議でエライ人が独演会を始めてしまったら、いったい、どうすればよいのでしょう?
解決策
会議でエライ人の熱弁にストップをかける必殺技を伝授しましょう。
その必殺技の名は、「承認サンドイッチ」!
よかれと思ってしゃべっているエライ方は、自分の言葉が皆に伝わっているか不安に思いながら話しています。「わかってほしい」という思いが強いのに、周りの反応がイマイチなので、余計に熱が入り、話も長くなるのです。
この「承認サンドイッチ」では、まず、その思いに応えて、承認してあげることから入ります。具体的には次のような感じです。
「〇〇部長、ご発言をありがとうございます! たしかにおっしゃるとおりです。本質をついたお話で、たいへん共感いたしました」
こう言って、まず、「あなたの話は十分伝わりました」ということを伝えます。たとえ、話の内容に共感できなくても、否定はせず、「内容は理解しました」という事実を伝えればいいのです。そのうえで、こう続けます。
「しかし、会議時間の残り15分で2つのことを決めなければなりませんので、次のアジェンダに移らせていただきたいと思います」
そして、こう締めくくるのです。
「○○部長、ご協力ありがとうございました」
つまり、「承認+リクエスト+承認」という順番ですね。「議事を次に進めたい」というリクエストを、「承認」でサンドして伝えるのです。
できれば、ファシリテーターなどの、会議の進行役にこうした役割をやってもらうのがベスト。事前にファシリテーターに話を通しておくか、もしもそれが難しい場合は、同僚と協力して、あなたが発言したあとに同意してもらうようにして、場の雰囲気をうまくリードするとよいでしょう。
こうすれば、話を途中でさえぎられた上司も、「伝わったのならいいか」と、おとなしく引きさがってくれます。
「そんなにうまくいくの?」と思われましたか?
大丈夫、1万2,000人にこの手法を用いてもらったところ、再現率89%で上司の独演会を抑えられたという結果が出ていますから、効果は証明済みです。
最大のポイントは、上司がよかれと思ってしゃべっていることをしっかりと承認してあげること。プライドを傷つけず、顔を立てたうえで、「会議を進めたいので、ご協力ください」という気持ちを伝えることです。
ファシリテーターに、この手法を伝授し、上司の独演会を止めることができれば、会議時間が短くなるだけでなく、たとえばオンライン会議では、発言者の数が1.2倍から1.3倍に増えるという結果も出ています。
ジャイアン上司が独演リサイタルを始めたときは、ぜひ、使ってみてください。
「承認サンドイッチ作戦」で上司のことを
「わかってあげる」
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