東京23区を中心にマンション価格の上昇が続いています。新築マンションの価格上昇で中古マンションにも買いが向かい、両者が相互に好影響を与える上昇のスパイラルを形成しています。新築マンションはなぜ投資家を魅了するのでしょうか。新築マンションが人気になっている背景と、上昇的スパイラル、負のスパイラルについて考察します。

新築マンション価格は上がり続けている

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(画像=wooooooojpn/stock.adobe.com)

新築マンション価格は、月によって上昇・下落はありますが、年単位で見ると右肩上がりで上昇を続けています。株式会社不動産経済研究所が公表している「全国新築分譲マンション市場動向2021年」によると、東京23区と首都圏新築マンションの価格は下表のように推移しています。

首都圏新築マンション東京23区新築マンション
2012年4,540万円5,283万円
2013年4,929万円5,853万円
2014年5,060万円5,994万円
2015年5,518万円6,732万円
2016年5,490万円6,629万円
2017年5,908万円7,089万円
2018年5,871万円7,142万円
2019年5,980万円7,286万円
2020年6,083万円7,712万円
2021年6,260万円8,293万円

東京23区の新築マンション価格は2021年に8,000万円の大台を突破しています。とくにここ2年は上昇幅が大きくなっているのが目立ちます。新築マンションそのものの人気に加え、人件費や資材の高騰が価格に反映しているともいわれており、5年前の2016年と比較して1,664万円も上昇しています。

また新築価格の上昇が顕著なため、中古市場に流れるユーザーが増えることで、中古マンション価格も上昇を続けています。東京カンテイの「市況レポート」によると、2022年10月の東京23区中古マンション70㎡換算価格は6,971万円と、28ヵ月連続で上昇しています。

相互に好影響を生む新築と中古価格の関係

大原則として、はじめから中古という不動産は存在しません。必ず新築が中古になるので、資産価値の高い新築マンションを購入すれば中古になったときの価値も高いことになります。後で紹介するリセールバリューの高い物件がそれに当たります。

投資家は築10年になっても資産価値が落ちないことから、価格が高くても安心して新築マンションを購入します。購入する人が多いので不動産会社も高い価格で販売します。高価格のため購入できない人は中古マンションでもよいと考えるので、中古マンションの価格も上昇していきます。そして、中古価格が上がるので、さらに新築マンションの相場も上がっていくという状態が、現在起きている「上昇的スパイラル」です。

上昇的スパイラルとは何か

スパイラルとは「連鎖的な変動」という意味で、「好循環」「悪循環」という言い方で使われることがあります。上昇的スパイラルとは、AとBの2つの要因が互いに影響を与えて上昇することをいいます。

上昇的スパイラルの具体例として、米国の賃金上昇が挙げられます。米国では人手不足を解消するために積極的に賃金を上げる企業や商店があります。米国民は賃金が高いために消費意欲も旺盛で、その分インフレが進みます。

その結果、よくいわれる「米国は物価も高いけど賃金も高い」という状態になります。少々価格が高くても賃金が高いことから商品を買うので、さらに物価が上がるという上昇的スパイラルが起きるのです。ただし、インフレ抑制のために金利の上昇を招くので、好ましくない上昇的スパイラルともいえます。

一方で日本は長引く経済の低迷で、賃金の伸びが低い状態が続いています。賃金が伸びないことから可処分所得が増えず、物が売れないため物価も上がらないという「負のスパイラル」が生じています。そこにエネルギー・食品原材料の高騰によるコストプッシュインフレが起こり、賃金が増えないのに物価だけが上がるという多くの国民が困る状態に陥っています。

負のスパイラルに陥らないための対策とは?

長期間に渡って上昇を続けるマンション価格ですが、負のスパイラルに陥ることに注意する必要があります。株価にしてもマンション価格にしても、果てしなく上がり続けることはありません。下落に転じたときには、大きな損失を被るリスクがあります。

負のスパイラルの典型的な例が、1980年代末期から1990年代前半に起きたバブル崩壊です。当時株と不動産は「買うから上がる」、「上がるから買う」の上昇的スパイラルの様相を呈していました。買った不動産を担保にしてさらに別の不動産を買う投資家もいたようです。不動産で儲かった資金が株式市場にも流れ、1989年12月29日には日経平均株価が3万8,915円87銭の史上最高値(終値ベース)を付けました。

このときの負のスパイラルの始まりは1989年の金融政策の転換でした。不動産価格の行き過ぎた上昇を抑えるため、政府は金利の引き上げに踏み切ります。2.5%の公定歩合を6%まで引き上げた結果、企業や個人がお金を借りにくくなり、株や不動産への資金の流入が減っていきました。さらに1990年には総量規制が行われ、決定的なバブルの崩壊を招きます。

当時行われた総量規制は、「不動産向け融資の前年比伸び率を総貸出の前年比伸び率以下に抑える」「不動産業、建設業、ノンバンクへの融資実態の報告を求め、規制に違反した金融機関に是正を指導する」(引用:日本大百科全書(ニッポニカ))という内容でした。金利の引き上げや総量規制によって不動産の大暴落が起こり、連動して日経平均株価も急落する負のスパイラルが起こったのです。

ただし、現在のマンション価格の上昇はバブル当時とは要因が異なります。バブル期は株と不動産による上昇的スパイラルでしたが、現在は株価とは連動しておらず、新築マンションと中古マンションの上昇的スパイラルに限定されています。投機的要因はないので好ましい上昇といえる状態です。

とはいえ、負のスパイラルへの対策はとっておかなくてはなりません。負のスパイラルが起きた場合、影響を最小限に抑えるのに有効な対策は東京23区の新築マンションを購入することでしょう。

東京23区のマンションは資産価値が下がらない

東京23区内で物件を探すなら、資産運用型のマンションがおすすめです。資産運用型マンションは、東京23区内の好立地にあり、駅から近距離で高級感のある外観や室内、行き届いた管理と十分な設備などの特徴を持っています。これらの要素が備わっている新築マンションを購入すれば、中古になっても高いリセールバリュー(価格維持率)を維持できます。

リセールバリューとは、築10年を経過した分譲マンションの中古時流通価格を新築分譲時の価格で割った指数です。東京カンテイが調査した「首都圏駅別築10年中古マンションのリセールバリューランキング2021」によると、最もリセールバリューが高かったのは、東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」で211.1%となっています。新築で買ったときの価格が10年後に2倍以上に値上がりした計算です。

ランキング30位の京急本線「新馬場駅」(東京都品川区)でも147.8%のリセールバリューを維持しています。こちらは買値の約1.5倍です。

ランキング30位までのうち東京23区内の駅が28駅を占めています。神奈川県は2駅しかなく、埼玉県と千葉県の駅はランキングに入っていません。負のスパイラルを考慮して選ぶならリセールバリューの高い東京23区の物件を選ぶのがベストといえそうです。1.5~2倍近いリセールバリューのあるエリアの物件なら、相場が下降局面に入ったとしてもマイナスになる可能性は低いと考えられます。

投資家を魅了して買い手が後を絶たない新築マンションですが、万一上昇のスパイラルが終了したとしても高いリセールバリューを維持できる東京23区新築マンションの優位性は今後も変わらないでしょう。

(提供:Incomepress



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