資金繰り表を作成する方法
資金繰り表は、どのようにして作成すればよいだろうか。作成の手順について解説していこう。
資金繰り表の作成方法
「実績」と「予定」の2つに分けて作成する。資金繰り表の書式に決まりはなく現預金の流れが確認できるものであれば任意に作成可能だ。月ごとに集計して作成するのが一般的でありエクセルで簡単に作成できる。シンプルな計算表であるが、月次の現預金の残高が一目で分かる書式になっている。
売上が現金取引のみであれば「売上計上=現預金の増加」となる。しかし売上として計上できても入金が翌月末になる場合、売上計上の時点で現預金は増加しない。この場合、売掛金の勘定に算入し翌月末に売掛金の減少とともに現預金が増加することになる。また商品仕入を行い翌月10日支払いの場合は、買掛金として計上するため、この場合も現預金は減少しない。
翌月10日に買掛金の減少とともに現預金が減少することになる。このように売掛金と買掛金が発生するケースでは、現預金が増減するタイミングが回収日や支払日によって異なるため、注意しなければならない。
資金繰り表の具体的な作成手順は、以下のようになる。
1.過去3ヵ月程度の「資金繰り実績」を作成する
資金繰り表の実績欄に決算書・試算表・預金通帳から数値を落とし込む。もちろん決算書や試算表、事業計画書といったほかの書類と整合性の取れた数値になっていなければならない。なぜなら資料ごとに数値が異なってしまうと、資金繰り表の信ぴょう性が疑われかねないからだ。2.売掛金・買掛金の入金までの期間や支払いまでの期間、経費の予想は過去の実績から現実的な数値を計算する
売掛金や買掛金は、過去の実績から入金までの期間と支払いまでの期間が確認できるため、取引先ごとに集計して増減のタイミングを考慮しながら落とし込むことが必要だ。例えば外注費・人件費・諸経費は、過去の実績から予想して落とし込むことができる。また外注費比率・人件費比率・経費率は、過去の実績から計算できるだろう。
経常外収支は、銀行などの融資申込額(実行額)と返済予定額を落とし込む。融資の返済予定表などで確認し、融資の残高を記載することも忘れてはならない。
- 3.3~6ヵ月程度の「資金繰り予想」を作成する
売上予想を立てるのは難しいが、過去の実績や今後の見込みをもとにできるだけ正確な数値を落とし込む必要がある。建設業などでは、受注工事明細書などの契約金額や入金予定の時期が資金繰り表と一致しているかを確認しなければならない。「予定」が3ヵ月先程度までであれば、具体的な契約予定の売上見込み、仕入などの支払い見込みから作成できる。
しかし4ヵ月以降となると売上見込みや支払い見込みを見積もるのが難しくなるだろう。具体的な契約予定などがなければ過去の実績を考慮して予想額を見積もるのが現実的だ。ただしできるだけ実態に合った数値にしなければ資金繰りを正しく把握できなくなるため、注意したい。
資金繰り表を作成する際の注意点
月末に入金が予定されていても支払日は10日、給料日が20日などと売上の入金前に支払いが必要となるケースも多いだろう。月末に資金が残る予定でも月の途中で資金ショートが起こる可能性もあるため、支払日は個別に把握しておく必要がある。このような場合には、より綿密な資金繰り表を作成して資金不足に陥らないかを確認しなければならない。
リアルタイムで実際の数値を把握するには、月単位ではなく状況に応じて週単位や日単位による資金繰り表を作成する必要がある。