地方企業特有のメリットを活かす

地方には地方のよさがあり、地方で事業を行うことにもさまざまなメリットがある。地方で事業をするならば、地方企業特有のメリットを活かしたビジネスモデルの構築が必要だ。

地方企業のメリット

地方で事業を行う主なメリットは、以下の3つだ。

・1.コストが安い
土地の取得価格や賃料、物価の安さは、経営上大きなメリットとなる。低コストで事業を行うことができれば、都市圏との格差をある程度埋めることができるだろう。また土地代が安いということは、それに伴う固定資産税も安いということになる。例えば以下のように地方自治体独自で税制優遇や補助金事業を行い、積極的に企業を誘致している自治体もある。

・長野県:創業者に対する事業税課税免除(創業等応援減税)
・埼玉県:工場操業にかかる不動産取得税相当額の補助(埼玉県産業立地促進補助金)など

こういった制度を活かすことができれば、設備投資にかかるコストを抑えることが期待できるだろう。

・2.物価・人件費が安い
物価の安さは、仕入価格や材料費の削減にもつながる。最低賃金が都市圏と地方では、まだまだ格差があることも人件費の削減ができる要因となる。人件費や物価の安さは、企業のさまざまな経費に反映し、製造原価や販管費の削減につながるため、低コストによる良質な商品の販売やサービスの提供が期待できるだろう。

売上が現状維持だったとしてもコスト削減により利益が確保できれば、事業拡大と同じ効果があるのだ。

・3.地方で人材を確保できる
都市圏は、人口が多いため「優秀な人材がたくさんいる」というイメージがあるかもしれない。しかし実際のところは、人材の争奪戦も多く人件費が高くなる傾向にあり、有能な人材を確保するのは難しい傾向がある。なぜなら人口だけではなく企業の数も地方に比べれば都市圏は圧倒的に多く、有能な人材はどの企業でも欲しいと考えるからだ。

特に技術職や管理職では、その傾向が顕著に現れることが多い。働き方改革やコロナ禍の影響により、地方に有能な人材が流れていることもあって、地方にも優秀な人材は多くいるはずだ。現代は、テレワークやワーケーションなどの流れが浸透したことで都市圏から地方に移住したいと考える人も増えてきた。そのため場所にこだわらない働き方として地方で働きたいというニーズもある。

「定年退職後に田舎暮らしをしたい」という希望から地方に移住した高齢者のなかからも、優秀な人材の発掘は期待できるだろう。