労働力人口の減少に伴い、ほとんどの産業で人手が不足している。その中でも飲食業の人手不足は深刻であり、店舗運営に支障をきたしているところも少なくないだろう。本記事では、飲食業の人手不足の状況や原因について説明した上で、採用者数を増やす方法や少ない人数で運営できるための仕組み化などについて解説する。
目次
飲食業界の人手不足の状況
飲食業界の人手不足は深刻であり、コロナ禍によるダメージも全産業の中でトップクラスだ。それぞれについて解説する。
飲食業は慢性的な人手不足
飲食業は人手不足が慢性的に続いており、コロナ禍以前から欠員率が高い。農林水産省の報告によると、2004年以降のデータでは欠員率は全産業の中でもトップであり、2015年には最も欠員率が低い製造業の2倍以上となっている。
また、飲食店で接客などを主力として行っているパートタイム労働者の過不足状況は、2019年8月がワースト1位で、この期間以外にも生活関連サービス業と並んで慢性的に人手不足が続いている。
コロナ禍によって店舗維持の負担が増加
コロナ禍では店内で飲食する客の減少により収益が悪化し、雇用者数を削減せざるを得ない店舗も少なくなかった。
コロナ禍直前の2019年の飲食業界では市場規模が10兆3,321億円だったが、2020年は7兆3,780億円と前年比71%まで落ち込んだ。飲食業全体として3割程度の売上減少となり、資金繰りに苦しむ店舗が少なくなかった。
収益悪化の対応策として、開店時間の短縮や労働時間削減、賃金抑制などで対応する店舗もあったが、雇用者数を削減することで店舗の維持を優先した経営者も多い。