中小企業が効果的に新規開拓する5ステップ

「新規開拓しろ!」と部下にはっぱをかけるだけでは、報告するための場当たり的な営業になりかねない。まずは新規開拓の目的を従業員と共有し、戦略的に取り組むことが大切だ。続いては、新規開拓の流れを具体的に解説していく。

ステップ1.新規開拓の目的を従業員に伝える

まず、新規開拓に取り組む目的を、自分なりの言葉で経営者が従業員に伝えることが大切だ。

目的の例を挙げると、コロナショックのような不測の事態でも揺らぐことのない強い企業にしたいことや、それが地域に愛される商品やサービス、働いてくれる従業員を守ることにつながること、自分が創業した会社、先代から引き継いだ会社を守りたい、存続させたいと願っていることなどである。

従業員の中にも「なぜ新規開拓が必要なの?」「今のままではいけないの?」という素朴な疑問がある。経営者がその問いに答え、従業員が意欲的に新規開拓に取り組めるようにすることが大切だ。

ステップ2.ターゲットを決める

次に、新規開拓のターゲットを決め、新規開拓リストを作成する。

新規開拓リストを作るにあたり、まずは既存顧客の分析が重要だ。ここは経営者1人で行うのではなく、従業員も巻き込んで、既存顧客と接している従業員、実際に営業を行う従業員の声を大切に決めていくことが望ましい。

たとえば、既存顧客で30~40代の年齢層がボリュームゾーンの場合、工夫次第で10~20代にも商品を届けられるかもしれない。ほかにも、既存顧客と同じ業種の企業にエリアを広げてアプローチすることで、新規顧客の獲得につながることもあるだろう。

年齢層やエリアを絞ることで、効果的にアプローチできる。

ステップ3.新規開拓の方法を決める

続いては、ターゲットに合った新規開拓の方法を決める。かつては飛び込み営業やテレアポが主流だったが、現在はSNSやアプリなど、さまざまな方法がある。新規開拓の方法は次の見出しで詳しく紹介するので、自社の商品やサービスの特性を踏まえて選んでほしい。

ステップ4.実行に移す

ターゲットや新規開拓の方法が決まったら、実行フェーズに移る。従業員の担当を決め、結果を全体で管理、共有する仕組みを作っておくことが望ましい。

たとえば、スプレッドシートで顧客リストを共有し、連絡先や担当者、初回接触日、受注日などを一覧で管理するといった方法がある。必要に応じて新規開拓ミーティングを開催し、進捗や成果について確認、共有する場をつくるのもいいだろう。

ここで大切なのは、従業員のモチベーションを保つことだ。「できないと怒られる」ではなく「できたら褒められる」という空気をうまく作り出し、従業員が新規開拓に意欲的に取り組めるよう配慮したい。

ステップ5.効果検証をする

月に一度、四半期に一度などタイミングを区切って、新規開拓の効果検証をすることも大切だ。必要に応じて、ターゲットや新規開拓の方法も見直すようにしたい。また、人員やツールなど必要なリソースが不足しているときは、採用や人材育成、ツールの整備を同時進行で行う必要があるかもしれない。