この記事は2023年3月10日にSBI証券で公開された「《「WBC」開幕!》関連銘柄をご紹介~業績も好調な「二刀流銘柄」も?」を一部編集し、転載したものです。

《「WBC」開幕!》関連銘柄をご紹介~業績も好調な「二刀流銘柄」も?
(画像=SBI証券)

目次

  1. 《「WBC」開幕!》関連銘柄をご紹介~業績も好調な「二刀流銘柄」も?
  2. 「WBC」関連銘柄のご紹介
    1. ヤクルト本社(2267)~三冠王村上選手の東京ヤクルトスワローズを所有。業績も最高水準
    2. ローソン(2651)~ローチケにチケット販売のプレイガイドを設置
    3. コラントッテ(7792) ~磁気配列技術を有する医療機器メーカー。甲斐選手の活躍に期待?
    4. アシックス(7936)~スポーツ用品の世界的大手。業績拡大で増配基調
    5. 美津濃(8022)~侍ジャパンオフィシャルユニフォームパートナー
    6. セイコーグループ(8050)
    7. 住友商事(8053)
    8. ゼット(8135)
    9. 三井不動産(8801)
    10. 日本航空(9201)

《「WBC」開幕!》関連銘柄をご紹介~業績も好調な「二刀流銘柄」も?

日経平均株価は2月は狭いレンジ内でもみ合ってきましたが、3月になると上放れてきました。同平均株価は3/9(木)、28,500円を上回り、昨年8月以来の高値水準まで回復しました。

東京株式市場では、相対的にバリュー株が強い展開が続いていましたが、米国では2月以降金利が再び上昇に転じる中、株価は下落基調でしたので、日本株にとっては強弱材料が対立する展開でした。しかし3月期末となり、配当取り等の買いが入りやすくなる中、日本株の強さが際立つようになりました。東証がPBR1倍割れ銘柄を減らすべく、上場企業に改善を促しており、バリュー株買い自体がテーマ物色の様相を呈しています。

そうした中、3/8(水)から、世界的なスポーツ・ビッグイベントであるWBC(World Baseball Classic)が開幕となりました。3/21(火)の決勝まで、野球の「世界一」を目指して熱戦が期待されるところです。

日本チームは、「二刀流」の大谷翔平選手(エンゼルス)、MLB(メジャーリーグ)で日本人初の最多勝投手となったダルビッシュ有選手(パドレス)、最年少で「三冠王」となった村上宗隆選手(東京ヤクルトスワローズ)、日本プロ野球で約28年ぶりに完全試合を成し遂げた佐々木朗希選手(千葉ロッテマリーンズ)等を擁し、「過去最強」と称されることも多いようです。3/9(木)には中国を相手に予選リーグをスタート。いよいよ盛り上がりをみせています。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では「WBC」に関連する銘柄をご紹介することとしました。関連銘柄は以下のいずれかの基準をベースに選んで銘柄を「母集団」としました。

(1)WBC公式Webサイトに、WBC開催に関連する企業として紹介
(2)各種報道等をもとにWBCに関連する企業であるとみなされた企業
(3)SBI証券Webサイトの銘柄検索ウィンドウに「野球」と入力し出力される企業。 ただし、WBCまたはプロ野球と関連が深い企業であること

ここで上記の(3)に関し、「WBC」と入力すると出力される銘柄もありましたが、「World Baseball Classic」を意味する「WBC」と関連する企業はありませんでした。

ご紹介する銘柄は以下の表の通りで、掲載はコード番号順です。掲載された銘柄以外でも、関連銘柄とみなせる企業がある可能性もありますので、あくまでも「例」としてのご紹介であるとご理解ください。“「WBC」または「野球」との関連性”に出ているコメントが、言い方を変えれば、関連銘柄とみなした理由となっています。コメント中に出てくるプロ野球選手はすべて日本代表選手です。

なお、銘柄名に★が付いている銘柄は、通期会社予想、四半期(累計)実績ともに、営業利益が増益(営業利益の開示がない場合は純利益、または黒字転換)の銘柄です。12月決算の銘柄は前期実績が営業増益であることを条件としました。これらは、足元の好業績も材料になる可能性があり、「WBC」と「好業績」の「二刀流銘柄」と言えるかもしれません。

「WBC」関連銘柄~「二刀流銘柄」も? 「WBC」関連銘柄~「二刀流銘柄」も? 「WBC」関連銘柄~「二刀流銘柄」も?
(画像=SBI証券)

「WBC」関連銘柄のご紹介

以下、「WBC」関連銘柄の一部について、ポイントをご紹介します。

ヤクルト本社(2267)~三冠王村上選手の東京ヤクルトスワローズを所有。業績も最高水準

東京ヤクルトスワローズを所有。同球団には、侍ジャパンの4番で昨季三冠王を獲得した村上選手が所属しています。昨年9月末の株主優待(野球優待)は、球団ファンクラブの無料入会権です。(優待内容は、毎年変更の可能性がある点にご注意ください)

乳製品乳酸菌飲料を中心に製品を展開しており、海外売上高比率は45%です(22.3期)。「Yakult(ヤクルト)1000」が人気を博し、各地で品薄状態となり話題になりました。昨年11月より生産体制の増強を行っています。

製品の人気に伴い、業績も好調に推移しています。今期は3Q累計で、過去最高売上・利益を達成。通期ベースでも更新予定です。また、継続的な増配を目指してゆくことを基本方針として掲げ、今期は6期連続での増配も実施予定です。

ローソン(2651)~ローチケにチケット販売のプレイガイドを設置

同社店舗では、ローチケというチケットを販売するプレイガイドが設置されています。今回のWBCでは、ローチケ経由での先行チケット販売や通常チケット販売がされています。

国内コンビニ事業(売上高60%)を中核としながら、こだわりの製品が人気のスーパー「成城石井」を運営をする成城石井事業(同16%)や、前述のローチケでチケット販売などを行うエンタテイメント事業(同9%)等を展開しています(22.2期)。

23.2期3Q決算(累計)は売上高7,573億円(前年同期比41%増)、営業利益451億円(同17%増)と大幅増収増益でした。コロナ2019による感染者数の減少や、顧客の需要動向に合わせた商品刷新や店舗改装が奏功した形です。

また、内需株やインバウンド関連が足元で選好されており、同社株価は年初来右肩上がりとなっています。

コラントッテ(7792) ~磁気配列技術を有する医療機器メーカー。甲斐選手の活躍に期待?

独自製法の磁気配列技術を有する医療機器メーカー。社名である『コラントッテ』は、大阪弁の「肩、こらんとって(=こらないで)」が由来です。ネックレスタイプの製品が有名で、侍ジャパンのメンバーである甲斐拓也選手(福岡ソフトバンクホークス)やフィギュアケートの宇野昌磨選手などが契約選手です。

前期(22.9期)は全部門で好調が続き5期連続での経常増益を達成。また、全利益項目において約5割の増益率となりました。今期(23.9期)はまだ1Q通過時点です。しかし、通期業績予想に対しての進捗率は51%、次の2Q決算予想に対しては同93%と、年間の四分の一を通過した時点とは思えないほど好調なペースでした

契約選手が活躍すると、同社製品の人気も高まることがあるため、WBCでの侍ジャパンの活躍に期待したいところです。

アシックス(7936)~スポーツ用品の世界的大手。業績拡大で増配基調

スポーツ用品の世界的大手で、野球製品も取り扱っています。

ランニングシューズを中心に、各種スポーツ用品を展開。欧州や北米などの売上高は日本を上回り、海外売上高比率は82%です(22.12期)。

前期(22.12期)は、過去最高の売上高・営業利益となり、中計の目標数値を前倒しで達成した形です。今期(23.12期)もコアパフォーマンススポーツおよびスポーツスタイルでの成長を織り込み、増収増益となる見込みです。

また、配当性向は50%を目安に掲げています。同社は業績拡大に伴い、1株当たりの配当金について、21.2期の年間24.0円から、前期(22.12期) は同40.0円と大幅増配を行いました。今期も同44.0円と増配が実施される予定です。

美津濃(8022)~侍ジャパンオフィシャルユニフォームパートナー

スポーツ用品大手で、侍ジャパンオフィシャルユニフォームパートナーです。WBCの公式応援グッズも取り扱っています。

1906年に創業され、野球ボールなどの販売が事業の始まりです。1910年には野球シューズを発売し、野球との縁が深い企業です。

WBCとの関連性も強いため、期待感からか株価は3/9(木)時点で4年ぶり高値を更新しています。今期(23.3期)3Q決算では、ほぼすべての競技スポーツ用品の販売が好調に推移したことや、非スポーツ事業のワークビジネス事業が好調を継続し、通期売上高と利益予想の上方修正を行いました。近年、健康志向の高まりからスポーツ用品市場は世界的に盛り上がりを見せています。

セイコーグループ(8050)

国内腕時計で最大規模の会社です。

侍ジャパン・大谷選手とはサプライヤー契約を結んでいます。大谷選手をイメージした限定モデルの時計の販売を手掛けています。

同社製品は、国内でも老舗ブランドとして人気ですが、海外でもファンは多く、海外売上高比率は50.5%と過半数を占めます(23.3期3Q時点)。

業績はコロナ禍で落ち込んだ時期もあったものの、今期(23.3期)は売上高2,570億円(前年同期比8%増)、営業利益120億円(同37%増)と好調に推移する見込みです。国内での個人消費の回復や、「グランドセイコー」などの高級時計市場の製品の販売が海外で好調でした。円安も海外市場での売上増に寄与した形です。

住友商事(8053)

同社は全国5大都市でケーブルテレビを展開するJCOMに50%出資しています。JCOMは、スポーツ番組専門チャンネル「JSPORTS」を運営している「株式会社ジェイ・スポーツ」の親会社(出資比率85%)です。「JSPORTS」は1次ラウンドから準々決勝まで、WBC39試合を生中継/LIVE配信する予定です。

日本の5大総合商社(同社と三菱商事、三井物産、伊藤忠、丸紅)の一角を占めています。部門別の純利益構成比(2023/3期第3四半期)は、「資源・化学品」(銅、ニッケル、リチウム、コバルト、アルミ他)が47%、「金属」(鋼管他)が17%、「輸送機・建機」が16%、「生活・不動産」が10%他となっています。2023/3期第3四半期(累計)は純利益が4,642億円(前年同期比38.5%増)と好調でした。資源・エネルギー価格の高騰で「資源・化学品」が大幅増益となった他、北米鋼管事業で市況が良好だった「金属」が増益になりました。通期では純利益5,500億円(前期比18.6%増)を見込んでいます。

会社予想ベースの予想配当利回り(3/9)は4.6%の計算で、5大総合商社のうち、当社の予想配当利回りが相対的に高くなっています。2/7(火)~4/28(金)の期間で、株数で3,300万株、金額で500億円を上限に自己株式の買い入れを実施中です。なお、2/28(火)までに、689.8万株(162億円)を買い入れ済みです。

ゼット(8135)

スポーツ用品卸の大手企業です。商社部門が売上高(2023/3期・第3四半期累計)の96%を占める中核事業で、世界中の優良企業と協力・提携しています。一流ブランドを日本で展開したり、新しいブランドを育てたり、ブランドのもつ価値を開発しながら、日本における幅広い普及に努めています。WBCの日本代表である中村悠平選手(東京ヤクルトスワローズ)、源田壮亮選手(埼玉西武ライオンズ)と、アドバイザリープロスタッフの契約を結んでいます。

2023/3期・第3四半期累計は売上高366億円(前年同期比10.6%増)、営業利益6.7億円(同140.2%増)と好調でした。学校活動の再開や各種スポーツイベントの再開、FIFAワールドカップにおける日本の活躍等が追い風になりました。同四半期の通期会社予想営業利益8億円(前期比62.6%増)に対する進捗率は83.7%で、WBCを味方に、上方修正を期待したいところです。

三井不動産(8801)

日本を代表する総合不動産会社です。

読売巨人軍の本拠地「東京ドーム」を運営しています。今回のWBCの開催会場には、東京ドームも1つに選ばれています。昨シーズンには東京ドームのリニューアル工事を行い、将来的にはコロナ前を上回る営業利益水準を目指しています。

今期(23.3期)は、売上高2兆2,000億円(前期比5%増)、営業利益3,000億円(同23%増)の増収増益となり、過去最高を更新する見通しです。主力事業である「賃貸」で、オフィス・商業施設等の新規竣工物件による収益・利益増などが寄与すると予想しています。東京駅前に、本日(3/10)開業した「東京ミッドタウン八重洲」も当社が携わっています。

日本航空(9201)

大手航空会社で、売上高の9割弱が航空運送事業です(22.3期)。

同社は侍ジャパン・大谷選手とサポート契約を締結しており、CMにも出演しています。昨年にはJALマイレージバンク会員向けのツアー「JMBスペシャルJALで行く!MLBエンゼルス観戦ツアー」なども手掛けていました。

コロナ禍で大打撃を受け、赤字が続いていましたが今期(23.3期)はようやく純利益250億円の黒字転換する見通しです。売上高見通しも1兆3,580億円(前期比99%増)とコロナ禍以前の水準に回復する予定です。水際対策の緩和や全国旅行支援などが行われ、航空需要が回復し、搭乗客増へ繋がりました。

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数