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ソフトバンクがインドの通販業界参入

ソフトバンク < 9984 > は先月28日、インドのインターネット通販大手スナップディール(Snapdeal)に約680億円を投じて3割超出資し、筆頭株主になると発表した。この出資でソフトバンクはスナップディールの株式35%を保有する見込みだ。

9月に中国のアリババ集団のIPO(新規株式公開)によって巨額の含み益を得たばかりのソフトバンクが、「第二のアリババ集団」を狙って今度はインドの巨大市場に投資することが分かった。現在現地では、ソフトバンクのニケッシュ・アローラ副会長が交渉を進めていると見られており、11月中には孫正義会長もインド入りし、正式な署名がされると見られている。インドでは7月に同じく電子商取引企業のフリップカートが10億ドルの資金調達をしており、ソフトバンクのスナップディールへの出資が実施されれば、それに次ぐ規模となる。

インドで急成長する通販市場

スナップディールは新興企業でグルーポンに似たクーポン購入サイトとして2010年に創業した。11年にビジネスモデルを変更し、衣料品、アクセサリー、電化製品から住宅まで、500万点を超える物品を販売するインターネット通販になった。現在インドで2位のシェアを占めており、2500万人を超える会員を持つ規模を誇るが、ここにソフトバンクの出資が実施されれば、さらなる規模拡大が見込まれている。

このスナップディールの急成長は、インドの通販市場が急拡大していることによる。その拡大振りは凄まじく、2014年度の市場規模が23億ドルと予想されているが、これが2020年には14倍の320億ドルにまで膨らむと言われている。ソフトバンクのバイスチェアマンおよび SIMI の CEO であるニケシュ・アローラは「インドはインターネット人口が世界 3 位であるものの、E コマース市場規模はあまり大きくなく、より良く、早く、安いインターネット環境が構築されれば、大きく成長する可能性があることを意味します。」と述べている。
通販市場が拡大している原因には、同国には品揃えが豊富な大型小売店が少ない事とスマートフォンが急激に普及していることが考えられる。そのような状況を見据えて、2013年には米アマゾン・ドット・コムも参入している。

注目されるライバル企業

スナップディールはインド北部のニューデリーに本社を置いている。クナル・バールCEOはビジネススクールの名門である米ペンシルベニア大学ウォートン校で学び、2010年に友人と同社を創業している。

同社はインド全土の5千以上の市町に商品を届けており、主要株主としては米電子商取引大手イーベイやシンガーポールの政府系投資機関テマセク・ホールディングスなどが名を連ねている。前述したスナップディールの競合であるフリップカートは、7月の増資に先立つ5月には、やはり同業のミントラの買収を決めており、同国ではスナップディールとフリップカートの動向が注目されている。