本記事は、桐生稔氏の著書『説明の一流、二流、三流』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
手順を説明するとき
三流は、口頭で説明し、二流は、分厚い資料で説明し、一流は、 どうやって説明する?
よく家電製品を買うと、分厚い手順書がついてきますよね。あれ、読みます? 私は読みません。手に取った瞬間、読む気が失せてしまいます。
そんなことを言っている私ですが、20代の頃、会社のオペレーションをまとめるために手順書を作成したことがあります。
3カ月かけて作成した超力作。きっと喜ばれるだろうと思いきや、誰にも読まれませんでした。それもそのはず。文字だらけの文章が延々と500ページ。誰も読まなくて当然です。
普段、自分ではマニュアルや手順書は一切読まないくせに、いざ自分が作るとなると、読んでもらえると勘違いする。これは痛い経験でした。
手順書とは、作業の工程をまとめた文書のこと。会社でもよく登場します。
例えばシステムの仕様書、プロジェクトの進め方、〇〇マニュアル、そういった類の書面です。
一流はどうやって手順書を作成し、説明するか?
答えは「図解」です。文字だらけのものはまず読まれません。図解で示すほうが圧倒的に受け手に読まれます。
試しに、下の図を見て、誰のストーリーかを当ててみてください。
いかがでしょう。簡単でしたね(笑)。ご存じ桃太郎です。桃太郎の本はだいたい50ページくらいで作られていますが、流れを図解にするとこんな感じになります。知らない人にもストーリーが伝わると思います。
細かい文字より、図でパッと説明されるほうがわかりやすいですね。
「まるで1枚の絵を見せるかの如く、図解で示す」
一流は視覚にアプローチする天才です。文章を読み込むより、視覚で認識するほうが情報処理が圧倒的に早いからです。
例えば、笑っている状態を文字で説明しようとしたら、かなりの文字数が必要です。
「いま、私の口角は上がっており、歯が見えており、目尻は下に下がっており……」。そんな長文がLINEで送られてきたら嫌ですよね(笑)。だから絵文字を使うのです。
最後に、図解で説明するポイントを伝えます。
ひと言で言えば、図から書くこと。逆に言えば文字から書かないこと。
まず手順、流れ、ステップといった大枠から書く。それから文字を埋める。枠を書いて埋めるのは、画家が人物像を描くときと一緒です。画家は、鼻から描きはじめたりしません。まずは輪郭を描いて、各パーツの位置を決め、そして細かいところを描きだします。
ぜひこの機会に、一度社内を見渡してみてください。驚くほど文字だらけの資料が多いことに気づくはずです。
Road to Executive
一流は、図解で説明する
- 視覚を使って情報を伝達する
- 三流は、あいまいに説明し、二流は、詳しく長く説明し、一流は、どうする?
- 三流は、口頭で説明し、二流は、分厚い資料で説明し、一流は、 どうする?
- 三流は、何の根拠もなく語り、二流は、事実を並べて語り、一流は、どう語る?
- 三流は、話がバラバラになり、二流は、なんとなくまとめようとし、一流は、どうまとめる?
- 三流は、黙ってしまい、二流は、相手に合わせて妥協し、一流は、どうする?
- 三流は、いきなり頭が真っ白になり、二流は、いきなり説明しはじめ、一流は、いきなり何をする?
- 三流は、説明することで精一杯で、二流は、聞き手の耳に届け、一流は、聞き手のどこに届ける?
- 三流は、口頭だけで説明し、二流は、資料だけで説明し、一流は、どうする?
- 三流は、長いメールを送り、二流は、短くまとめたメールを送り、一流は、どんなメールを送る?