本記事は、桐生稔氏の著書『説明の一流、二流、三流』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
画面の使い方
三流は、口頭だけで説明し、二流は、資料だけで説明し、一流は、どうする?
リモートにもメリットがたくさんあります。「いつでもつながれる」「いろんな人と話せる」「移動の必要がない」、さまざまありますが、中でも、「瞬間的に資料が共有できる」、これは説明において画期的な進化です。
対面でも資料を配ればすぐに共有できる、そう思われたかもしれません。でも違うんです。最大の違いは「聞き手の目線」です。
対面では、資料を配った瞬間、ほとんどの人が下を向いて資料を見はじめます。話そっちのけで資料をパラパラめくる人も。
しかし、リモートの場合、モニターに資料を映した瞬間、目線は画面にあります。つまり、資料にも、話し手にも、目線が向いているということです。
これを使わない手はありません。
資料だけで説明するのは非常にもったいないことです。
「資料+表情+しぐさ」をフル活用して伝えるべきです。
学校の授業で、黒板に書かれた文字をずっと見ていて、眠くなった経験はありませんか? 面白い授業は、そこに先生の表情があり、動きがあります。黒板だけじゃなく、教卓の前で先生が大立ち回りをするからたいくつしないのです。
「資料だけで伝える」vs「資料+表情+しぐさ」で伝えるでは、軍配は確実に後者にあがります。このリモートの利便を最大限活かすには、画面を100%使い切る。これに尽きます。
聞き手が資料に集中しているときは、資料をメインに説明する時間。
聞き手が概ね理解したときは、表情やしぐさをメインにして説明する時間。
聞き手にインパクトを残したいときは、一旦資料を映すのをやめて、あえて表情やしぐさだけで説明する時間。
そしてまた資料を映す。こうやって画面に変化を起こすこと。
当社でも、セミナーや研修をする際は、次の3つを行き来させます。
- 資料メインで説明する
- 表情やしぐさをメインにする
- あえて表情やしぐさだけで伝える
コロナ以後、全国の講師が集まり、何度もオンラインの練習を行いました。その結果、まるでテレビを見ているかのように、画面がどんどん切り替わるすべを身につけました。
スティーブ・ジョブズが、新商品のプレゼンで、ステージをフル活用し、スライド、表情、動き、すべて駆使して説明したのと一緒です。やはり、一本調子では飽きられます。リモートは、画面を100%使用し、変化を生み出す必要があるのです。
一流は使えるものはすべて使います。そのほうが聞き手に伝わるからです。フル活用して、全力で伝えようとする。その熱のこもった説明はきっと聞き手の心を捉えます。
Road to Executive
一流は、画面を100%使って説明する
- 画面の中に変化を起こす
- 三流は、あいまいに説明し、二流は、詳しく長く説明し、一流は、どうする?
- 三流は、口頭で説明し、二流は、分厚い資料で説明し、一流は、 どうする?
- 三流は、何の根拠もなく語り、二流は、事実を並べて語り、一流は、どう語る?
- 三流は、話がバラバラになり、二流は、なんとなくまとめようとし、一流は、どうまとめる?
- 三流は、黙ってしまい、二流は、相手に合わせて妥協し、一流は、どうする?
- 三流は、いきなり頭が真っ白になり、二流は、いきなり説明しはじめ、一流は、いきなり何をする?
- 三流は、説明することで精一杯で、二流は、聞き手の耳に届け、一流は、聞き手のどこに届ける?
- 三流は、口頭だけで説明し、二流は、資料だけで説明し、一流は、どうする?
- 三流は、長いメールを送り、二流は、短くまとめたメールを送り、一流は、どんなメールを送る?