本記事は、桐生稔氏の著書『説明の一流、二流、三流』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
イメージできない人に
三流は、あいまいに説明し、二流は、詳しく長く説明し、一流は、どうやって説明する?
「仮想通貨って何ですか?」
こう聞かれたらドキッとしますよね。名前は聞くけど、説明しろと言われると難しい。
「仮想通貨とは、物品を購入し、又は役務の提供を受ける場合に、不特定の者と相互に交換を行うことができる財産的価値で、電子情報処理組織を用いて移転することができるものです」
なんて言われてもピンときません。
実は、一流には、相手がイメージできないときによく使う技があります。それが「対比」です。詳しく説明するのではなく、他のものと比べます。仮に法定通貨と比べてみましょう(※法定通貨とは、皆さんが毎日使っている紙幣、貨幣)。
もっといろいろ説明できるとは思いますが、イメージできない人にざっくり理解してもらうならこの程度で十分です。
もう少し簡単な例で。
「このサプリは食物繊維が20グラム取れます」
これだけ言われてもあまりピンときませんよね。なので、こう言ってみます。
「サツマイモ1本で5グラムの食物繊維が取れます。このサプリは1回で20グラム取れます」
サツマイモとの対比です。
子供に注意するとき、「ご飯は残さず食べなさいよ!」
なんて言ってもあまり響きません。そこでこう言います。
「世界には10人に1人、ご飯が食べられなくて、栄養が足りずに病気になる人がいるんだって。ご飯を食べられるって、本当に幸せなことだね」
世界と比べます。
商品を説明する場合、Before→Afterの対比も使えます。
「これまでのアプリケーションは10万人にアプローチするのが限界でした。しかし、今回開発したアプリケーションは100万人にアプローチできます」
「10万人→100万人」と、前後で対比することで、イメージできていない人にもすごさが伝わります。
相手がイメージできないとき、「もっと具体的に説明しなければ!」と思ったら、ちょっとストップ。他のものと比べてみてください。格段にイメージしやすくなります。人間はイメージできないと、ガンとして動きません。暗闇を歩くのと一緒で、わからないのは不安だからです。逆にイメージできれば動いてくれます。それを実現するのが対比なのです。
Road to Executive
一流は、「対比」で説明する
- 比べることでイメージを明確にする
- 三流は、あいまいに説明し、二流は、詳しく長く説明し、一流は、どうする?
- 三流は、口頭で説明し、二流は、分厚い資料で説明し、一流は、 どうする?
- 三流は、何の根拠もなく語り、二流は、事実を並べて語り、一流は、どう語る?
- 三流は、話がバラバラになり、二流は、なんとなくまとめようとし、一流は、どうまとめる?
- 三流は、黙ってしまい、二流は、相手に合わせて妥協し、一流は、どうする?
- 三流は、いきなり頭が真っ白になり、二流は、いきなり説明しはじめ、一流は、いきなり何をする?
- 三流は、説明することで精一杯で、二流は、聞き手の耳に届け、一流は、聞き手のどこに届ける?
- 三流は、口頭だけで説明し、二流は、資料だけで説明し、一流は、どうする?
- 三流は、長いメールを送り、二流は、短くまとめたメールを送り、一流は、どんなメールを送る?