バーボンについて

自己紹介が終わると、メイヴィル氏はサゼラック社について「バッファロートレースの親会社で、世界各国で事業展開している。」と説明し、バーボンの解説に移りました。

「バーボンは、新しいオークの新樽で熟成させなければいけません。新樽でなければいけないというところが非常に重要です。新樽であるからこそ、液体のフレーバーに対して一番大きなインパクト、影響を与えるのです。」とメイヴィル氏。

それから原料のトウモロコシ、ライ麦、麦芽の3つの穀物を次のように説明してくれました。

「穀物の成分は、51%以上がトウモロコシでなければバーボンとは呼べません。トウモロコシを入れることで、甘い、果実味に富んだフレーバーが生まれます。」

「2番目に多く入っているのはライ麦です。スパイシーで胡椒のようなアロマになるのがライ麦の特徴です。」

「3つ目の大きな材料は麦芽、モルトです。大麦の麦芽は、発酵時に酵素として役立ちます。」

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(画像=サゼラック社のマスターブレンダー、ドリュー・メイヴィル氏、「whiskeen」より引用)

次の説明は、「ライ麦比率の高いバーボン」「小麦比率の高いバーボン」について。

「全体の95%のバーボンが、ライ麦比率の高いバーボンです。」

「残りの5%はライ麦の代わりに小麦を使っています。小麦を使うとライ麦のスパイシーな、胡椒のような味わいはなくなり、代わりにバーボンの甘さや果実味が補強され、やわらかな丸みのあるバーボンになります。」

原料について一通り説明すると、「バーボン造りでとても重要なのは時間です。ゆっくりと流れてゆっくりと熟成する時間です。」とメイヴィル氏。

最後にバーボンの定義をおさらいして説明し、バーボンの説明を終えました。

バッファロートレース蒸留所について

「バッファロートレース蒸留所は1770年代からウイスキーを造り始めました。洪水のときも、第一次・第二次世界大戦のときも、禁酒法時代のときも、コロナ禍においても、さまざまな困難な時期にも絶えず造り続けています。」とメイヴィル氏。

禁酒法時代は医療目的という名の下に造り続け、コロナ禍はウイスキー造りを続けると共に消毒剤を作って病院に配ったそうです。

名前が「バッファロートレース蒸留所」になったのは1999年のことで、野生のバッファローが蒸留所付近に獣道を作ったことから“バッファローの通り道”という名が付けられました。

バッファロートレース蒸留所の長い歴史を説明した後、メイヴィル氏は「私たちのゴールは全く変わりません。世界で最高のウイスキーを造るというのが目標です。」と続けます。

そして「私たちはファインバーボンを造ります。利益があるときも、損失があるときでさえも、いつでも素晴らしいファインバーボンを造り続けます。」と語ってくれました。

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(画像=「whiskeen」より引用)

バッファロートレース蒸留所は多くの銘柄を製造しており、メイヴィル氏は「レシピ・ツリー」というユニークな図を見せてくれました。

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(画像=「whiskeen」より引用)

「ファミリーレシピのツリー、木と呼んでいます。一番下にレシピの種類があって、そこにどんなブランドが属しているか、赤い字で書いてあります。」

「私たちの製品には多様なおいしさがあり、通常よりも長い熟成期間を設けています。レシピ・ツリーにあるように、レシピには種類があり、それぞれの特徴を作り出すことができます。」とメイヴィル氏。

その後、穀物を蒸留所に運び入れるところからバーボンを製造する過程を説明してくれました。

ケンタッキー州の気候は寒暖差が大きく、バーボンの熟成に適した気候なのだそうです。

ブレンドやボトリングの説明時は「サンプルのテイスティングは私がやっておりますけれど、非常に時間がかかります。出来上がったものを瓶詰めする際、プレミアムなものは手詰めでボトリングし、大きなブランドは高速のボトリングをします。」と教えてくれました。