本記事は、理央周氏の著書『なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

ビジネス
(画像=FAMILY STOCK/stock.adobe.com)

弱みを補ってくれる人と組む

× タイパの低い人
「弱み」の克服に時間をかける

○ タイパの高い人
「強み」を最大限に生かす

完璧な人などいません。人それぞれに「強み(得意なこと)」「弱み(苦手なこと)」があります。仕事で価値を生むためには、強みを生かすことが重要です。

営業の仕事をしている年下の友人から「口下手で悩んでいるんだけど、克服する方法はない?」と相談を受けました。営業のように客前で仕事をする人は、「饒舌じょうぜつであること」が強みだと思いがちです。たしかに、いつもおもしろいことを言える人であれば顧客も喜ぶかもしれません。しかし、饒舌すぎると、「口車に乗せられるんじゃないか?」とかえって警戒する顧客も少なくありませんし、話をよく聞いたうえで、大事なことだけを言ってくれる人を信頼する顧客もいます。

その友人は、口数は少ないけれどよけいなことを言わず、大事なポイントを的確に押さえてフィードバックしてくれるので、とても頼りになるのです。本人からすると口数の少なさを口下手だととらえ「弱み」と認識していましたが、私からすれば口数の少なさは物静かで頼りになる「強み」に見えています。

このように、見方を少しずらせば、弱みは強みになるものです。自分のなにが弱みかを正しく認識していれば、視点をずらして強みとして生かせます。また、その弱みを補ってくれる人と組めば、成果を出せるチームになるでしょう。

現場で一次情報を集める

× タイパの低い人
前例のない仕事を避ける

○ タイパの高い人
前例のない仕事に挑む

会社にとって「初めての仕事」「前例のない仕事」は新たな収益源になる可能性もあるので、価業にあたります。

経営やマーケティングにおいてまず分析すべきは、(1)お客様(市場)、(2)自社、(3)競合、の3つです。これらの情報は、データやメディアによる二次情報だけではなく、自分自身の足を使ってできるだけ現場で一次情報を集めるのがよいでしょう。

私は過去にラッキーストライクのメンソールという、それまでなかった新製品のタバコをつくる担当者をしていました。当時は仕事帰りに毎晩のようにタバコ店に通い、ラッキーストライクとその競合であるマールボロを買う人たちの違いを観察しました。夜中になるとそのままクラブやディスコに行き、ラッキーストライクを吸う顧客の特徴を観察しました。すると、ラッキーストライクを吸う人は、1人できたり、こだわりの強いファッションをしたりしている。一方でマールボロを吸う人は大勢でクラブにくる傾向にあることなどがわかりました。

これらは実際に足を運ばないとわからなかった違いですし、この違いは、そのあとの広告戦略を考えるときにもとても役立ちました。

新しい仕事に取り組むときは、人の力を借りてできるだけ早く「作業」を終え、サボる時間を確保し、仕事の成果につながる「価業」に時間を使いましょう。

なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?
理央周
マーケティングアイズ株式会社代表取締役/関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授。本名:児玉洋典。1962年生まれ。静岡大学人文学部経済学科卒業。
大手自動車部品メーカー、フィリップモリスなどを経て、米国インディアナ大学にてMBA取得。アマゾン、マスターカードなどで、マーケティング・マネジャーを歴任。2010年に起業し翌年法人化。収益を好転させる中堅企業向けコンサルティングと、従業員をお客様目線に変える社員研修、経営講座を提供。『売れない問題 解決の公式』『「なぜか売れる」の公式』(ともに日本経済新聞出版社)、『仕事の速い人が絶対やらない時間の使い方』(日本実業出版社)など著書多数。

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