本記事は、理央周氏の著書『なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

ビジネス
(画像=FAMILY STOCK/stock.adobe.com)

全体像から逆算する

× タイパの低い人
「手のつけやすい仕事」を先にする

○ タイパの高い人
「時間がかかる仕事」から先にする

段取りをするには、「どんなアウトプット=成果を出す必要があるか」をまずは考え、そこからいまなにをすべきかと逆算して行動する必要があります。

料理をつくるさいには、「食卓にすべての料理が並べて、おいしく食べられる状態にするためには、どのような手順がいいか」を考えます。スープとステーキとサラダをつくるのであれば、時間をかけて味を染み込ませたいスープから先に仕込みます。煮込んでいるあいだに、人参のキャラメルグラッセをつくり、サラダをつくる。そこまで用意できたところでステーキを焼き始める……と段取りをするのです。ポイントは、「全体像から逆算すること」「最も時間のかかる仕事を見極めること」です。

仕事もこれと同じです。ウェブサイトの制作であれば、トップページ、会社案内、製品案内などのパーツからつくり始めるのではなく、「ウェブサイトを、お客様にどう使ってほしいか? どういう反応を求めるか?」を全体像から逆算します。

いちばん時間がかかるのが動画撮影だとすると、その準備を進めているあいだに、関係者に依頼して、打合せして、文章を練って……などと考えて、どのようにすれば全体をスピーディに進行できるかを、具体的な計画に落としこんでいきます。

急ぎの仕事も大事ですが、目の前の仕事にやみくもに取り組むのではなく、全体像から逆算し、とくに時間のかかるものから先に着手するように予定を立てましょう。

よけいな手間をかけさせない

× タイパの低い人
「自分の都合だけ」で仕事を進める

○ タイパの高い人
「次の人」を考えて仕事を進める

段取りをつけるさいには、全体像を把握することにくわえて、もう1つ大切なのは、「後工程あとこうてい」を考えることです。「後工程」とは、自分がした仕事を受け取る相手(次の工程の人)のことをいいます。仕事が速い人は、後工程の人が仕事を進めやすいように工夫しているのです。結果的に全体のスピードアップにつながります。

仕事とはリレーのようなもので、次の走者にバトンをうまく渡せるかどうかで、全体のスピードが大きく変わります。

私は過去にトヨタ系列の会社で、自動車のバネの生産管理の部署にいたことがあります。バネができるまでにはいくつもの工程があり、作業自体は機械が行ないますが、1つの工程と次の工程を橋渡しするのは人間の仕事です。そのときに、後工程の人が仕事しやすい状態で引き渡しできるかが、生産性にとって大きな差になります。

後工程のことを考えない人が、少しだけ遠い場所にバネを置いたとしましょう。「AからBに持っていく作業」に1秒かかったとして、その日2,000個のバネを移動させたら2,000秒、つまり30分近い時間のロスになります。このロスは、結果的に、全体の仕事の遅れになります。

後工程の人のことを考えずに仕事をしてしまうと、相手に手間と迷惑をかけて作業効率が落ちるだけではなく、ときには「やり直し」が発生してしまうのです。

なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?
理央周
マーケティングアイズ株式会社代表取締役/関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授。本名:児玉洋典。1962年生まれ。静岡大学人文学部経済学科卒業。
大手自動車部品メーカー、フィリップモリスなどを経て、米国インディアナ大学にてMBA取得。アマゾン、マスターカードなどで、マーケティング・マネジャーを歴任。2010年に起業し翌年法人化。収益を好転させる中堅企業向けコンサルティングと、従業員をお客様目線に変える社員研修、経営講座を提供。『売れない問題 解決の公式』『「なぜか売れる」の公式』(ともに日本経済新聞出版社)、『仕事の速い人が絶対やらない時間の使い方』(日本実業出版社)など著書多数。

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