本記事は、理央周氏の著書『なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

ビジネス
(画像=FAMILY STOCK/stock.adobe.com)

「方向性のズレ」は早めになくす

× タイパの低い人
最初から100%の完成度を目指す

○ タイパの高い人
まずは67%のドラフトを見せる

資料を作成するときに、決裁者や上司から「一発OK」をもらえる100%の資料をつくろうとすると、どうしても時間がかかってしまいます。資料をもとにスタートする仕事での成果を最大化するためにも、時間を短縮できるにこしたことはありません。

上司から修正の指示を受けることを嫌がる人が多いようですが、自分1人では気づくことができない視点を上司からもらえるのですから、むしろ歓迎すべきです。指摘されているのは、自分の能力の足りない部分ではなく、資料としての足りない部分だととらえて差し支えないでしょう。

資料での修正指示をなくすための秘訣は、完成度67%のたたき台、いわゆるドラフトを、修正可能な日数を計算したうえで見せることです。

67%のドラフトとは、「いい加減な資料」「分量が67%」ということではなく、「上司が骨格を把握できる状態の資料」だということです。

たとえばマーケティング企画の提案書であれば、「どんな人に、どんなアプローチで、どのぐらいの予算を使って、どのぐらいの効果が期待できるか」などの要旨を箇条書きでまとめて上司に見せれば、上司が判断するための骨格を提示できます。この段階であれば、方向性が大きくズレていたとしても、すぐに修正できるでしょう。

まずは67%のドラフトを見せて、方向性に大きなズレがないかを確認しましょう。

修正できるタイミングで見せる

× タイパの低い人
修正指示の可能性を意識しない

○ タイパの高い人
修正指示の可能性もふまえて動く

「67%のドラフトを見せたから、修正指示はないだろう」と考えるのは早計です。あくまで「ドラフト」「ベータ版」であり「完成版」ではありません。「完成版」を上司に見せるときにも、修正指示を反映できるタイミングにしましょう。

ドラフトで一度確認しているので、大きな方向性について修正指示が入ることはないはずです。ただし、詳細の部分については、上司のイメージや期待値とギャップがあることもあるので、修正指示を受けることもあるでしょう。その修正指示は、「組織として顧客に価値を提供する」という目的を達成するために必要なものですから、当然反映する必要があります。修正できるタイミングで完成版を上司に見せましょう。

この修正指示については、理由を確認・検証しておく必要もあります。たとえば、「上司がいいアイディアを思いついて新たな指示が入った」「ドラフトの骨格を、根拠になるデータを具体的に示したほうがよかった」などと理由がわかれば、自分の資料作成の進め方をブラッシュアップできます。今後は、上司の判断の傾向を踏まえて、対策を立てることもできます。

資料は、「対上司」をイメージしがちですが、資料の先には、顧客をはじめとする関係者がいるはずです。その関係者に価値を提供して、成果を生み出すことが目的であることを忘れてはなりません。視野がせまくならないように気をつけましょう。

なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?
理央周
マーケティングアイズ株式会社代表取締役/関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授。本名:児玉洋典。1962年生まれ。静岡大学人文学部経済学科卒業。
大手自動車部品メーカー、フィリップモリスなどを経て、米国インディアナ大学にてMBA取得。アマゾン、マスターカードなどで、マーケティング・マネジャーを歴任。2010年に起業し翌年法人化。収益を好転させる中堅企業向けコンサルティングと、従業員をお客様目線に変える社員研修、経営講座を提供。『売れない問題 解決の公式』『「なぜか売れる」の公式』(ともに日本経済新聞出版社)、『仕事の速い人が絶対やらない時間の使い方』(日本実業出版社)など著書多数。

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