JTG証券

インフレによる金利上昇などの影響で株価が不安定な値動きをするなか、多くの投資家から注目を集めているのが米ドル建債券です。

株式には相場の変動等による価格変動リスクが付き物ですが、債券は発行体が破たんしない限り償還日には額面通りの金額が返還され、株式の配当とは異なりあらかじめ決められた条件に従って利金が支払われます。さらにポートフォリオを安定させつつ着実に資産を増やすためには、国内の債券よりも好利回りの米ドル建債券への投資が有効です。

特に現在は、米ドルの長期金利のベンチマークとなっている米国10年国債利回りが2007年以来の高水準で推移していることから、米ドル建債券の利回りも上昇しています。

本記事では、米ドル建債券の魅力やリスク、債券の種類、購入方法などについて、詳しく解説します。

目次

  1. 債券(外国債券)とは
    1. 外国債券の種類
  2. 米ドル建債券の魅力
    1. リスクを抑えながら高いリターンを得られる可能性も
    2. 基準となる米国10年国債利回りが高水準で推移
    3. 分散投資に活用できる
  3. 米ドル建債券のリスク
    1. 価格変動リスク
    2. 為替変動リスク
    3. 信用リスク
    4. 流動性リスク
    5. カントリーリスク
  4. 米ドル建債券(債券型商品含む)の種類
    1. 普通債
    2. 劣後債(ハイブリッド債)
    3. 優先株預託証券(米ドル建の金融商品)
  5. 米ドル建債券の購入方法
    1. 証券会社から購入する
    2. 投資信託を活用する方法も
    3. 日本円でも、外貨(米ドル)でも購入できる
  6. 米ドル建債券を購入するならJTG証券がおすすめ
    1. 豊富な米ドル建商品ラインナップ
    2. 外貨建債券専用の相談窓口がある
    3. 外貨送金手数料が全額キャッシュバックされる
  7. まとめ

債券(外国債券)とは

債券とは、国や企業などが多数の投資家からお金を借りるために発行する有価証券です。債券を購入すると、発行体である国や企業などにお金を貸すことになります。

一般的な債券はあらかじめ償還期限(満期)が決まっており、満期になると元本が返還されます。投資家は債券を保有している間は、定期的に利子が支払われます。

外国債券とは、「発行体」「通貨」「発行市場」のいずれかが外国である債券のことです。

発行体が新たに債券を発行する際の利率は、通貨を発行している国の金利水準に基づいて決定されます。日本は低金利が続いており、米国をはじめとする諸外国に比べると金利が低いため、円建の債券よりも外貨建債券の利率の方が高くなります。

外国債券の種類

外国債券には、発行体や利払方式、通貨などによって、さまざまな種類があります。発行体で分類すると、主に以下の2つに分けられます。

・国や政府系機関などが発行する「公共債」
・民間企業が発行する「民間債(いわゆる社債)」

利払方式による分類では、以下の2つの種類があります。

・定期的に利子が支払われる「利付債」
・利子がない代わりに額面金額より安い価額で発行される「割引債」

ゼロクーポン債などの割引債は、満期に額面金額で償還されるため、額面金額と発行価額の差額が利子(利益)に相当します。

通貨による分類では、一般的に「円貨建債券」「外貨建債券」「二重通貨建債券」の3つに分けられます。この中でも「外貨建債券」は「払込み・利払い・償還」がすべて外国の通貨で行われます。米ドル建債券も、この外貨建債券に該当します。

米ドル建債券の魅力

外国債券のなかでも、米ドル建債券にはどのような魅力があるのでしょうか。ここでは、その魅力を紹介します。

リスクを抑えながら高いリターンを得られる可能性も

米ドル建債券には、株式投資と同様に元本割れのリスクがありますが、株式とはリスクの性質が異なります。株式は発行した企業の業績が悪化すると、大幅に株価が下落する可能性があります。また、企業の業績悪化に伴い、配当金が支払われなくなることもあるでしょう。

一方、米ドル建債券(普通債)は、発行体が債務不履行(デフォルト)に陥らない限り、期日になれば利子が支払われ、償還日には額面通りの金額が返還されるため、債券投資は株式投資よりもリスクが低いといえます。

ただし、債券価格は、市場金利の動向や発行体の信用力の変化などによって償還日までの間に変動するため、途中売却時には額面金額が購入金額よりも低くなる可能性があるという点には注意が必要です。また、購入時よりも円高ドル安時に途中売却した場合、または償還となった場合には、ドル換算では利益が出ていても、円換算では損失となっている可能性があります。

基準となる米国10年国債利回りが高水準で推移

以下は、米国の長期金利のベンチマークとなっている「米国10年国債利回り」の過去10年間のチャートです。

2020年以降、米国10年国債利回りは上昇に転じ、2022年には4%を超える場面もありました。インフレ(物価上昇)を抑えるために、FRB(米連邦準備理事会)が政策金利を引き上げていることが理由です。

米国の長期金利のベンチマークとなっている米国10年国債利回りがこのように高水準で推移していることから、米ドル建債券は比較的高い利回りが期待できます。

分散投資に活用できる

米ドル建債券は、分散投資に活用できるのも魅力です。分散投資とは、リスクを軽減するために、投資対象となる資産や地域、投資するタイミングを分散する投資手法です。

一般的に、株式と債券は異なる値動きをすることが多いといわれています。株式だけに投資する場合は、株価が値下がりしたときに大きな損失が生じてしまいます。しかし、株式と債券を組み合わせて投資すれば、株式の損失を債券の利益でカバーすることが可能といわれています。

分散投資では、異なる地域や通貨を組み合わせるのも有効です。米ドル建債券は米ドルで投資を行うため、日本の株式などポートフォリオが国内中心に偏っている場合、通貨の分散によって保有資産全体の値動きを緩やかにする効果が期待できます。

米ドル建債券のリスク

米ドル建債券は、利回りが比較的高く安定した収入が期待できますが、元本割れの可能性もあります。そのため、投資を行う前にどのようなリスクがあるのかを理解しておくことが大切です。ここでは、米ドル建債券のリスクを解説します。

価格変動リスク

米ドル建債券は、満期まで保有すれば額面金額で償還されます。しかし、途中売却する場合は、原則としてそのときの市場価格で売却することになります。

債券価格は、市場の金利動向や発行体の信用力の変化などによって変動します。購入時より値上がりしていれば利益を得られますが、値下がりによって損失が生じる可能性もあるので注意が必要です。

為替変動リスク

為替変動リスクとは、為替レートの変動によって円換算後の受取金額が変動する可能性のことです。米ドル建債券は米ドルで利子や償還金が支払われるため、支払時の為替レートによっては円での受取金額が変わってきます。

具体例として、「1米ドル=100円」のときに米ドル建債券を1万米ドル(100万円分)購入するケースについて確認しましょう。

償還時の為替レートが「1米ドル=120円(円安)」であれば、償還金は120万円(1万米ドル×120円)となるため、プラス20万円の為替差益を得られます。一方で、「1米ドル=80円(円高)」の場合、償還金は80万円(1万米ドル×80円)でマイナス20万円の為替差損が生じます(税金、手数料などは考慮外)。

ただし、高い利回りの債券は、購入時より円高になって償還されても、一定水準までの円高ならば、償還までに受け取る利子で為替差損をカバーすることが可能です。米ドル建債券に投資する場合は、損益分岐点(為替差損が発生しない為替レートの水準)を確認しておくとよいでしょう。

信用リスク

信用リスクとは、発行体の財務状況などによって元本や利子の支払遅延、支払不能(デフォルト)が生じる可能性のことです。発行体の信用リスクを見極めるためには、格付を確認するのが有効です。

格付とは、発行体の財務健全性を図る指標の一つで、民間の格付会社が発行体の支払能力を評価します。格付けの信用度は「AAA(トリプルエー)」が最も高く、一般的には「BBB(トリプルビー)」以上が「投資適格」と位置付けられています。「投資適格」とは、機関投資家の投資基準を満たしている格付けの水準のことで、発行体の債務不履行(デフォルト)リスクが低く、相対的な信用力が高い状態を意味します。一方、「BB(ダブルビー)」以下はハイイールド債、ジャンク債とも呼ばれ、信用リスクが高いかわりに利回りが高くなっています。

流動性リスク

流動性リスクとは、市場で取引できなくなったり、通常よりも著しく不利な条件でしか取引できなくなったりする可能性のことです。取引量が少ないと、債券を売りたいときに買い手が現れず、思うように売却できないことがあります。

カントリーリスク

カントリーリスクとは、発行体が所在する国や地域の経済・政治環境の影響で損失が生じる可能性のことです。例えば、戦争や災害が発生したり、国の財政が破たんしたりすると、予定通りに利子や元本が支払われなくなる恐れがあります。

米ドル建債券(債券型商品含む)の種類

米ドル建の債券型の商品には、主に、「普通債」「劣後債(ハイブリット債)」「優先株預託証券」の3種類があります。ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。

普通債

普通債とは、償還時に元本を受け取る一般的な米ドル建債券のことです。民間企業などの発行体が、資金調達のために発行します。

保有中は発行条件に基づいて利子が支払われ、満期を迎えると元本が返還されます。途中売却する場合は、売却時の市場価格で現金化が可能です。

劣後債(ハイブリッド債)

劣後債とは、普通債に比べて発行体のデフォルト時の債務弁済(元本と利子の支払い)の順位が低い債券のことです。

発行体のデフォルトや破たんなどの「劣後事由」が発生した場合、普通債を保有する一般債権者への債務弁済が完了したあとに、残余財産が劣後債保有者への弁済に充てられます。普通債よりも弁済順位が低い分、リスクが高いため、利回りは相対的に高く設定される傾向があります。

債券と株式の両方の特性を持つことから、「ハイブリット債」と表現されることも増えています。

優先株預託証券(米ドル建の金融商品)

優先株預託証券とは、米ドル建の金融商品です。厳密な商品区分では債券ではありませんが、各期の業績によって配当率が変動せず、一定期間・固定率で利子が支払われることが多いため、債券に近い商品性を持っています。また、米ドル建であることから、配当受取時や途中売却時、償還時の為替レートによって、円での受取金額や評価額が変動します。

債券ではありませんので、配当が支払われなくてもデフォルト(債務不履行)とはなりません。発行体の財務内容が極端に悪化した場合などは、配当が支払われないこともあるため、注意が必要です。加えて償還日は決まっておらず、初回コール日以降に発行体の任意で償還されることがあります。ただし、任意償還の有無やその時期についてはなんら保証がなく、任意償還されない場合もあります。任意償還されない場合の換金方法は売却のみとなります。

米ドル建債券の購入方法

米ドル建債券投資を始める場合は、どのように商品を購入すればよいのでしょうか。ここでは、米ドル建債券の購入方法を紹介します。

証券会社から購入する

米ドル建債券は、証券会社から購入するのが一般的です。米ドル建債券を扱う証券会社で口座開設し、入金が完了すると取引が可能になります。取扱銘柄数は証券会社によって異なるため、取扱商品の種類が豊富な証券会社を選ぶとよいでしょう。

また、米ドル建債券は銘柄ごとに利率や利回り、利払日、償還日、取引単位、格付などに違いがあるので、条件をよく確認したうえで投資判断を行うことが大切です。

投資信託を活用する方法も

米ドル建債券に投資する場合は、投資信託を活用する方法もあります。投資信託とは、不特定多数の投資家から集めた資金を一つにまとめ、専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などで運用する金融商品です。運用で得られた利益は、保有口数に応じて投資家に分配されます。

米ドル建債券を投資対象とする投資信託を購入することで、少額からさまざまな銘柄に分散投資が可能です。ただし、投資信託は「購入時手数料」や「信託報酬(運用管理費用)」などのコストがかかります。運用コストは長期の運用成果に影響を与えるため、複数の商品を比較してなるべくコストが低いファンドを選びましょう。

日本円でも、外貨(米ドル)でも購入できる

米ドル建債券は日本円から購入することもできます。購入時の為替レートをもとに、証券会社が日本円を米ドルに交換してくれるので、事前に外貨を準備する必要がありません。ただし、通常は為替手数料(スプレッド)がかかります。

米ドルを保有している場合は、その米ドルを使って購入することも可能です。証券口座に米ドルを入金すれば、外貨のまま米ドル建債券に投資できるので、購入時のスプレッドは不要です。ただし、証券口座に米ドルを送金する際に、外貨送金手数料がかかることがあります。

米ドル建債券を購入するならJTG証券がおすすめ

米ドル建債券を購入するなら、Jトラストグローバル証券(以下、JTG証券という。)がおすすめです。ここでは、JTG証券で米ドル建債券投資を始めるメリットを3つ紹介します。

豊富な米ドル建商品ラインナップ

JTG証券は、様々な米ドル建商品を取り扱っています。

米ドル建債券の普通債はもちろん、好利回りが魅力の劣後債や優先株預託証券など幅広い商品を取りそろえています。さまざまな銘柄を比較しながら、自分に合った投資先を見つけることが可能です。

外貨建債券専用の相談窓口がある

米ドル建債券に初めて投資する場合、「専門家に相談しながら投資判断を行いたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。

JTG証券には、外貨建債券専用の相談窓口が用意されています。豊富な知識と経験を持った専門スタッフが、外貨建債券に関する質問・相談に対応しているので、初心者でも安心して米ドル建債券投資を始められます。

外貨送金手数料が全額キャッシュバックされる

JTG証券では、外貨送金手数料が全額キャッシュバックされ、実質無料となる点もメリットです。外貨送金手数料が無料となる条件を以下にまとめました。

対象 JTG証券に口座があり、日本国内の金融機関から外貨を送金後、3ヵ月以内に対象商品を購入された方
対象通貨 米ドル、ユーロ、豪ドル、英ポンド、NZドル、カナダドル、ユーロ、トルコ・リラ、南アフリカ・ランド、メキシコ・ペソ
対象商品 JTG証券取り扱いの外貨建債券、外国株式、外貨建MMF、外国投信
サービス対象となる手数料 日本国内の金融機関からJTG証券への送金手数料 ※経由銀行への送金手数料のほか、リフティングチャージ、ケーブルチャージ、コルレスチャージなどの手数料も全額負担の対象です。
※2023年4月1日現在

なお、このサービスを利用するには、送金元金融機関から発行される送金依頼書や計算書などのコピーを、送金日から3ヵ月以内にJTG証券へ提出することが必要です。外貨送金と対象商品の買付、必要書類の提出のすべてが完了したあとに、送金手数料の全額が証券総合口座に入金されます。

このように、JTG証券なら外貨送金手数料を実質負担なしで米ドル建債券へ投資することが可能です。

まとめ

債券は、一般的に株式に比べてリスクが低く、定期的に利子を受け取りながら、償還日には額面通りの金額が返還されるため、安定した収益を得ることができます。その中でも米ドル建債券は国内債券に比べて利回りが高いため、為替変動リスクはありますが高い収益を得られる可能性がある魅力的な金融商品です。

そのため初心者はもちろん、ポートフォリオの再構築を検討している方にとっても有効な選択肢の一つとなります。米ドル建債券の種類が豊富なJTG証券で、米ドル建債券投資を始めてみてはいかがでしょうか。