昔から推奨されてきた、腹八分目。これは単なる節約を美徳とする精神論ではなく、健康にもとても良いことがさまざまな研究で明らかになっています。英語にも同様の言葉があるので、腹八分目は日本だけの価値観ではありません。

健康増進は人生の質を高めるだけでなく、払わなくてもよい医療費の削減にもつながります。とてもメリットの多い腹八分目について、具体的な実践方法も併せて解説します。

腹八分に医者いらず

腹八分目が健康にいいのは本当だった。医療費削減のためにも今日から始めよう
(画像=west_photo/stock.adobe.com)

日本では昔から、「腹八分に医者いらず」といわれてきました。満腹まで食べずに少なめに食べるようにしていると健康でいられるといった意味合いの言葉です。この他にも「腹八分に病なし」といった言い回しもありますが、いずれも意味は同じです。

ちなみに、英語にも「Light suppers make long life(軽めの夕食は長寿を生む)」という言葉があります。腹八分目の健康効果を直接的に示すもので、洋の東西を問わず腹八分目は健康的な食習慣であると古くから考えられてきたことが分かります。

欲深いことが美徳とされない日本では、腹八分目の言葉には欲深さへの戒めが含まれている部分もありますが、腹八分目で抑えることには高い健康効果があることが科学的にも明らかになっています。

腹八分目の食生活とは

それでは実際に腹八分目の食生活はどのように実践すればよいのでしょうか。腹「八分」というくらいなので、食べる量を20%減らすのが大まかなイメージです。これを摂取カロリーで考えると、1日の必要カロリーに対して20%減の80%程度に抑えることになります。

日本医師会が設置している「1日に必要な推定エネルギー必要量」のシミュレーターを使うと、条件によって1日の必要カロリー量を計算することができます。

「30〜49歳の男性、身体活動レベルが普通」の人を想定して試算してみると、2677.5キロカロリーという結果になりました。この場合であれば、2677.5の20%減にあたる2,142キロカロリーが腹八分目の食生活を手に入れるための目標数値となります。

その中でも病気の原因になりやすい動物性脂肪を控えめにすると、腹八分目の食生活によって一層「医者いらず」を実現できる可能性が高くなります。

こんなにある、腹八分目のメリット

腹八分目の食生活をすると、とてもたくさんのメリットが得られます。以下の5つのメリットを目の当たりにすると、今すぐ始めたくなるのではないでしょうか。

健康寿命が延びる

腹八分目の食生活は食べすぎを防止するため、生活習慣病の予防になります。特に万病のもととされる糖尿病はカロリーや糖質の摂りすぎが主な原因なので、腹八分目では高い予防効果が期待できます。

老化を防止する

人の老化にサーチュイン遺伝子が深く関わっていることが近年明らかになり、アンチエイジングの観点から高い関心を集めています。このサーチュイン遺伝子はカロリー制限によって活性化されるとの研究報告があり、腹八分目の食生活を続けていると老化を防止できる可能性があります。

体型の改善

お腹周りが出てしまうような体型には、食生活の乱れも大いに関わっています。腹八分目だと食べすぎることがなく、太りにくい体質が手に入ります。特に腰など贅肉がつきやすい部分がスリムになるとあって、体型の改善を含む美容効果も抜群です。

食後の眠気、ふらつきを防止

満腹まで食べると消化のために血流が集中するため、頭がぼーっとしたり、眠くなったりする原因になります。食後に眠くなった経験がある方は多いと思いますが、それは食べすぎも原因のひとつかもしれません。

腹八分目だと食べすぎることがなく、消化に回される血流が多くなりすぎないため、食後の眠気やふらつきを防止してくれます。つまり、食後の仕事や学業における能率の低下を防ぐ効果が期待できます。

医療費の削減

腹八分目には、金銭的なメリットもあります。食べる量が少なくなるので食費が少なくなるのもありますが、もっと大きなメリットは医療費の削減です。

医療費は健康を損なった時に発生する、決して建設的とはいえないコストです。本来であれば払わなくてもよいコストを削減することで、本当にお金を使いたいことに使えるようになります。病気になることで起きる精神的な負担軽減も含めて、これは腹八分目の食生活で得られる最大のメリットかもしれません。

腹八分目を無理なく実践する方法5選

腹八分目の食生活を今日から始めたいという方に向けて、無理のない実践方法を5つ紹介します。いきなり極端なことをしても続かないので、無理なくできる方法を厳選しました。

ゆっくりよく噛んで食べる

早食いは禁止です。ゆっくりとよく噛んで食べましょう。そうすることによって脳の満腹中枢が刺激されて、「十分に食べ物を食べた」と認識し、満腹感が得られます。これは歯や消化器官の健康という観点からも推奨される食べ方です。

低カロリー食材でかさ増し

たくさんある食材の中には、低カロリーでありながらかさが大きく、満腹感を得やすいものがあります。代表的なものに豆腐や厚揚げ、こんにゃく、キノコ類があります。

これらの食材はカロリーが低い一方で食べると満腹感を得やすいので、こうした食材でかさ増しをして「食べた感」を演出してみてください。

ベジファースト、ソイファースト

食べる順序を工夫すると、食べすぎを防止しやすくなります。おすすめなのは、ベジファーストとソイファーストです。

ベジとは野菜、ソイとは大豆のことです。野菜や大豆は食物繊維が多く、満腹感を得やすい食材です。同じ食卓にある食べ物の中でも、これらを最初に食べて満腹感を得やすい状態にしてから他のおかずやご飯を食べると、腹八分目でも満足しやすくなるでしょう。

一度ずつ箸を置く

ガツガツと一気に食べるのではなく、ひと口食べたら箸(フォーク、スプーンなども同様)を置き、ひと休みしてから次のひと口を食べる方法です。早食いは満腹中枢が反応する前に食べすぎてしまう恐れがあるので、ひと口ずつゆっくり食べることで早く満腹感を感じやすくなります。

1人分ずつ盛り付ける

腹八分目の摂取カロリーを意識して、1人分のプレートに盛りつけるようにすると、食べすぎを防ぎやすくなります。1人分のプレート以外の食べ物を食べると、それは食べすぎであることがはっきりしているからです。大皿に盛りつけると、ついつい他の人の分まで食べてしまう可能性があります。

無理なくできることから始めよう

古くから高い健康効果があるといわれてきた腹八分目について、その基本から具体的な実践方法まで解説しました。いきなり結果を求めて無理をしても続かないので、ここで紹介した方法を中心に、長く続けることを優先して長い目で取り組むようにしましょう。

最初から腹八分目だと空腹感がストレスになるのであれば、最初は「腹九分目」でも構いません。まずはできることから少しずつ始めることが重要で、それを続けながら少しずつ理想の食生活にしていくことが健康寿命を延ばし、理想の体型や体調を手に入れることにつながります。

(提供:Incomepress



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