本記事は、山本衣奈子氏の著書『気がきく人と気がきかない人の習慣』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=deagreez/stock.adobe.com)

気がきく人は 感想を3回伝え、
気がきかない人は 1回伝えて満足する。

あなたは、嬉しいことやワクワクすることがあったとき、それを周りの人に伝えていますか?

「楽しかった」「美味しかった」という感想ならしっかり伝えている人も多いのではないでしょうか。もちろんそれも大事なことです。

けれども、気がきく人は、感想を1回伝えて満足せずに、3段階で伝えています。その出来事の「前」「中」「後」の3回で、感想を伝えているのです。

何かに誘われたら、

前「楽しそう!」
中「楽しい!」
後「楽しかった!」

ご飯を一緒に食べるときは、

前「美味しそう!」
中「美味しい!」
後「美味しかった!」

特に忘れがちなのは、「中」の部分です。

どんなにあなたが楽しんでいても、美味しく食べていても、誘った側は不安を感じていたりします。「本当に楽しんでくれているかな」「本当に口に合っているのかな」。そんな考えが頭の中をグルグルしていることもあります。

そこで一言、「美味しい!」という言葉があれば、相手はとても安心しますし「誘ってよかった」と確信ができて、嬉しくなるのです。

取引先の社員の方に、これをいつも自然にやってくれる人がいます。

打ち合わせに行く話をすると、「お会いできることを楽しみにしています」と言ってくれるのです。楽しみにしてくれている人に会いに行くのは、こちらにとっても楽しみになります。さらに、いざ伺うと「お会いできて嬉しいです!」と喜んでくれて、終わってから帰ると「今日はお話しできて嬉しかったです」というメールを送ってくれます。

こうして続けて書くと少々くどいように思えるかもしれませんが、実際には「前」「中」「後」の間には時間が空いているので、まったくしつこく感じません。むしろ、「本当に喜んでくれていたのだなぁ」とますます嬉しくなりますし、その人のためにできることはないかという発想につながっていきます。

ここには、心理学でいうところの「返報性の原理」が働いています。これは、人は他人から好意や恩を受けると、それをお返ししたいという気持ちになることです。好意だけではなく、敵意や譲歩、自己開示などにも働くと言われています。

自分に向けられたものと同じもの、またはそれ以上のものを返したくなるのが人の心理です。気がきく人は、相手のことを考えて好意を積極的に伝えるので、それ以上の好意を受け取ることも自然と多くなります。

「嬉しかったです」という感想1つだけでも、何も言わないよりはずっといいです。

でも、その前段や後段がないと、本音というより「とってつけた言葉」のように聞こえてしまうこともあります。残念ながら、そのような言葉に人は深い感謝や喜びを感じたり、心を動かされたりすることはありません。

1回のみの感想が食パンだとすると、1段階の感想はサンドイッチです。食パンだけでも美味しくいただけますが、サンドイッチならより中身が詰まっていて、より美味しくなりますよね。3段階の伝え方で、言葉を美味しいサンドイッチにしていきましょう。

気がきく人は、前段と後段も大切にする!

「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣
山本 衣奈子
E-ComWorks株式会社代表/伝わる表現アドバイザー/プレゼンテーション・プランナー、産業カウンセラー
大学で演劇を専攻、在学中にロンドン大学に演劇留学。国内外での舞台経験を通して、相手を意識した「表現」と「届け方」を知る。その後人間心理をふまえた「伝わる伝え方」を徹底研究し、その実用性を検証すべくサービス業、接客、受付、営業、クレーム応対等の業務にて30社以上に勤務。15カ国5千人を超える国籍・業種・立場を超えた人々との関わりから、ついに円滑なコミュニケーションの極意を見いだす。
表現力だけでなく、現場で身につけたトラブル対応力、対人能力、傾聴力、マナー術等を駆使し、「伝わるコミュニケーション術」を確立。伝わる表現アドバイザーとして、企業や官公庁を中心に、コミュニケーション研修、プレゼンテーション研修、セルフマネジメント研修、マナー研修等を実施。年間180回近い企業研修や講演を行う現在、総受講者数は5万人を超え、「表現方法が多彩になるだけでなく、モチベーションも上がる」と評判に。そのリピート率は、業界屈指の8割を誇る。また、その会話力を高く評価され、著名人やスポーツ選手との対談の依頼も絶えない。

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