生命保険を解約するデメリットは? 損をしない解約タイミングはいつ?
( 画像=ZUUonline編集部)

生命保険の解約を考えている人の中には、どのようなデメリットがあるのか気になるという人もいるでしょう。生命保険を解約すると、「保障がなくなる」「新たな保険に加入しにくくなる」「解約返戻金が元本割れする」といったデメリットがあります。本記事では、生命保険を解約するデメリットや、損をしない解約タイミングについて解説します。解約せずに保険料を抑える方法も紹介するので、生命保険の解約で損をしないように理解を深めておきましょう。

この記事でわかること
  • 生命保険の解約をするデメリットは、「新たな保険に加入すると保険料が高くなる場合がある」、「解約返戻金が元本割れする場合がある」、「健康状態によっては新たな保険に加入しにくい」という点がある。
  • 生命保険を解約は、「新しい保険に加入したとき」、「解約返戻金が元本を上回ったとき」、「保障が不要になったとき」にすると損をしない
  • 生命保険を解約せずに保険料の負担を抑える方法は、「払い済み保険にする」、「延長保険にする」、「一部解約をする」方法がある。

生命保険の解約を考える主な理由

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険の解約理由として多かったのは以下のような理由です。

生命保険の解約理由
  1. 他の生命保険に切り替えたので:34.6%
  2. 掛金を支払う余裕がなくなったから:23.0%
  3. 掛金が更新により高くなってしまったから:12.8%
  4. 義理で入ったものなので:11.9%
  5. まとまったお金が必要となって:9.9%

他の生命保険に加入したい

現在加入している生命保険よりも、保険料や保障内容などの面で魅力的な保険商品があれば、乗り換えたいと考える人は多いでしょう。上記の調査結果を見ると、他の生命保険への加入に伴って既存契約を解約するケースが最も多く、全体の3割以上を占めていることがわかります。

複数の生命保険に加入している方の中には、「管理や手続きを簡素化するために1つの生命保険にまとめる」といったケースもあるでしょう。

保険料の負担を減らしたい

解約の理由として次に多いのは、「掛金を支払う余裕がなくなったから」「掛金が更新により高くなってしまったから」といった保険料の負担に関する理由です。また、義理で加入した保険の保険料を払い続けるのがもったいないと考えている人もいるでしょう。

生命保険の契約内容によっては、毎月数万円の保険料を負担しなければならないこともあります。ライフステージによっては支出が多くなる時期があるので、家計の支出を抑えるために生命保険を解約すると考えられます。

まとまった資金が必要になった

私生活においてまとまった資金が必要になった場合に生命保険の解約を検討する人は少なくありません。生命保険の中には「解約返戻金」を受け取れる商品があり、受け取れる金額は契約内容や保険料を払い込んだ月数などに応じて異なります。

途中解約だと払い込んだ保険料が全額戻ってくるわけではありませんが、契約内容や加入期間によってはある程度まとまった金額を受け取れるでしょう。

生命保険を解約するデメリット

生命保険を解約する主なデメリットは以下の3つです。

健康状態によっては新たな保険に加入しにくい

生命保険に加入する際は、自分の健康状態や既往歴などを告知する義務があります。そのため、健康状態に不安がある場合、新しい保険に加入しにくくなる可能性があるでしょう。

たとえば、一定期間内に入院や手術をした、健康診断などで精密検査を勧められたなど、病気のリスクが高いと判断されると新たな保険に加入しにくくなります。保険料の負担を減らすために既存の契約を解約したものの、数年後に資金に余裕ができ、再度生命保険への加入を検討する人もいるでしょう。しかし、健康状態によっては希望通りの生命保険に加入できず、必要な保障を準備できない可能性があります。

一度解約してしまった保険は元に戻せないので、健康状態に少しでも不安がある場合は、安易に解約しないほうがよいかもしれません。

新たな保険に加入すると保険料が高くなる場合がある

保険料は加入時の年齢などを基に決定するため、新たな保険に加入する場合は保険料が高くなる可能性があります。今回は、A社の保険料シミュレーションを行い、加入時の年齢による保険料を比較します。

【比較条件】
  • 保険の種類:終身保険
  • 保険金額:500万円
  • 保険料払込期間:60歳

上記の条件でシミュレーションを行った結果、30歳で加入する場合の保険料は1万870円、40歳で加入する場合は1万7,305円となりました。同じ保険商品でも月額6,000円以上の差が生まれることがわかります。

若い世代で健康状態に問題がない人の中には、「既存の契約を解約して、数年後に再加入すればよい」と考える人がいるかもしれません。しかし、再加入時には月々の保険料が高くなることを頭に入れておきましょう。

解約返戻金が元本割れする場合がある

生命保険には解約返戻金を受け取れる商品がありますが、途中解約の場合は払い込んだ保険料を下回るケースが多くなります。

貯蓄性がある保険の保険料は「貯蓄部分」と「保障部分」に分けられ、解約返戻金の原資となるのは貯蓄部分です。さらに運用経費などもかかるため、契約当初は返戻率が低くなってしまいます。

たとえば、終身保険の保険料払込期間を一定期間または一定年齢までに設定する場合、払い込みが満了するまでの返戻率は100.0%を下回るのが一般的です。また、早期解約の場合は解約返戻金がまったくないか、あってもごくわずかとなります。

解約返戻金の返戻率は、契約内容や保険料払込期間などによって異なります。解約を検討する際は、解約返戻金をいくら受け取れるのかを事前に確認しておきましょう。

生命保険の解約で損をしないタイミングは?

生命保険の解約で損をしないためには、新たな保険に加入するタイミングや、解約返戻金が元本を上回るタイミングなど、適切なタイミングで解約することが大切です。

新しい保険に加入したとき

保険の見直しを行い、新しい保険に加入する場合は解約で損をしないタイミングと言えます。たとえば、同等の保障内容で保険料が安くなる場合や、ライフステージの変化によって必要な保障が変わった場合などに、解約を検討してもよいでしょう。

ただし、新しい保険の責任開始日前に解約してしまうと、保険金や給付金の支払いが受けられない空白期間ができてしまいます。空白期間中に万が一のことが起こっても保障を受けられないため、新しい保険の保障が開始されたことを確認してから、元の保険を解約するようにしましょう。

解約返戻金が元本を上回ったとき

解約返戻金が元本を上回っている状態、つまり、支払った保険料よりも多く戻ってくる状態であれば、解約を考えてよいかもしれません。元本以上の解約返戻金を受け取れるのは、終身保険学資保険などの貯蓄性がある保険です。

解約返戻金が元本を上回るタイミングは、契約内容などによって異なります。たとえば、終身保険の場合、保険料払込期間を経過したあとに返戻率が100.0%を超えるのが一般的です。

ただし、終身保険は保険料払込期間が満了しても保障は続きます。解約すると本来続くはずの保障がなくなってしまうことを頭に入れておきましょう。

保障が不要になったとき

保障が不要になった場合は、生命保険を解約しても損をしないタイミングと言えます。具体的には、「保障が不要なほど資産を築いたとき」です。

病気やケガなどによる出費を手元資金で十分に賄えて、亡くなった場合には家族に十分な生活費を残しておけるくらいの資産があれば、生命保険の保障は不要と言えるでしょう。

ただし、生命保険への加入は相続税の負担を抑えることにもつながります。生命保険の死亡保険金は一定額まで非課税となるため、現金を相続するよりも相続税の負担が軽くなります。やみくもに解約をせず、受け取れる保険金が大きい生命保険などを残しておくなど、将来も見据えて検討しましょう。

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生命保険を解約せずに保険料負担を抑える方法

生命保険を解約せずに保険料の負担を抑える方法は以下の3つです。

生命保険を解約せずに保険料負担を抑える方法
  1. 払い済み保険にする
  2. 延長保険にする
  3. 一部解約をする

それぞれ、概要や仕組みについて詳しく解説します。

払い済み保険にする

生命保険を「払い済み」にすることで、解約せずに保険料の負担を抑えられます。

払い済み保険とは、保険料の支払いを中止しても保障を継続できる制度のことです。払い済みにしても保険期間は変わりませんが、保険金額は小さくなります。

たとえば、保険金額が500万円の終身保険を払い済み保険にする場合、保険金額が200万円や300万円に減額されます。保険料払込期間の満了後に返戻率が100.0%を超える商品であれば、支払った保険料以上の解約返戻金を受け取ることも可能です。ただし、保険加入時に想定されていた受け取り額と実際の受け取り額が異なる場合もあるのでご注意ください。

払い済み保険は、保険料の払い込みが困難になった場合などに有効な方法です。ただし、払い済み保険に変更すると特約が消滅し(一部の特約を除く)、主契約の死亡保障のみが継続する点に注意が必要です。

延長保険にする

生命保険を解約せずに保険料の負担を抑えるには、「延長保険」にするのも有効です。保険料の払い込みを中止して保障を継続する点は払い済み保険と同じですが、延長保険は保険金額をそのままに、保険期間を短くする制度です

たとえば、保険金額が500万円、保険料払込期間が60歳までの終身保険を延長保険に変更する場合、解約返戻金を元手に保険料の支払いを中止し、保険期間が50歳や55歳までと短くなります。なお、解約返戻金が少ない場合は延長保険に変更できないケースがあるので注意が必要です。

延長保険は、保険金額を変えずに新しく定期保険に加入する形となります。延長保険に変更すると、特約が消滅してしまう点に注意しましょう。

一部解約をする

生命保険の契約自体を解約せずに、「一部解約」をする方法もあります。

一部解約とは、保険金額を減額したり、付加している特約のみを解約したりすることを指します

たとえば、保険金額が1,000万円の終身保険を一部解約し、保険金額を500万円にするといった任意の金額に変更できます。保険金額の減額によって、保険料の負担を抑えることが可能です。また、一部解約すると解約返戻金を受け取れる場合があります。ただし、短期間で解約する場合は返戻率が低く、解約返戻金がほとんど受け取れない可能性があります。

一部解約をすることで、保険料の負担を抑えつつ、場合によっては解約返戻金を受け取れます。その一方で、万が一の際の保障が少なくなる点や、短期解約だと解約返戻金が受け取れない可能性がある点に注意しましょう。

生命保険を安易に解約して損をしないよう、適切なタイミングを考える必要があります。しかし、解約や見直しを考えている人の中には、自分がどのような手段を選べばよいかわからないという方もいるのではないでしょうか。

自分に合った手段や保険商品について知りたい場合は、保険の専門家に相談するのが近道です。

よくある質問

生命保険を早期解約するとペナルティはありますか?

生命保険を早期解約しても、ペナルティはありません。ただし、早期解約すると解約返戻金がほとんど受け取れないか、あってもごくわずかです。当然ですが、解約すれば保障もなくなります。本当に解約する必要があるのか、慎重に判断しましょう。

保険の解約を担当者に言いにくいのですが、どのように伝えればよいですか?

たとえば、「親戚や友人が保険会社に入社した」「保険料の支払いが難しい」など、個人的な理由で解約したい旨を伝えましょう。

担当者に直接連絡するのがどうしても気まずい場合は、コールセンターに連絡して解約書類を郵送してもらうことも可能です。

保険を解約したら、解約返戻金はいつ戻りますか?

解約返戻金の入金日は保険会社によって異なります。一般的には、解約手続きが完了後、1営業日から1週間程度を目安に振り込まれます。

生命保険を解約するなら何月がよいのでしょうか?

生命保険を解約するのは何月でも構いません。新しい保険に加入するなら空白期間(保障がない期間)ができないよう、保障が開始された後に解約しましょう。

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