配当金,税金,申告

昨今のアベノミクスで、株式投資を始めた人も多いだろう。ここでは、配当金を受け取った場合に、どのように税金を支払うのが最良なのかご紹介する。


配当所得について


まず、所得税と所得の基本的な仕組みを確認していく。
所得は、その内容により10種類に分けられる。例えば、個人事業者が事業で儲けた利益は事業所得、サラリーマンの給料は給与所得、個人が居住用財産を売却した利益は譲渡所得、といった形で所得の種類に応じて、決められた所得税が課せられる。

10種類の所得の中で配当所得とは、会社から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、基金利息並びに公社債投資信託等に係る所得が該当する。配当所得の金額は、受け取った配当金の額(収入金額)から、株式等を取得するために要した借入金の利子(負債の利子)を控除して計算する。

上場株式の配当所得について

上場株式等の課税方法は、下記の3種類がある。
①    総合課税(原則)
②    申告不要制度
③    申告分離制度

例えば、配当金を360,000円受け取った場合でそれぞれ考えてみよう。

【①総合課税を適用した場合】
総合課税の所得として確定申告をする。今回の場合は、360,000円がその他の総合課税に該当する所得と合算される。所得金額が高く、借入れをしており、さらに株式を取得している場合は、配当控除が受けられる総合課税を適用し、確定申告をしたほうがいいといえるだろう。

メリット :配当控除が適用される
デメリット:上場株式等の譲渡所得との損益通算ができない

【②申告分離課税制度を適用した場合】
申告分離課税制度を適用した場合、配当金に対して、所得税20%の税率で確定申告をすることができる。上場株式の譲渡損失がある場合は、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算できるようになる。例えば、上場株式の譲渡損失が1,000,000円の場合、配当所得の360,000円を損益通算が可能となり、所得の金額が抑えることができ、所得税の負担を減らすことができる。

メリット :上場株式等の譲渡所得との損益通算ができる
デメリット:配当控除が適用されない

【③申告不要制度を適用した場合】
申告不要制度を適用すると、源泉徴収額の20%だけで課税関係が終了する。ここでは、360,000円の20%に当たる72,000円が源泉税として差し引かれ、そこで課税関係が終了となる。手取金額としては288,000円となる。専業主婦の場合、配偶者控除が38万円適用され、配当所得以外に所得がなく、且つ、その金額が38万円以下の場合、所得金額がゼロになる。確定申告不要で手間がかからないため、メリットが大きいといえる。

メリット :申告の手間がかからない
デメリット:配当控除の適用がない、上場株式等の譲渡損失との損益通算ができない

配当控除とは

配当控除とは、先に触れた『総合課税』を選択した際に適用される税制上のメリットである。配当控除の対象となるのは、剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託の収益分配金となる。

配当控除の金額は、下記の2つのパターンに応じてそれぞれ計算する。
①課税総所得金額が1,000万円以下の場合
配当所得の金額の10%が控除

②課税総所得金額が1,000万円超である場合
1000万以円以下の部分は配当所得金額の10%
+1000万円超の部分に関しては配当所得金額の5%

以下、3つのパターンを例に、具体的に控除額の算出方法を見ていく。

例1)配当所得の金額が300万円、給与所得の金額が500万円の場合
【課税総所得金額】 300万円+500万円=800万円
【配当控除額】 300万円×10%=30万円が控除される

例2)配当所得の金額300万円、給与所得の金額800万円の場合
【課税総所得金額】 300万円+800万円=1,100万円
【配当控除額】 (1,100万円-1,000万円)×5%+(300万円-100万円)×10%=25万円が控除される

例3)配当所得の金額が300万円、給与所得の金額が1,050万円の場合
【課税総所得金額】 300万円+1,050万円=1,350万円
【配当控除額】 300万円×5%=15万円が控除される

課税総所得金額が段階的に上がるにつれて、配当控除の金額も縮小される。また、この場合に配当所得の金額は、配当金の金額から負債の利子を控除した後の金額になる。そして、課税の適用としては、総合課税の方式が適用される。

上述で確認してきたように、配当金を受け取った場合には、所得金額や自分の状況に応じて1)総合課税 2)申告不要制度 3)申告分離制度のどれが最良の選択かを考えていくと良いだろう。

(ZUU online)

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