中小企業の人材採用のポイント

人材育成や配置によって人財を育てる前段階として欠かせないのが人材採用だ。人材の活用につながる重要な人材採用のポイントを2つ紹介する。

自社に必要な人材を見抜く

中小企業の人材採用では、自社に必要な人材を見抜くための仕組みづくりが大切だ。

人手不足で悩む中小企業だからこそ、自社とミスマッチな人材を採用するのは育成において最も負担が大きい。特に、経験やスキルは優れていても人柄に難がある人材を採用すると、小さな組織の雰囲気があっという間に瓦解する恐れがある。

自社が必要とする人物像を経営者が明文化し、社内で採用方針を共有した上で、選考試験を実施することが肝要だ。

選考試験では、経営者や採用担当者の採用経験や感覚に頼った主観的な評価基準のみでの判断は避け、SPIのような学力診断と性格適性診断ができるような筆記試験を導入するのがいいだろう。

「筆記試験は当てにならない」と語る経営者や人事担当者は少なくないが、「客観性を担保するためにどう有効に活用するか」といった視点を持つことが大切だ。

人材募集の入口は複数持つ

人材を採用するためには応募者を募るのが大前提なので、応募への入口は複数準備しよう。

中小企業の人材募集方法といえば、ハローワークや就職・転職サイト、自社採用ページなどの利用が一般的だが、それだけでは必要とする人材へのアプローチが弱い。

採用までにかかるトータルコストを考慮した上で、「人材紹介(転職エージェント)」や「ダイレクトリクルーティングサービス」などの外部リソースを利用するのも一つの方法である。

人材紹介は、自社が必要とする人材を人材紹介会社に共有した上で、担当のエージェントにサービス登録者にアプローチしてもらうサービスだ。

ダイレクトリクルーティングは、サービス提供会社のデータベースに登録されている人材に、採用担当者が自らメール送信などでアプローチする採用方法である。

コストを抑えながら自社とマッチ度の高い人材を見つけたいならば、社員に友人や知人を紹介してもらう「リファラル採用」や、SNSを利用した人材募集や直接アプローチするといった方法もある。

人材を人財にするための心得

人材を人財にするためには、経営者が「人財」という言葉の重要性を認識して、積極的に発信していくことが大切だ。

人材と人財は、読み方や本質的な意味は同じで表現の違いに過ぎないが、文字にすると受ける印象が大きく異なる。人材の材は「材料」と捉えられやすく、人に冷たい印象を与えやすい。一方、人財という言葉は「人(社員)を大切にしている」という印象を誰もが持つだろう。

「名は体を表す」という言葉があり、文字には「言霊」が宿っているとも考えられている。経営者が普段から「人財」という言葉を使うことで、社員を大切な財産と捉える意識を持てるようになるだろう。