ついに来た新築マンション1億円時代、これから投資すべき物件は?
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首都圏の新築マンション平均価格が初めて1億円を超えたことが大きな話題になっています。その背景にはある大型高級マンションの販売が大きく影響したといわれています。今後、首都圏のマンション価格はどうなるのでしょうか。これから投資するのに狙い目の物件と併せて考えます。

社会に衝撃が広がった新築マンション平均価格1億円超え

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▽2023年3月の首都圏新築マンション地域別平均価格

2023年3月2023年2月前月比
首都圏全体1億4,360万円6,778万円211.86%
東京23区2億1,750万円9,020万円241.13%
東京都下6,741万円5,041万円133.72%
神奈川県5,865万円5,067万円115.75%
千葉県4,908万円4,420万円111.04%
埼玉県4,804万円4,736万円101.44%
出典:日本不動産経済研究所「首都圏新築マンション市場動向」をもとに作成

日本不動産経済研究所が発表した2023年3月の首都圏新築マンション平均価格が1億4,360万円と、1973年の統計開始以来初めて1億円の大台を超え、ニュースでも大きく報道されました。これまでマンションがどんなに高騰しても平均価格が1億円を超えることはなかっただけに、社会に衝撃が広がりました。

ただし、首都圏といっても東京23区が2億1,750万円と突出して高く、東京23区以外の各県は神奈川が5,865万円、千葉が4,908万円、埼玉が4,804万円とそれほど目立って高騰しているわけではありません。したがって、平均価格だけで首都圏のマンションは高くて買えないと考えるのは早計です。

平均価格を1億円超に引き上げたのはどんな物件?

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実は首都圏新築マンションの平均価格が1億円を超えたのにはからくりがあります。東京都港区に建設された「三田ガーデンヒルズ」という大型高級マンション全1,002戸のうち400戸が売りに出され、平均価格を押し上げたという事情があるのです。1戸の平均価格が約4億円で、400戸という戸数は23区で売り出された新築マンション総数の約3割に当たる数だといいます。

三田ガーデンヒルズは東京メトロ南北線、都営地下鉄大江戸線「麻布十番」駅徒歩5分の好立地にあり、地上14階建てで2025年3月に完成予定です。ワークスペースやプールなど共用施設だけで3,000㎡の規模を誇る超豪華マンションです。

ガーデンヒルズブランドとしては1983年に竣工した「広尾ガーデンヒルズ」以来40年ぶりの登場であり、三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスの大手不動産2社によって開発されました。広尾ガーデンヒルズは今も代表的なビンテージマンションとして資産価値を維持していることから、今回の三田ガーデンヒルズに対する期待も大きなものがあります。

売り出した400戸はほぼ完売の人気になっており、残りの戸数が売り出されるときも首都圏新築マンション価格を引き上げる要因になりそうです。

1億円は序の口?キャピタルゲイン狙いの高額物件ほどバブルになりやすい

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首都圏の新築マンションではキャピタルゲインを狙った転売があったことも明らかになりました。NHKの報道によると、東京五輪選手村に使われたことで知られる「晴海フラッグ」ではすでに転売が行われたようです。

当初6,190万円で購入した物件を9,500万円で売り出しており、買い手がいれば3,000万円以上のキャピタルゲインを得ることになります。

参照:NHK首都圏ナビ「首都圏新築マンション1億円超え 晴海フラッグではすでに転売か」

晴海フラッグの例は約1億円での転売ですが、これは序の口で海外不動産投資家は円安で日本の不動産が割安になっていることから、3億円以上する物件にもすぐに買いの手を入れるといいます。一時期話題になった海外投資家による日本不動産の爆買いという現象です。

そうなると日本の投資家も海外勢の買いを期待して、高額なタワーマンションや億ションにも積極的な投資を行うため、中古の価格もどんどん上がっていくというのが実情です。

投資家としては低価格帯の物件を買ってもキャピタルゲインを得にくいので、海外投資家が購入するような高額物件に投資資金が向かうことになります。つまり、高額物件ほどバブルになりやすいといえるのです。

1980年代後半から90年代初頭にかけて起きたバブル崩壊と同じ轍を踏まないためにも、地に足の着いた堅実な不動産投資を行うことが求められます。

マンション価格今後の見通しは?1億円以下の物件もまだまだある

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首都圏のマンション価格は今後どうなるのでしょうか。大きな鍵を握るのが資材価格と人件費の動向です。資材価格の高騰を呼んだウクライナ戦争は2023年5月10日現在で依然として終結の見込みは立っておらず、さらに長期化する可能性が濃厚です。

加えて建設業界の人手不足も解消の見込みは薄く、人件費の上昇は今後も続くでしょう。コストの増加が価格に上乗せされる状況が収まらない限り、売り出し価格が下がることは難しいと考えたほうがよさそうです。

次に注目すべきなのが金融政策の行方です。2023年4月9日、植田日銀新総裁が就任後初の記者会見で当面は金融緩和を継続するのが妥当と発言し、投資家の間にひとまず安堵の声が広がりました。しかし、基調的なインフレ率が2%に達するまでは金融緩和の継続が必要としながら、副作用もところどころに出ているとも述べています。政策の効果と副作用のバランスに注意することが必要という見解を示して政策転換に含みを残した形です。

万一金融引き締めに転換して住宅ローン金利が上昇すれば、マンション価格の高騰にも一定のブレーキがかかる可能性があります。

もう1点は円安や新型コロナウィルスによる入国規制の撤廃で増えるインバウンド需要の行方です。これまでコロナ禍のためオンラインで内見して物件の購入を決めていた香港などの海外投資家が、今後は来日して本格的に日本の優良不動産を買い付ける動きを活発化させるかもしれません。

以上のような理由から当面はまだマンション価格の値上がりは続きそうです。ただし、新築マンションの平均価格が1億円を超えたといってもあくまで平均であり、1億円以下の物件はまだまだたくさんあります。マンション価格高騰の流れに惑わされて不用意に高額な物件に手を出さないことが大事です。

これから投資するなら資産運用型ワンルームマンションが狙い目

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東京23区のマンション価格が今後も上昇または高止まりする可能性があるなかで、狙い目になるのが資産運用型ワンルームマンション(ワンルーム、1K、1DK)です。

資産運用型マンションとは、東京23区内の好立地、駅から近距離、高級感のある外観・室内、行き届いた管理、十分な設備など一定以上のクオリティを備えたハイグレードマンションのことを指します。ハイグレードマンションは需要に対して供給が不足しており、築年数を経ても高い入居率を維持できるのが特長です。まさに資産運用のために造られたマンションといえます。

ワンルーム物件は海外投資家が買うような専有面積の広いレジデンス型マンションに比べれば、価格はそこまで高騰していないので、まだ買いやすい水準にあります。

物件の一例を挙げると、東京都練馬区の「富士見台」駅徒歩6分にある1K(25.36㎡)ハイグレードマンションの新築価格が2,760万円~2,840万円と3,000万円以下で販売されました(一例であり、物件によって異なります)。資産運用型ワンルームマンションなら東京23区内でもそれほど高くない価格で購入できるのです。

キャピタルゲイン狙いの高級マンションにバブルの気配を感じる今、資産運用型ワンルームマンションで堅実にインカムゲインを獲得するのが賢明な投資方法といえそうです。

(提供:Incomepress



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