本記事は、菅原洋平氏の著書『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています。
不眠解消がダイエットにもなる
眠り始めに深部体温が急激に下がると、睡眠の質が上がるだけでなく、他にもいいことがあります。それは、ダイエットにも効果があることです。
実は、不眠症が改善すると、体重が減る人が多く見られます。これには、成長ホルモンが関係しています。
成長ホルモンの主な作用は骨や筋肉の成長促進ですが、そのほかに糖質、脂質、タンパク質の代謝にも作用しています。その中で、成人に特に関係するのが、脂肪を分解することです。
成長ホルモンは、食事や運動によっても増加することがありますが、1日の分泌量のうち、約70%は睡眠中に分泌されています。そして、成長ホルモンの分泌は、睡眠の深さに依存します。つまり、睡眠が深くなれば成長ホルモンが増えて、浅くなると減る、という関係です。
不眠症で深く眠れなくなってしまうと、成長ホルモンによる脂肪分解がなされません。実はこれにも理由があります。生物にとって「眠れない」というのは危機的な事態です。何か通常とは違う事態になっているので、もしかしたら、翌日は食べ物にありつけないかもしれない。そんな事態に備えるために、ゆっくりと長く燃焼してエネルギーをつくることができる中性脂肪を蓄えておく。このような生存戦略によって、眠れないと体重が増えてしまうことが多いのです。本当に危機的な状況ならば必要な機能ですが、ただの夜更かしでも同じように働いてしまうので、睡眠の力をつけて、成長ホルモンの作用でからだを適正体重に戻していきましょう。
深部体温リズムを知れば、成長ホルモンを増やすには、就寝前にからだの放熱を促せばよいということがわかります。不規則な生活や夜に活動しなければならないときも、自分にとっての「朝」の時間帯を決めて、その11時間後に運動で最高体温をつくっておけば、深部体温の急激な低下によって深い眠りをつくることはできます。
光の環境も、深部体温リズムに影響します。自分にとっての「夜」の時間帯にブルーライトを浴びていると、深部体温が低下しにくいことが明らかになっています。多様な生活のスタイルが可能になった分、自分で朝と夜をつくる意識で臨んでみましょう。
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