請求書よくあるQ&A

続いて、請求書に関するよくある質問を取り上げ、その回答とともに紹介していこう。

請求書は「紙」でも「電子請求書」でもいい?

請求書は、紙に印刷する形でも、PDFファイルなどのデジタルデータであっても問題はない。もっと言えば、紙の場合は「手書き」であっても問題なく、請求書の様式に決まったルールがあるわけではない。

請求書は「社印」でも「サイン」でもいい?

請求書には、自社の「社印」を押印して送付するのが最も望ましい。さらに言えば、「角印」であることがベターであることを覚えておこう。社印を押さず、担当者が企業名や自身の氏名を自署(サイン)で添えるのは、ビジネス慣習的には適切とは言えない。

振込手数料の負担はどうすればいい?

振込手数料に関しては、請求書を発行した側と請求書を受け取る側のどちらが負担するべきか、明確なルールはないが、基本的には請求書を受け取る側、すなわち代金を支払う側が振込手数料を負担するのが一般的だ。

この点に関しては、民法に記載がある「持参債務の原則」(第484条・第485条)に従う場合も同様の対応となる。

請求書の控えの保存期間は?

請求書の控えの保存期間は、個人事業主か法人かによってその期間が異なる。法人の場合は原則として「7年間」だ。この7年間の起点の日は、請求書を発行した事業年度を対象とした確定申告の期限日の翌日である。

ただし、法人の所得が赤字となり、欠損金額の繰越控除を適用させる場合には、原則として請求書の控えを10年間の保管しておくことが求められる。

請求書よくあるトラブル&対処法

日々多くの請求書を自社で発行していると、ヒューマンエラーによって請求書に関するトラブルが起きることがある。その代表的な例を2つ取り上げ、対処法を説明していこう。

間違った金額の請求書を送ってしまった

請求書に誤った金額を記載してしまった場合は、早急な対応が求められる。

対処として最も良いパターンは、相手にミスを指摘される前に金額が誤っていた旨を伝えて真摯に謝罪し、金額を修正した請求書を送付させてもらう形だ。

しかし現実的には、相手方に間違いを指摘されるケースも多い。その場合は信用を損なわないよう、先方に出向くことができる距離に自社があるのであれば、電話やメールではなく、実際に先方に出向いて謝罪するようにしたい。

もし誤った金額のまま先方が振り込みを行い、後日の売上処理で請求金額に誤りがあることを自社で見つけた場合は、その事実を速やかに先方に伝えて、正確な金額との差額分を入金させてもらうことを説明しなければならない。

くれぐれもこのことを隠すべきではなく、あとから多く振り込んでしまったことを先方から指摘されれば、取引停止や最悪の場合は損害賠償の対象となることもある。

間違った金額の請求書が送られてきた

逆に、誤った金額の請求書が送られてきた場合は、速やかに先方に修正をお願いしよう。差額が軽微であればさほど自社の事業に影響を及ぼさないが、「ゼロが1つ多い」(例:「50万円」のところを「500万円」と記載)といった金額の誤りは、自社のキャッシュフローに大きな影響を及ぼすことがある。

また、受け取る側が請求書の金額の誤りに気づかないケースもあることを想定し、請求書に書かれている金額を鵜呑みにせず、自社でその金額が正しいかチェックする過程も重要だ。