本記事は、小田全宏氏の著書『頭がいい人の脳の使い方』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
結果より時間を重視する
何かに取り組む時、大きく「この時間内でやる」という時間重視か、「できるまでやる」という結果重視か、いずれかに分かれます。
集中状態を生み出すには、どちらかに決めるのではなく、この「時間重視」と「結果重視」の両方を意識することが必要です。
「時間重視」で時間を区切って何かに取り組む場合は、とにかくその時間内は、集中して取り組みます。そして、時間が来たら、どんな結果であったとしても、「これでよし」と、自分の頑張りをそのまま認めます。同時に「次は、ここからやるぞ」と、次回の自分の頑張りに期待し、そのことを脳に刻んでから作業を終えます。
「結果重視」の場合は、それに取り組んでいる間中、仕上がった時の「うれしさ」を心の中でイメージしながら取り組んでいくことがコツです。
内容によっては、時間を定めて取り組むことが難しいものもあるでしょう。
しかし、最初から時間設定をしなければ、意識がボヤけて集中状態が作れません。
「結果重視」の案件であったとしても、「一定の時間が経ったら途中であっても、必ず休憩を取る」と決めて取り組むことです。
時間を意識せず、長時間取り組むことも決して悪いとはいいませんが、終わりの時間を設定していないと、脳が疲れますし、意識が散漫になりやすく、満足のいく結果を生み出せなくなってしまいます。
かつて国民教育の父と言われた森
どれだけ短い時間であっても、それこそたった5分であったとしても、「この間にハガキを1枚書こう!」と思うことで、その5分が活きてくるのです。
ゴールした時の自分をありありとイメージする
何かをする時は、必ずゴールがあります。
そのゴールに向かって
人はゴール地点が明確であるほうが、やる気が湧いてきます。
何事につけ、それができた状況(ビジョン)をありありと頭の中で思い浮かべることが大切です。
たとえばプロゴルファーは、打つ前から自分がこれから打つ球の弾道がありありと見えると言います。弓道の達人も弓を構える時に、自分の手から離れた矢が的に吸い込まれていく感触があるのだそうです。いずれも、どこを目指してボールを打つか、弓を放つか、つまりゴールが明確です。
そのため、できた状況、未来を想起できるのです。
未来の映像をありありと思い描くことができた時、それが脳の中で起こっている映像なのか、現実に起こっていることなのか、その境目がなくなっていきます。
すると脳は、現実を脳の中で起こっている映像に重ね合わせていく行動を取り始めるのです。映像が鮮明であればあるほど、そこにワクワクとした感情や、やろうという意欲も生まれてきます。
時間軸でいうと、当然未来は今より後にきます。しかし自分の脳が、いろいろな妨げを排して、自由に活動している状態、すなわち先程お話しした「意識のフロー状態」になると、今と未来が渾然一体となってきます。つまり、想起した未来が実現するというのを、当然のこととして脳が認識するのです。
反対に、ゴール地点が見えない、もしくは絞り切れないと、どこに集中して力を発揮すればよいのか、また、脳もどこを目指せばいいかがわからないため、意識も散乱してしまいます。当然、集中もできず、フロー状態に入ることは不可能です。
あなたが何かに取り組もうとしているなら、達成できた瞬間、つまり、その時間が終わった時に、どのような素晴らしい結果を生み出しているのかを多少強引でも構いませんので脳の中ではっきりイメージしてから、開始することです。
自分の行動が最終的にどうなり、実現した時にどのように喜んでいるかを思い描いてから始めると、そこに至るプロセスが楽しくなります。
当然、脳も「快」を得られるので、より力を発揮します。
作業を始めるのが、ゴールをイメージすることによって数分遅れたとしても、非常に効果的なので、必ず行ってください。