明暗を分けた中間決算
携帯電話3社の2014年度第2四半期の決算が出揃った。ソフトバンク < 9984 > は関連会社のアリババが米国で上場を果たしたことから、営業利益を5,607億円とし、前年同期比で約36%と大きな伸びを見せている。KDDI < 9433 > も過去最高の営業利益3,848億円を計上し、好調な業績を示している。
その一方で、一人負けの様相を呈しているのが、NTTドコモ < 9437 > である。前期の営業利益は3,996億円と辛うじて2位を維持しているものの、通期見通しでは、KDDIの7,300億円の見通しに対して、NTTドコモは6,300億円と3位転落がほぼ確実となっている。
投資会社として成功を収めるソフトバンク
ソフトバンクは、国内の携帯電話事業に捕らわれることなく、ネット関連企業にこつこつ投資続けている。同社の決算資料によれば、ネット関連企業への投資は、非常に高い確率で成功させており、約3,800億円の投資額から約11兆7,000億円のリターンを生み出している。約10年で30倍ものリターンを生み出しており、ソフトバンクは事業会社としてだけでなく、投資会社としての成功を収めている。
また、先月28日には「第二のアリババ集団」と言われている、インドのインターネット通販大手スナップディール(Snapdeal)に約680億円を投じて3割超出資し、筆頭株主になると発表した。中国とともに「世界の2大経済圏に成長する」と読まれているインドでいち早く投資を行い、さらなる市場拡大をはかり、ますますその勢いは増すばかりだ。今後の懸念事項としては、米携帯3位のスプリントの業績低迷である。
独自路線で成長を図るKDDI
KDDIは、独自の路線として携帯電話と光回線のセット販売によって、契約数を着実に増加させている。半期で約100万件の純増を維持しているのは、セット販売の影響が大きいと言われている。セット販売については、ソフトバンクやNTTドコモの追随が見込まれているものの、KDDIの先行者優位は、しばらく継続される見通しである。
また、今年2月に行われたau WALLET発表会見で、「2016年度までに流通規模1兆円程度の市場をつくり出す」ことを発表したKDDI。申し込み件数は、5月のサービス開始から8月末までで500万件以上に達しており、着実にその目標に向かっている。激化する電子マネー業界に参入することで更なる成長を図ろうとしている。