渋谷に次いで大規模な再開発が行われる明治神宮外苑エリアが大きな注目を集めています。明治神宮外苑といえば、いちょう並木がシンボルになっていますが、樹木の伐採計画に周辺住民や都民が反発し、多くの反対運動が起こりました。
今後も反対の声は続きそうですが、順調に計画が進めば2036年までの長期開発となるだけに、マンション経営には安定した需要が見込めます。明治神宮外苑がある新宿区でのマンション投資について考えます。
明治神宮外苑エリアが生まれ変わる!
東京23区の各地で大規模な再開発工事が進んでいます。2023年5月時点で東急グループによる渋谷駅前の再開発が進んでいますが、2027年の「渋谷スクランブルスクエア第2期(中央棟・西棟)」の開業をもって完了する予定です。
そして、ポスト渋谷として大規模再開発が話題になっているのが明治神宮外苑エリアです。同エリアには神宮球場、神宮第二球場、秩父宮ラグビー場、軟式野球場の4つのスポーツ競技場があります。この4施設はいずれも建物の老朽化が進んでおり、建て替えの必要に迫られています。
明治神宮外苑エリア再開発の概要
明治神宮外苑エリア再開発は神宮球場、神宮第2球場、秩父宮ラグビー場を一体で建て替える大規模な計画です。スポーツ競技場のほか、商業施設が入る高層ビルも建設されます。総事業費3,490億円をかける巨大開発で、開発面積は17.4ヘクタール、東京ドーム約3個分に相当します。
再開発を手がける事業者は宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事株式会社、株式会社三井不動産の4者です。東京都が事業主体ではなく、宗教法人や大手デベロッパーなどが組む民間事業として行われます。
再開発を巡る問題の現状
再開発計画は順調に進んでいるわけではありません。明治神宮再開発の工事を進めるにあたって、いちょう並木を伐採する計画が発表されると、周辺住民や都民、一部の活動家から伐採の中止を求める声が挙がりました。再開発で多くの樹木が伐採されることになるため、周辺を散策やスポーツの場として利用してきた住民にとっては反発する気持ちが大きいようです。
開発中止を求める署名運動も盛んで、朝日新聞デジタルの報道によると、19.5万筆の署名が集まったといわれます。
これに対し、開発側も環境問題には配慮する姿勢を見せています。三井不動産のニュースリリースによると、本プロジェクトの重点施策として、「神宮外苑地区のシンボルである4列のいちょう並木を始めとした豊かなみどりの保存・継承と新たな樹林地の創造により、地区を南北に貫く「みどりの散策路」を整備」するとしています。神宮外苑一帯にある高さ3mを超える樹木約900本が伐採または植え替えられる可能性がありますが、新たに樹木979本を植える計画のため、全体では樹木は増える予定です。
また、秩父の宮ラグビー場に続く横道のいちょう18本は伐採されるものの、再開発エリア全体では4列のいちょう並木を中心に緑豊かな景観は維持する計画で、今後は反対派の人たちにどうやって理解してもらうかが焦点となりそうです。
工事の行方ですが、東京都は2023年2月17日に施行認可の公告を出しているため、反対運動が続いたとしても、開発が中止になることはない見込みです。
再開発のスケジュール
再開発計画はどのようなスケジュールで進められるのでしょうか。神宮球場はプロ野球球団の東京ヤクルトスワローズの本拠地であるため、試合を継続できるように各競技場の建設場所を入れ替えながら開発工事を進める計画です。再開発工事完了までのスケジュールは以下のとおりです。
・2023年3月22日 神宮第二球場の解体工事がスタート
・2024年 秩父宮新ラグビー場建設開始、その後旧ラグビー場を解体
・2028年 新神宮球場建設開始
・2032年 新神宮球場完成
・2036年 すべての再開発工事が完了する予定。
長期マンション投資なら新宿区が期待できる
明治神宮外苑は住所としては東京都新宿区霞ヶ丘町1番1号に位置します。再開発工事がスタートすれば同エリアの労働人口が増加するため、賃貸住宅を探す人も増えるでしょう。明治神宮外苑周辺だけでなく、電車・バスで通勤する新宿区全体にも需要の創出が期待できます。
労働人口は単に工事現場だけでなく、需要を見込んで周辺に飲食店やコンビニなど店舗の出店も増えるかもしれません。
すでに工事は始まっており、2036年までの約13年に渡って、野球場・ラグビー場や商業施設が完成する度にマスコミにもとり上げられます。「この街に住んでみたい」という人も増えることでしょう。そうなると保有する物件の資産価値も高くなることから、長期マンション投資なら新宿区が期待できそうです。
新宿区の家賃相場と人気度は?
投資を考えるうえで、新宿区の家賃相場を確認しておきましょう。
LIFULL HOME’Sの「ワンルーム・1K・1DK/マンション・アパート・一戸建ての相場表」(2023年6月16日現在)によると、新宿区の家賃相場は10.51万円となっています。これは都心5区(港区・千代田区・中央区・渋谷区・新宿区)の中では最も安く、渋谷区の12.21万円と比べてかなり割安になっています。
また、イエウールがまとめた1R・1Kの平均物件価格は、渋谷区が4,220万円に対し、新宿区は3,258万円と約1,000万円も安く購入できます。
新宿区は人気も高く、SUUMOが公表している人気エリアランキングで堂々1位にランクされています。日本一の鉄道乗降客数を誇る新宿駅があるため交通利便性が高く、買い物や娯楽の施設が充実している割に家賃が安いことが人気の要因と思われます。
ランキングの基準は不明ですが、もし新宿区の物件にアクセスした数だとすると、新宿区に住まいを探している人が多いということになり、賃貸経営の有力な判断材料になります。
新宿区の人口は長期安定の見通しで出口戦略も立てやすい
投資家にとって気になるのは人口減少社会にあって新宿区の人口推移がどうなるかですが、政府が公表している人口推計データによると、新宿区の人口は長期間同じレベルを保つという予測が出ています。2023年の工事スタートから2036年の工事完了までの期間、34万人台の人口を保てるのは投資家にとって心強いデータといえるでしょう。
▽新宿区の人口推移予測
2020年 | 340,154人 |
2025年 | 343,397人 |
2030年 | 344,507人 |
2035年 | 344,139人 |
2040年 | 341,934人 |
人気が高い新宿区は賃貸によるインカムゲインだけでなく、キャピタルゲインも狙えるエリアといえるでしょう。キャピタルゲインを狙う場合は新築マンションに投資する必要があります。中古マンションの場合は、購入時点ですでに資産価値が減少しており、キャピタルゲインを狙うには不利です。資産運用型の新築ハイグレードマンションであれば、中古になってもリセールバリュー(再販売価値)が高いため、賃貸で稼いだ後の出口戦略も立てやすくなります。
明治神宮外苑エリアの物件なら、再開発工事期間中は賃貸で稼ぎ、街開きで人気が高まったところで売却するという戦略も有効です。
再開発の進展ですでに物件価格が高くなっている渋谷区に比べて、近い位置にありながら新宿区は物件価格も家賃も割安です。先高観という視点で考えると、明治神宮外苑再開発によって注目度が高まる新宿区でのマンション投資に着目するのも面白いのではないでしょうか。
※本記事は2023年6月16日現在の情報をもとに構成しています。再開発計画の行方は流動的ですので、今後詳細が変更になる場合があります。参考程度にお考えください。
(提供:Incomepress )
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