不動産投資は30歳から始めると最も効率よく老後資金を作ることができます。ローンの返済期間は35年が一般的なので、30歳で借り入れると完済するのが65歳となり、ちょうど年金受給開始時期と同じになる計算です。ローンを完済すれば、月々の固定経費を除いて家賃収入の多くが手元に残るので、年金と合わせて安定した生活費を確保することができます。
30歳という年齢は銀行の融資審査でも有利な年齢です。大卒で入社して8年目になるので、基本給も上がって融資審査の属性が高くなります。会社によっては30歳で管理職になっているかもしれません。ちょうど社会的信用が高くなる節目の年齢ともいえるでしょう。
そこで、30歳から不動産投資をスタートさせるために、22歳からの8年間でどのように資産運用したらよいかを考えてみましょう。
給与から積み立てるなら投資信託が最適
投資は早く始めるほど時間を味方につけることができるため有利といわれています。30歳から不動産投資をスタートさせるには、社会人になったらすぐ毎月の給与から積立投資を始めることが必要です。
例えば、投資信託は多くの証券会社で100円から積み立てできるので、口座引き落としで毎月決まった金額を投資することができます。月3万円など一定の金額を積み立てる場合は、相場が高いときは少ない口数を購入し、安いときは多くの口数を購入することになるので、8年の長期投資なら買値が平準化されます。結果的に相場の急騰・急落の影響を受けずに安定した運用が可能になります。
月3万円を22歳から30歳までの8年間積み立てた場合、元本だけで288万円の資産となり、分配金を再投資するファンドであれば評価額が300万円を超えるケースもあるでしょう。
ボーナスで個別優良株投資も有効
月給で積立投資を行い着実に増やす一方で、年2回のボーナスは成長が期待できる個別高配当株に投資するのも有効です。
日本株は基本的に1単元100株単位の売買となりますが、最近では1株から買える単元未満株取引ができる証券会社が増えています。ボーナスとして受け取った金額の範囲で10株、50株など小口で購入していくのもよいでしょう。50株ずつ2回に分けて購入した場合は100株になった時点で単元株になります。
年2回のボーナスで50万円分の個別高配当株投資を行った場合、8年後も同じ株価だったとして400万円の時価総額となります。配当金をすべて再投資した場合はさらに大きな金額になる可能性もあるでしょう。
ここまでの積立投資信託と個別高配当株投資だけで700万円程度の頭金を作ることができますが、元本保証ではないので、銘柄選びを慎重に行う必要があることを心得て投資に臨む必要があります。
不動産投資の予習になる不動産クラウドファンディング
ここからは、不動産投資を始めるまでの準備期間に必要な2つのポイントについて考えます。1つは不動産投資についての学びです。不動産投資について書かれた書籍や雑誌を読んで学ぶのも大事ですが、机上の知識でしかないので、実際に不動産クラウドファンディングに少額で投資してみるのも不動産運用の予習になり有意義です。
不動産クラウドファンディングとは、インターネット上で募集される「不動産を運用するファンド」に、不特定多数の投資家が資金を拠出する投資商品です。1口1万円の少額から投資できるため、近年急速に普及が進んでいます。運用期間は3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月などファンドによって異なります。少額でも不動産に投資することで、不動産について学ぶ意欲も高まるでしょう。
不動産クラウドファンディングは、複数の物件に分散投資するREIT(不動産投資信託)と異なり、単一の物件に投資するので、ファンドを選ぶ際に物件を見る目が養われます。募集は毎月のように行われているので、自分が将来運用してみたい物件タイプと似たファンドがあれば投資するのもよいでしょう。
融資のことを考えた銀行定期積金も有効
もう1つは銀行への実績作りです。将来融資を受けたいと考えている銀行があれば、定期積金を行うのが有効です。8年間実行することで審査の基準になる属性が上がる可能性があります。投資と違い配当金や分配金を得ることはできませんが、信用を付けるための投資と考え、実行するのもよいでしょう。
融資審査では年収や勤務先など具体的な属性を評価するほかに、この人は毎月きちんと返済できる人かどうか人柄を判断することもあります。毎月1万円の積立を行った場合、8年間の積立額は96万円です。超低金利で利息はわずかしか付きませんが、8年に渡って地道に積立を行った実績は無駄にはならないはずです。
家族に遺す資産を作るなら不動産投資がベスト
不動産投資を始めることにはもう1つ大事な意味があります。ライフプランにおいて、定年退職する頃になると相続のことも考えなければなりません。相続は現金で相続する場合と不動産で相続する場合とでは相続税額が大きく異なります。
現金で相続する場合、相続税評価額は100%です。一方、現物不動産で相続すると相続税評価額が大幅に減額されるメリットがあります。
土地の場合は、市街地が路線価、市街地以外が評価倍率方式で評価されるため、実勢価格の80%程度に評価額が下がります。また、建物は固定資産税評価額で評価されるため、実勢価格の70%程度に評価額が下がります。現金を現物不動産に変えるだけで節税になるのです。
さらに不動産を人に貸している場合は、以下のような計算式で評価額が減額されます。
・貸家建付地の場合
「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」
・貸家用建物の場合
「固定資産税評価額-(固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合)」
借地権割合は60〜70%が一般的で、借家権割合は全国一律30%です。賃貸割合は「建物の総床面積÷使用している面積の合計」で計算され、満室の場合は100%となります。つまり、入居率が高いほど賃貸割合が高くなるので評価額の減額幅が大きくなる仕組みになっています。
【計算例】
・貸家建付地、相続税評価額5,000万円、借地権割合70%、満室の場合
5,000万円×(1-70%×30%×100%)=3,950万円
・貸家用建物、固定資産税評価額5,000万円、満室の場合
5,000万円-(5,000万円×30%×100%)=3,500万円
以上のような税制優遇を受けられるので、家族に遺す資産を作るなら不動産投資がベストといえるのです。
30歳から不動産投資をスタートするために、早めに資産運用をはじめよう
ここまで30歳から不動産投資をスタートさせ、ローン完済後に年金と家賃収入でゆとりある老後を送るための方法について見てきました。不動産投資なら老後の生活資金になることに加え、家族に相続税負担の少ない資産を遺すことができます。
ライフプランは若い頃から立てておくに越したことはありません。30歳からの不動産投資のために社会に出たら早めに資産運用を始めることが理想です。先に紹介したように毎月の月給から3万円、ボーナスから年50万円投資するケースで、8年間で配当金や分配金を含め700万円程度の頭金を作ることが可能です。また、頭金を作る目標を持つことで働くモチベーションの向上にもつながることでしょう。
※本記事は不動産投資を始める前の資産運用についての一例を紹介するものであり、結果を保証するものではありません。参考までにお考えください。
(提供:Incomepress )
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