出資金の仕訳
出資を受ける法人および出資する側が法人の場合、あるいは個人事業主でも自身の事業と関連性があるケースでは、出資金の仕訳が必要となる。ここでは、出資する側と出資を受ける側、それぞれにおける出資金の仕訳について見ていこう。
出資をする側の仕訳
実は、個人や法人が行う出資先には法人のほかに信用組合や農協などさまざまな種類がある。ここでは、次の出資について仕訳を見ていこう。
・信用組合や信用金庫などへの出資
信用組合は預金や融資を受けるとき、信用金庫は融資を受けるとき、出資金の入金が必要である。
例)信用組合へ加入するために、10万円の出資金を普通預金から支払った。
・法人への出資
出資する法人の種類には、株式会社や合同会社などいくつかある。例えば株式会社に出資した場合は「投資有価証券」の勘定科目を使い、合同会社など株式会社以外の会社に出資した場合は「出資金」の勘定科目を使って仕訳する。
例)株式会社に100万円を当座預金から出資した。
例)合同会社に50万円を普通預金から出資した
・農協などへの出資
農協(農業協同組合)や生協(生活協同組合)の組合員になるため、出資金を支払う。
例)農協(農業協同組合)の組合員になるため、出資金1万円を現金で支払った。
・その他(ゴルフ会員権など)
ゴルフ会員権などに出資した場合も出資金で会計処理するケースがある。ただしゴルフ会員権には「預託金会員制」と「株主会員制」の2種類があり、消費税の処理が複雑になることもある。会計処理について不明な場合は、専門家などに相談したほうが良いだろう。
出資を受ける側の仕訳
上述したように会社の種類には、株式会社や合同会社などいくつかある。ここでは、会社のなかでも一般的な株式会社が株主から出資を受ける場合の仕訳を見ていこう。
例)増資を行うため株式を発行し、500万円の出資を受けた。出資金は、普通預金に入金した。
株式会社の場合、出資金は「資本金」として仕訳する。このほか、いったん新株式申込証拠金が入金された仕訳をし、その後、新株式申込証拠金を資本金に振り替えることも可能だ。株式会社では、出資金の2分の1までを資本金にせずに株式払込剰余金や資本準備金にすることができる。
株式払込剰余金とは、出資金のうち、資本金にしなかった部分を仕訳する勘定科目で、貸借対照表では「資本準備金」と表示される。
例)増資を行うため株式を発行し、普通預金に500万円の出資を受けた。なお、このうち250万円は資本金にしないこととした。